“カチン”とくる前に「夫婦バトル」を回避する2つの方法――山口拓朗の「夫婦円満法」

今年で結婚20年目。2度の離婚危機を乗り越えて、今ではお互いが相手を認めて応援し合い、それぞれのビジネスを発展させている山口拓朗さん、朋子さんご夫婦。拓朗さんは文章の専門家として、これまでに著書を10冊以上出版。奥様の朋子さんは主婦の起業を支援するオンラインスクール「彩塾」の塾長として、これまでに600名以上の門下生を輩出。2016年から夫婦そろって中国での講演をスタートさせるほか、「夫婦コミュニケーション」をテーマにした講演活動にも力を入れています。

そんな山口拓朗さんが自身の経験から編み出した「夫婦円満法」を公開するこのコーナー。第6回は「夫婦間衝突を回避する2つの『魔法の言い方』」です。

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夫婦げんかの多くは「内容」ではなく「言い方」の問題?

既婚者に質問です。パートナーの放ったひと言にカチンときた経験はありませんか? 多くの方が「イエス」ではないでしょうか。そのひと言をきっかけに平穏だった家庭内に突如として“暗雲が立ち込める”ことも珍しくありません。

そのときのことを思い出してみてください。ほとんどの場合が、「言葉の内容」ではなく、相手の「愛のない言い方」に対してカチンときたのではないでしょうか。

たとえば、「あんたってバカね/おまえってバカだな」という言葉。相手を見下した言い方をすれば、とたんに険悪な雰囲気に包まれるでしょう。一方、愛嬌たっぷりに、相手に温かい眼差しを送りながら「あんたってバカね〜/おまえってバカだな〜」と言ったときは、相手は「はははー、俺って本当にバカだよな/私って本当にバカよね」と笑ってくれるかもしれません。

このように、人間は「言葉の内容」ではなく、その「言い方」に左右される生き物です(言い方同様に「表情」も重要です)。パートナーとの関係がうまくいっていない人は、相手に対する言い方が「キツい」「冷たい」「乱暴」などの特徴があります。その「キツさ」に相手はカチンときます。その「冷たさ」に相手はイラっときます。その「乱暴さ」に相手はムカっときます。「言葉の内容」ではなく「愛のない言い方」に対して、過剰に反応してしまうのです。

人は「愛のない言い方」をされると、もともと備わっている自己防衛本能にスイッチが入り、自分を攻撃(口撃)してきた相手に対して「反抗する」「反撃に出る」「無視する」などのリアクションをとります。いずれも、自分の身を守るための防衛行為です。どの防衛行為に出るかは、人それぞれです。自分にも相手にも、よく陥るパターンがあるはずです。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

ケンカを防ぐ魔法の言い方その1: I(アイ)メッセージを使う

言い方を工夫するテクニックがふたつあります。そのひとつが「I(アイ)メッセージ」です。「Iメッセージ」とは、自分(わたし)を主語にして話すメッセージのことです。一方、「YOUメッセージ」とは、相手(あなた)を主語にして話すメッセージのことです。

たとえば、休みの日に遅くなってから帰宅した妻に「どうして、<YOUは>こんなに帰りが遅いんだ!」と怒鳴れば、相手は「仕方ないでしょ! 私にだってお友達との付き合いあるんだから!」と怒り出すかもしれません。

一方で、「Iメッセージ」を使うと、次のような言い方になります。「帰りが遅かったから、<Iは>とても心配したよ」。すると、相手は「ごめんなさい。もう少し速く連絡をするべきだったわ」と素直になるかもしれません。

(1)相手を責める    
 →相手は反撃・抵抗・無視などをする
(2)自分の気持ちを伝える
 →相手は素直に言葉を受け入れる。

上記(1)は「YOU(ユー)メッセージ」で、(2)は「I(アイ)メッセージ」です。相手を褒めるときに「YOUメッセージ」を使うのはOKです。一方で、相手を責める目的で「YOUメッセージ」を使うと、相手の自己防衛本能にスイッチが入るリスクが高まります。相手を責めたくなったときこそ「YOUメッセージ」を封印して「Iメッセージ」を使うようにしましょう。

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ケンカを防ぐ魔法の言い方その2:「ネガ→ポジ変換」を使う

「Iメッセージ」のほかにも、円満な夫婦関係をキープする方法として「ネガティブな言葉」を「ポジティブな言葉」に変える方法も有効です。略して「ネガ→ポジ変換」です。

「そんな考えでいるから、いつまでもダメなんだよ!<ネガ>」→「少し考え方を変えるだけで、いい方向に向かうんじゃない?<ポジ>」。「その飽きっぽい性格、なんとかならないの?<ネガ>」→「その旺盛な好奇心には驚かされるよ<ポジ>」という具合です。受ける印象がだいぶ違うはずです。

相手の言葉にカチンときたときのリアクションにも同じことが言えます。「オレのことけなしてんのか?」と返すのと、「貴重なアドバイスをありがとう」と返すのでは、その後の展開は大きく変わるでしょう。大事なのは、ネガディブな言葉で相手を責めそうになったときに、いかにポジティブな言葉に言い換えられるかです。

【「ネガ→ポジ変換」の一例】

◆おしゃべりだね → 明るくて社交的だね
◆頑固だね → 信念があるね
◆ノロマだね → ていねいだね
◆往生際が悪いなあ → 粘り強いなあ 
◆がさつだね → おおらかだね
◆気弱だね → 繊細だね
◆飽きっぽいよね → 切り替えがうまいよね 
◆欲深いよね → 素直だよね 
◆口が悪いね → 正直だね
◆このドジ! → おっちょこちょいだなあ〜
◆君といると退屈だよ → 君といると落ち着くよ 
◆悲観的だなあ → 慎重だなあ
◆あなたって冷たいよね → あなたってクールよね 
◆おせっかいだなあ → 面倒見がいいなあ/気配り上手だなあ 
◆落ち着きがないなあ → 好奇心旺盛だなあ 

「ネガティブな言葉」と「ポジティブな言葉」を比較すると、受ける印象がずいぶん違いませんか? ネガティブな言葉には“トゲ”がありますが、ポジティブな言い方には“愛”があります。「ネガ→ポジ変換」がうまくなると、夫婦間の“溝”が少しずつ埋まっていきます。

「Iメッセージ」と「ネガ→ポジ変換」のテクニックは、親子関係や友人関係、上司・部下の関係など、あらゆるシチュエーションで応用可能です。使えば使うほど、あなたの人間関係がよくなっていきます。いつも同じパターンで相手を怒らせてしまっている方は、ぜひ活用してみてください。

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次回「「夫婦“円満”か“不仲”かは相手次第」のウソ。誰と結婚しても結果は同じ!」はこちら

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著者:山口拓朗

『残念ながら、その文章では伝わりません』著者。

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伝える力【話す・書く】研究所所長。「伝わる文章の書き方」や「好意と信頼を獲得するコミュニケーション術」「売れるキャッチコピー作成」等をテーマに執筆・講演活動を行う。最新刊の『残念ながら、その文章では伝わりません』(大和書房/だいわ文庫)のほか、『「また会いたい」と思われる!会話がはずむコツ』(三笠書房/知的生き方文庫)など著書多数。起業家の妻・山口朋子と「対等な夫婦パートナーシップで幸せな人生を作る方法」など夫婦関係の築き方をテーマにした講演も行っている。『世帯年収600万円でも諦めない! 夫婦で年収5000万円になる方法』(午堂登紀雄、秋竹朋子著)にも夫婦で取り上げられている。

山口拓朗公式サイト
http://yamaguchi-takuro.com/

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