今や、三組に一組の夫婦が離婚する時代。ある企業では、離婚報告を受ける機会が年々増加し、ついには結婚報告と同じくらいの数になったそうです。しかし離婚が珍しいものではなくなったとはいえ、会社への報告をスマートにこなすことは、なかなか難しいもの。ここでは、もしもの時に備えて知っておきたい、離婚報告のコツについてご紹介します。
■離婚した場合、自分から報告しなければ会社にバレないって本当?
結婚や妊娠などおめでたい話は全員が集まる場面で発表されることが多いので、それを基に報告の仕方をある程度想像することができます。しかし離婚報告の場合は伏せて行われることが多いため、みんながどのように報告しているのか、想像がつきにくいのではないでしょうか?
そもそも、「離婚は会社に報告しなくていい」と思っている人もいるかもしれません。しかし、離婚は結婚と同様に戸籍が変わるものですから、会社に隠し通すことは不可能です。何らかの手続きの際に発覚してしまうのと、前もって自分から報告をしていたのとでは、会社や上司からの印象も全く違うものになります。今後の人間関係のことも考えると、離婚した旨を自ら報告するのがマナーともいえるでしょう。
報告の時期は、離婚が確定したタイミングで大丈夫。「○月中に離婚をすることが決まりました」「○日に離婚をしました」など、明確な時期を伝えるようにしましょう。まだ確定していない時期での報告は、かえって周囲に心配をかけてしまう恐れがありますから、避けてくださいね。
■離婚理由や親権のことなど、会社にどこまで報告する?
離婚報告で難しいのは、何をどこまで話すかというところ。「苗字をどうするか」「親権の有無」といった、今後の仕事に影響する内容に関しては、離婚報告の際に一緒に伝えておく必要があります。逆に言えば、仕事に関係しない内容に関しては、質問をされない限り、細かく説明する必要はありません。
特に離婚原因などデリケートな問題に関しては、余計な詮索を防ぐためにも「価値観の不一致」などといった、当たり障りの返答にしておくのがベターでしょう。
また、同僚への離婚報告に際してもマナーは同様です。結婚の時とは状況が異なりますから、必要最小限の範囲にとどめておいてもマナー違反と取られる心配はありません。
個人的に伝えておく必要のある方や、苗字の変更や育児面などで何らかの迷惑をかけそうな方に関しては、事前の離婚報告でも問題はありません。しかし普段、あまり接点のない部署外の方にまで報告をしたり、離婚原因にまで触れるたりするような行為は避けましょう。余計な噂を招くことにつながり、職場環境が悪化してしまう恐れがあります。
離婚報告をするメンバーは上司と部署内だけにとどめておき、報告内容も最小限に抑える、という点を心がけましょう。
■離婚後の苗字問題 最近では旧姓に戻さない女性が増加中!
特に女性が離婚した場合に発生するのが、苗字変更の問題です。戸籍上の苗字は旧姓に戻りますが、仕事でどちらの苗字を名乗るかは個人の自由。苗字を変えて早めに気持ちを切り替えるのも良いですし、仕事のしやすさを考慮して、従来の苗字をそのまま使い続けても問題はありません。
実際に、元の苗字に戻して仕事を続ける場合にはさまざまな面倒が発生します。一例をあげると、名刺やメールアドレスなどの変更作業の他、職場や取引先へのアナウンスなどが必要になります。職場でアナウンスをする場合には、たいてい上司から全員へ向けて発表をするか、朝礼など全員が集まる場所で自ら発表することになりますから、離婚したことをあまり知られたくないという方には、おすすめできません。
また、営業職や販売職など、外部のお客様と接する仕事をされている方の場合、いちいち「離婚をしました」と伝えるのも面倒な話。負担軽減を第一に考えるのであれば、仕事上ではそのままの苗字で続けるという選択肢もありでしょう。
■保険関係や、口座の名義変更など、事務関係の報告もお忘れなく!
最後に、離婚した際の社内手続きの流れも紹介しておきましょう。男性・女性に関わらず、離婚をすると家族構成が変わるため、保険関係の変更手続きが必要になります。
また、苗字が変わる場合には、名刺、メールアドレスの他、保険や銀行口座など、様々な名義変更が必要になりますから、上司への報告が完了次第、人事や総務課へ、必要書類の問い合わせをしておくとスムーズです。
ちなみに、離婚後は役所や銀行まわりが必要になる場合も多いですから、可能であれば、有給や半休を申請しておくと便利でしょう。
離婚の報告は、自分からは言い出しにくいものですし、会社に手続きを依頼するにも気が引けてしまう方が多いと思います。少しでも自分にかかるストレスや、周りへの迷惑を軽減したいのであれば、離婚の時期を、会社が比較的落ち着いている時期に合わせるといった策も有効です。冒頭でもお伝えした通り、離婚自体は珍しいことではなくなってきていますから、手順よく関係部署への報告・連絡さえ行えば、今後の仕事や人間関係に影響する心配はありません。