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エンジニア給与WAVE! Vol.63 業種明暗も!2006年冬のエンジニアボーナス平均80万円
Tech総研では4年連続で、エンジニアを対象にボーナスについてアンケートを実施。今回の対象者は22〜44歳のエンジニア1000人。支給額平均は80万円と前年を大きく上回るが、業種による明暗もくっきり。果たしてエンジニアたちの満足度は?
(取材・文/広重隆樹 総研スタッフ/宮みゆき イラスト/kucci(クッチー) 撮影/加納拓也)作成日:07.01.10
素材・医療、電気・電子は高く、ITはふるわず
 日経連が12月13日に発表した2006年冬のボーナスは、交渉妥結額(加重平均)が88万4712円と昨冬に比べ、2.48%増え、2年連続で最高額を更新した。伸び率も4年連続でプラスになっている。日経連調査の場合は、大手企業が中心のため、調査対象者が属する企業規模にばらつきのあるTech総研の調査とは毎年金額がずれるのが特徴だ。ただ、業種をIT、通信、メーカーに絞り、かつ職種を技術職に限定しているため、日本のエンジニアの平均像をみるにはより適したデータともいえる。

 今回の調査は1000人のエンジニアが対象。その冬のボーナスの全体平均が80万円となった。昨年の調査は66.6万円だった(ちなみに同時期の日経新聞調べは約80万円)から、大幅な増額とはいえるが、調査サンプルが異なるため、昨年比は厳密なものではない。いずれにしても、今回は日経連調査など企業を対象とした調査結果に近い数字になった。

 年代別では、20代前半が49万円、同後半が59万円、30代前半が71万円、同後半が88万円、40代前半が101万円となっている。職種分野別で最も高いのが「研究、特許、テクニカルマーケティング、品質管理」の104万円。毎年高ランクにつける「コンサルタント、アナリスト、プリセールス」職種も99万円と健闘している。最も低いところで「運用、監視、テクニカルサポート、保守」の65万円だった。(DATA1)

 全体には「ソフトウェア・ネットワーク関連」職種が75万円であるのに対して、「ハードゥエア関連」職種が86万円と、ハード優位、“硬高・柔低”の傾向は、昨年と変わらない。

 ただし日本の賃金構造では、職種別の差異以上に、業種や企業規模の違いのほうが、ボーナス額に実態的な影響を与える。そこで業種別平均をみると「IT・通信系」が69万円であるのに対して、「電気・電子・機械系」のメーカーが85万円、「素材・医薬品系」が95万円という有意な明暗差がみられた。

 この間の景気回復を牽引してきたのが、エレクトロニクス企業であることから、その85万円という数字は当然の感もあるが、IT企業がふるわないことには、時代の変化を感じる。反対に、素材系つまり化学メーカーや医薬品会社の好調ぶりもうかがえる結果となった。こうした事情は、エレクトロニクス、メカトロ企業の求人が活発で、また化学・素材メーカーでも人材が引く手あまたといった、エンジニアの転職マーケットにも反映されている。
DATA 1 職種・会社業種別・2006年冬のボーナス平均額を大公開!
○職種別平均ボーナス額
ソフトウェア・
ネットワーク関連
職種分野
20代後半
(25〜29歳)
30代前半
(31〜34歳)
30代後半
(35〜39歳)
全体
(22〜44歳)
コンサルタント、アナリスト、プリセールス 65.6万円 69.3万円 156.6万円 99.0万円
システム開発(Web・オープン系) 54.3万円 57.7万円 82.1万円 68.4万円
システム開発(マイコン・ファームウェア・制御系) 46.8万円 69.0万円 72.7万円 68.7万円
システム開発(汎用機系) 53.9万円 78.1万円 74.1万円 75.3万円
ネットワーク設計・構築(LAN・Web系) 85.0万円 67.0万円 79.0万円 78.2万円
パッケージソフト・ミドルウェア開発 48.9万円 74.4万円 86.3.万円 70.8万円
運用、監視、テクニカルサポート、保守 52.9万円 64.7万円 67.5万円 65.4万円
研究、特許、テクニカルマーケティング、品質管理ほか 71.2万円 99.5万円 115.6万円 104.1万円
社内情報システム、MIS 34.0万円 57.8万円 88.0万円 74.2万円
通信インフラ設計・構築(キャリア・ISP系) 80.0万円 71.3万円 84.4万円 79.7万円
ソフトウェア・ネットワーク関連 合計 
55.9万円 67.9万円 79.5万円 74.7万円
ハードウェア関連
サービスエンジニア 53.4万円 61.1万円 79.5万円 70.6万円
セールスエンジニア、FAE 61.3万円 89.9万円 69.0万円 81.1万円
回路・システム設計 61.1万円 72.3万円 90.1万円 82.9万円
機械・機構設計、金型設計 60.3万円 64.5万円 98.8万円 87.0万円
研究、特許、テクニカルマーケティング、品質管理ほか 66.8万円 78.6万円 101.6万円 92.2万円
光学技術 40.0万円 100.0万円 83.0万円 90.9万円
制御設計 55.5万円 81.5万円 83.8万円 86.5万円
生産技術、プロセス開発 63.4万円 81.7万円 94.6万円 92.2万円
半導体設計 60.2万円 80.0万円 99.6万円 88.3万円
品質管理、製品評価、品質保証、生産管理 74.3万円 65.4万円 80.6万円 80.0万円
ハードウェア関連 合計 
62.4万円 73.1万円 91.1万円 85.7万円
○年代会社業種別平均ボーナス
年代 IT・通信系 メーカー
(電気・電子・機械系)
メーカー
(素材・医薬品他)
20代後半(25〜29歳)
56.4万円 59.9万円 72.8万円
30代前半(31〜34歳)
61.0万円 74.6万円 86.6万円
30代後半(35〜39歳)
81.6万円 90.8万円 90.7万円
全体(22〜44歳)
69.1万円 85.3万円 95.5万円
○最も影響があったと思われる評価基準
IT・通信系 メーカー系(電気・電子・機械系)
ハード系エンジニアの66%が「増えた」
 それぞれの調査対象者に、昨年冬のボーナスとの増減を聞いてみた。全体に「増えた」という回答が多い。ソフトウェア・ネットワーク関連では58%が、ハードウェア関連では66%が「増えた」と回答している。「減った」はともに10%程度だ。

 その増減額は、全体を平均すると「5万円」程度だが、「セールスエンジニア、FAE/40代前半」層では35万円、「光学技術/30代前半」層では25万円アップという数字もみられる。もちろん、なかには15万円から51万円まで大幅な減額になっている層もある。全体のなかでは20代前半の若手の増加額が目立つのが特徴だ。

 今回のボーナス額の評価基準で最も影響を与えたものは何かという質問には、41%が「会社の業績」と回答している。ついで「個人の業績・成果」が29%、「仕事内容」「年齢・学歴・勤続年数」はともに10%だ。この質問は毎年行っているものだが、昨年度に比べて「会社の業績」という回答がやや減り(昨年度は47.8%)、「個人業績」が増えている(同25.2%)。ボーナスの支給基準が個人業績にシフトしていることの反映といえるかもしれない。

 Tech総研がボーナス調査で重視しているのは、エンジニアの満足度だ。たとえ金額が増えても、その分、月数十時間にもおよぶ残業の連続で、心身が疲弊していたのでは、満足度も低くなる。エンジニアの仕事と報酬のバランスをみるうえでは、満足度は絶好の指標といえる。

 結論からいうと、「仕事内容に比べて金額は見合っている」と考えている人の割合は全体で58%に上った。ハードウェア関連だけでいうと62%に達する。「50万円程度安い」という人も、全体の33%存在するが、「100万円程度安い」は5%に過ぎず、おおむね満足度は高いとみるべきだろう。ただ「もらいすぎている」という回答は、「仕事内容に比べて50万円程度高い」というのが3%あるのみで、さすがに少なかった。
DATA2 ボーナス増額に伴い、エンジニアの満足度は上がった?
2006年冬と比べてボーナスは増えた? 2006年冬のボーナス額は仕事内容に比べて高い?安い?
「〜したのに」派の不満くすぶる
 それぞれの満足度、不満度をアンケートに寄せられたフリーコメントからもう少し具体的にみてみよう。
「見合っている」派では、「冬のボーナスは査定なしで率が決まっている」(研究・特許/31歳)という身も蓋もない答えもあったが、「同業他社と比べると少ないが、業績から考えると去年と同レベルなので」(システム開発/39歳)、「思うように業績を遂行できなかったので、妥当な金額だと認識している」(通信インフラ設計/35歳)という、会社の業界内地位や自分の仕事内容と照らせば「見合っている」という答えが多かった。つまり、「仕事もバリバリやったし、それを反映してボーナスもバッチリもらった」という満足度の強い「見合っている」では、必ずしもないようである。

 約3割存在する不満派(50万円程度安い)はとみると、「〜したのに、なぜ安いんだ」という疑問というか、グチというか、不満が募っている。以下、「したのに」派の怨嗟の声。
「業界トップシェアを維持。有力ブランドの商品開発に貢献したのに」(研究・特許/44歳)、「仕事量が格段に増えたのに」(半導体設計/34歳)、「親会社の人と同じ仕事しているのに」(システム開発/33歳)「競合他社では同程度の仕事内容ならばもう少し高いように聞いているのに」(研究・特許/30歳)、「今期は十分な利益を上げているのに」(システム開発/39歳)……。

 どうしてもボーナス額は何かと比較したくなる。同僚、同業他社、同期の友人と、自分の労働時間と自分の業績と……。まさに不満の種は尽きまじである。
 中には、「個人の実績重視の傾向が強くなってきているとはいうものの、会社の業績は一番大きくボーナスに影響する。自分が関係した仕事は会社の業績に大きく貢献したはずだが、結局、他部署の不振が足を引っ張って、今回のボーナスは自分の実績に見合うものにならなかった。これは不運といえよう」(研究・特許・テクニカルマーケティング/43歳)と、ある種“悟りの境地”を切り開く人もいる。これを運、不運で諦められるかどうかは、まさに個人の度量次第だ。

「この会社にいることは時間の無駄?」(生産技術/38歳)と自問し、低いボーナス水準に見切りをつけ、早くもそこからの脱出チャンスを願っているかに見える人もいる。

 転職マーケットという視点からみると、毎年冬のボーナスが出た後の1月は転職の山場である。全般的にはボーナス増額の傾向にあるなかで、それでもいろんなものと比べるとどうしても「少ない」と思い至ったエンジニアは、年賀状のかわりに履歴書を書くことになる。
ボーナスの使い道では「旅行」強し
 最後に、今年のボーナスの使い道を聞いてみた。 貯金(73%)、ローン返済(39%)、買い物(47%)、旅行(18%)などが主な支出項目だ。月々の生活費の補填に、という人も少なくない。株式購入など投資費用として一部を確保という声も目立った。

 ほかには子供の教育費、帰省の費用、車検代、家のリフォーム代、親・兄弟への小遣いなど。スキー、スキューバダイビング、コンサート・観劇、また「遠距離恋愛中なので旅行がてらのデート代」などという楽しい声もチラホラ。

 電通消費者研究センターは、昨年12月24日、25日のクリスマス関連消費を総額7560億円と推計。そのうちクリスマス・プレゼントの平均予算を一人1万9435円とはじき、前年比4800円もアップしたとし、これには景気回復や冬のボーナス増額が後押ししていると分析している。はたしてエンジニアの場合はどうだろう。恋人や家族へのプレゼント、親戚の子供へのお年玉、はずみましたか。
DATA3 2006年冬のボーナスの使い道は?
DATA3 2006年冬のボーナスの使い道は?
○30歳エンジニアたちはボーナスを何に使う?
年齢 会社の
業種
職種 年収
(税込み)
2006年冬の
ボーナス金額
(税込)
ボーナスの使い道は? 現在の
貯蓄
金額
現在の
借入
金額
30歳 IT・通信系 システム開発(Web・オープン系) 650 70 ほぼ全額を変動型国債に投資する予定 2000 0
30歳 メーカー系(電気・電子・機械系) システム開発(マイコン・ファームウェア・制御系) 500 94 20万パソコン購入50万外貨の購入(貯金)20万貯金(円定期) 500 0
30歳 メーカー系(電気・電子・機械系) セールスエンジニア、FAE 410 41 9割貯金、1割家族サービス 150 0
30歳 IT・通信系 運用、監視、テクニカルサポート、保守 620 77 (今年結婚したので)新婚旅行費用に使います 1300 0
30歳 メーカー系(電気・電子・機械系) 機械・機構設計、金型設計 450 60 ローン返済に40万円、買い物に10万円、ウィンタースポーツに5万円、飲み代に5万円 30 100
30歳 メーカー系(電気・電子・機械系) 生産技術、プロセス開発 700 105 ローン40万円、電化製品10万円、貯金30万円 250 150
30歳 IT・通信系 通信インフラ設計・構築(キャリア・ISP系) 560 60 旅行20万円、車関係23万円、買い物7万円 400 1000
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宮みゆき(総研スタッフ)からのメッセージ 宮みゆき(総研スタッフ)からのメッセージ
こうしてボーナス額を検証してると、年俸制の私にはうらやましくて涙が出そうです。正当評価に見合った金額をもらえているのか不安に思うエンジニアのかたは多いようですね。今回は職種別の平均額だけでなく、個別の回答コメントも掲載してみました。ぜひ、ご自分のボーナスと比較してみてくださいね。

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