壊れかけた夫婦関係を修復する「たった一つ」の方法とは?――山口拓朗の「夫婦円満法」

今年で結婚20年目。2度の離婚危機を乗り越えて、今ではお互いが相手を認めて応援し合い、それぞれのビジネスを発展させている山口拓朗さん、朋子さんご夫婦。拓朗さんは文章の専門家として、これまでに著書を10冊以上出版。奥様の朋子さんは主婦の起業を支援するオンラインスクール「彩塾」の塾長として、これまでに600名以上の門下生を輩出。2016年から夫婦そろって中国での講演をスタートさせるほか、「夫婦コミュニケーション」をテーマにした講演活動にも力を入れています。

そんな山口拓朗さんが自身の経験から編み出した「夫婦円満法」を公開するこのコーナー。第5回は「『夫婦の不仲』が劇的に改善するブレイクスルー思考」です。

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「夫婦の不仲」に効く対処療法はない?

結婚をしている方に質問です。夫婦が不仲な状態は好きですか? 多くの方が「はあ? 好きなわけがない」と答えるでしょう。わかりやすい「夫婦げんか」とまではいかなくとも、お互いが相手に不満を持っている「冷戦状態」や、小言を言ったり言われたりする「散発的な交戦状態」についても、おそらく答えは同じでしょう。

なぜ、この答えが大多数を占めるかというと、そこには「夫婦の不仲=良くないこと」という価値基準があるからです。多くの場合、夫婦の不仲は、当事者にとって居心地の悪い環境です。それゆえ、その居心地の悪い環境を避けようとします(または、その環境から逃げようとします)。

【「夫婦の不仲」へのありがちな対応策】
(1)自分の正義を主張して、相手を打ち負かす
(2)自分の感情にフタをして、波風が立たないようやり過ごす

対応策(1)と(2)は、いずれも得策とはいえません。なぜなら症状を和らげる対処療法にすぎないからです。したがって、一時的に夫婦関係が改善したかのように感じても、薬の効き目が切れると同時に、再び元の症状(不仲)に戻ります。

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風邪のメカニズムに学ぶ「夫婦の不仲」の改善策

「夫婦の不仲」は、風邪症状に似ています。果たしてこれは、どういうことでしょうか?

◆風邪の本質:免疫システムが可動して、風邪ウイルスを撃退する
◆風邪の症状:高熱、くしゃみ、咳、鼻水など(免疫システムの可動によって生じる反応)

風邪を引いたときに、薬(対処療法)で治そうとする人は、免疫システムのパワーを軽んじている、といえるかもしれません。薬で風邪症状を和らげることはできても、風邪を治す(風邪ウイルスを撃退する)ことはできません。風邪を治すことができるのは、その人の「免疫システム」以外にないのです。

そもそも風邪症状があるということは、免疫システムが正常に可動している証拠です。たとえば、身体に入った風邪ウイルスを撃退するために人間は高熱を出します。この場合の高熱は、悪者どころか、ウイルスから身を守る強い味方にほかなりません。

風邪症状の本来の役割を知っている人は、高熱やくしゃみや鼻水を悪者扱いしません。それどころか、免疫システムが、ウイルスから身を守ってくれていることに感謝しているケースがほとんどです。

「夫婦の不仲」にも、風邪とまったく同じことが言えます。「夫婦の不仲=良くないこと」ととらえている人は、「風邪症状=良くないこと」と考えているようなものです。だから、風邪同様に、対処療法(症状を和らげる方法)で治そうと考えてしまうのです。

一方で、良好な夫婦関係を築いている人の多くは、「夫婦の不仲=良くないこと」とはとらえていません。不仲自体は、風邪症状と同じように「免疫システムが正常に可動している証拠」だと考えています。そう、不仲の原因を適切に取り除くことさえできれば、夫婦関係をより進化・発展・健全化させることができる!——つまり、「夫婦の不仲=夫婦関係をよくする絶好のチャンス」ととらえているのです。

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「夫婦の不仲」に効く! ブレイクスルー思考のススメ

このような考え方を「ブレイクスルー思考」といいます。人間の価値観やメンタルヘルスについて研究している経営心理学者の飯田史彦氏は、自著『人生の価値』のなかで、ブレイクスルー思考について次のように書いています。

ブレイクスルー思考とは、「すべてのものごとには意味と価値があり、表面的には、失敗・挫折・不運のように見えることも、すべて自分の成長のために用意されている順調な試練である」という信念を持つことによって、「その試練に挑戦するだけで、もう乗り越えたのと同じくらいの価値がある」と考えながら、人生のあらゆる試練を楽しみながら乗り越えていこうとする思考法である。

このように、ブレイクスルー思考で物事をとらえると、すべてのことが——たとえば、風邪もケガも仕事でのミスも失業も——「自分の成長のために用意されている順調な試練」として受け入れることができます。もちろん、夫婦の不仲も同じく「順調な試練」です。

ブレイクスルー思考の実践者は、夫婦が不仲に陥ってしまった際、まっ先に「この経験は、私をどのように成長させてくれるのだろうか?」と考えます。そして、不仲に陥った原因を冷静に探り、その原因をていねいに排除していきます。

もちろん、感情的になって相手や自分を責める気持ちも弱まります。ブレイクスルー思考の世界では、すべてが「順調な試練」ですので、誰か(何か)を悪者にする必要がなくなるからです。

【通常の思考のプロセス】
◆夫婦の不仲(悪い出来事) → 原因(悪者) → その原因を生み出した人を責める → 結局、不仲に戻る

【ブレイクスルー思考のプロセス】
◆夫婦の不仲(順調な試練) → 原因(成長するために必要な壁) → 壁を乗り越えようとチャレンジする(不仲の原因を取り除く) → より進化・成長・健全化した夫婦関係が築かれる

ブレイクスルー思考が身につくと、夫婦関係がギクシャクしたときに、その状況を楽しむ気持ちすらわいてきます。なぜなら、「表面的には、失敗・挫折・不運のように見えることも、すべて自分の成長のために用意されている順調な試練である」という立ち位置から、その出来事を眺めることができるからです。成長できる機会ですのでワクワクせずにはいられません。

やり方は簡単! ブレイクスルー思考を100%信じて受け入れるだけ

ブレイクスルー思考を自分のものにするために、注意しなければいけないことがあります。それは、ブレイクスルー思考を「正しい or 正しくない」で考えてはいけない、ということです。

大事なのは、ブレイクスルー思考を100%信じて受け入れること。それだけです。それさえできれば、パートナーとの関係性は激変するはずです。なかには、ブレイクスルー思考を受け入れた直後から、夫婦仲が劇的に改善する人もいます(筆者夫婦も同じような体験をしています)。

ブレイクスルー思考は、汎用性の高さもピカイチです。夫婦以外の人間関係や仕事、プライベートなど、人生全般でその人の支えとなるでしょう。人間関係にヒビが入ったときや、仕事で大きな失敗をしたとき、病気になってしまったとき、失恋しまったときなども、常に考え方はひとつ。「表面的には、失敗・挫折・不運のように見えることも、すべて自分の成長のために用意されている順調な試練である」という信念に基いて対応・行動することです。

すると、あらゆる出来事に対してネガティブな感情を抱くことがなくなるほか、驚くほどのスピードで自己成長が加速します。“失敗は成功のもと”——あまりに有名なこのことわざを引き合いに出すまでもなく、多くの偉人や成功者が語っている「失敗の重要性」の本質も、ブレイクスルー思考のそれと同じです。

もしもあなたが、壊れかけた夫婦関係を修復させたいのであれば、あるいは、失敗・挫折・不運などに見舞われていると感じているようであれば、あれこれ考えずにブレイクスルー思考を受け入れてみるといいでしょう。それらの問題がたちどころに改善すると同時に、あなたの人生に大きな変化がもたらされるはずです。

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著者:山口拓朗

『残念ながら、その文章では伝わりません』著者。

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伝える力【話す・書く】研究所所長。「伝わる文章の書き方」や「好意と信頼を獲得するコミュニケーション術」「売れるキャッチコピー作成」等をテーマに執筆・講演活動を行う。最新刊の『残念ながら、その文章では伝わりません』(大和書房/だいわ文庫)のほか、『「また会いたい」と思われる!会話がはずむコツ』(三笠書房/知的生き方文庫)など著書多数。起業家の妻・山口朋子と「対等な夫婦パートナーシップで幸せな人生を作る方法」など夫婦関係の築き方をテーマにした講演も行っている。『世帯年収600万円でも諦めない! 夫婦で年収5000万円になる方法』(午堂登紀雄、秋竹朋子著)にも夫婦で取り上げられている。

山口拓朗公式サイト
http://yamaguchi-takuro.com/

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