例えば、社員の年齢構成資料を作成したとしましょう。分析内容は、会社の社員の年齢を20代、30代、40代、50代の割合を円グラフにしたもの。しかしこれでは、上司から以下のような指摘が入ってしまいます。
「60代以上や10代もいるので、その他を追加するべきだ」
「ミーシーで分析しないと納得性がない」
ここで、耳慣れない言葉が登場します。「ミーシー」とは、どういう意味なのかというと、「ミッシー」ともいわれていて、Mutually Exclusive and Collectively Exhaustiveの頭文字をとったもの。MECEを「ミーシー」と発音します。
意味は以下のようになります。
Mutually( 相互に)
Exclusive(重複せず)
and Collectively(全体として)
Exhaustive(漏れがない)
ミーシーだと何がいいの?
ミーシーを言い換えると、以下のように表現できます。
ある事柄を全体集合と考え、
トップダウンの視点から漏れもダブリもない部分集合に分けること
なぜ、もれなくダブりなくしなければないのでしょうか。それには4つの理由があります。
- 網羅できるので
- 見落としを排除できる
- 混乱がなくなる
- コミュニケーションがとれる
つまり、何かを考えたり、何かを説明しようとしたとき、ミーシーなら、
全体がわかりやすく詳細化されていて
漏れもダブりもないので理解しやすいので
考えやすいし、話しやすいし、聞きやすい
ので、コミュニケーションがスムーズになるのです。
ミーシーの例
それでは、ミーシーの例をいくつか見てみましょう。
性別
男性、女性
会社の年齢構成
20代、30代、40代、50代、その他
月
1月、2月、3月、・・・・
星座
牡牛座、天秤座、乙女座、・・・・
都道府県
東京都、千葉県、埼玉県、群馬県、・・・・・
山の手線の駅
渋谷、原宿、代々木、新宿、・・・
会社の支店、営業所
本社、神奈川支店、静岡支店、・・・
このように全体をみながら、どのような分類になるかを整理すれば、ミーシーとなるのです。
ミーシーでは、全体を全体集合といいます。上記の例は、全体集合を完全に分解できる切り口。
でも、分類する内容全てが完全に分解できるわけではありません。ではその場合は、どうやってミーシーにするのでしょうか?
その場合は、
重複・漏れが絶対ないとは証明できないが、
これだけは押さえれば大きな重複や漏れはない
とみなせる切り口とすれば良いのです。
これだけ押さえればミーシーになる例
それでは、これだけ押さえればミーシーになる例をいくつか見てみましょう。
期
短期、中期、長期
3C/4C
Customer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)、+Channel(チャネル)
Customer value(顧客価値)、Customer cost(顧客コスト)、Convenience(利便性)、Communicationコミュニケーション)
マーケティングの4P
Product(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(プロモーション)
製品ライフサイクル
導入期、成長期、成熟期、衰退期
ファイブフォース
供給企業の交渉力、買い手の交渉力、競争企業間の敵対関係、新規参入業者の脅威、代替品の脅威
上記の例は、経営やマーケティングでよく使うフレームワークです。
つまり、企業の戦略では、“これだけ押さえればミーシーになる”フレームワークを使っているのです。
経営やマーケティングは関係ないから、ミーシーを使うことがないと思われていませんか?
実は、ミーシーの活用方法はそれだけではありません。多くの場合は、それぞれのシーンでミーシーという考え方を活用します。
それだけじゃないミーシーの使い方
例えば、スーパーやコンビニで購入するドリンクについて、分析してみようとします。
この場合、前記で記載した考え方は使えません。フレームワークなんてないし、次々と発売されるドリンクは、そもそも、多種多様です。
早速、ドリンクを成分で分類してみました。ビタミンCの有無、カルシウムの有無、カフェインの有無・・・と限りなく出てきました。これは、切り口が沢山出てきて、限りがないこともあるでしょう。
そういうときは、そもそもの切り口を変えてみます。
アルコール系、お茶・コーヒー系、乳飲料系、果汁系といった切り口にしてみると随分すっきりします。
このように切り口を変えて考えてみることで、納得感のある分析が出来るようになる。これが、ミーシーの考え方です。
ミーシーの2つの手順
それでは、ミーシーの2つの手順をご紹介しましょう。
1.トップダウンアプローチ
2.ボトムアップアプローチ
1.トップダウンアプローチ
「全体集合」がわかるときに使います。
手順
- 全体集合を確認する
- 課題等から目的となるミーシーな切り口を決定する
(フレームワークなどがあればそれを活用する)
- ミーシーになる切り口で情報を全て挙げながらまとめる
2.ボトムアップアプローチ
「全体集合」がわからないときに使います。
手順
- 役立ちそうな情報を列挙する
- 列挙したものをグループ化し、全体集合を明らかにする
- グループ化した内容がミーシーになっているかをトップダウンで確認する
- ミーシーになる切り口に修正しながらまとめる
通常は“トップダウンアプローチ”で行います。しかしながら、分析する「全体」がわからない場合、“ボトムアップアプローチ”で「全体集合」を明らかにして、再度、ミーシーを確認する方法です。
すなわち、「全体集合」を明らかにし、全体を網羅した切り口(部分集合)で整理することになるので、抜けや漏れがないとうことになります。
まとめ
ミーシーとは、ある事柄を全体集合と考え、トップダウンの視点から漏れもダブリもない部分集合に分けることです。
つまり、全体集合がどのような部分集合で成り立っているかをチェックする技術ともいいます。
「全体集合」がわかっていれば、重複・漏れ・ずれを認識できるようになります。
そのために、全体として押えるべきポイント(切り口)がわかっていることが必要となります。
ポイントと照らし合わせて、欠けているもの、だぶっているもの、種類が違うものを判別していくことで、ミーシーにすることが可能となるのです。