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短パンで商談したらクレーム電話が…。ビジネスに個性は不要なのか? | 奥ノ谷圭祐

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第一線で活躍するビジネスパーソンに、「ファッションへのこだわり」をうかがう新シリーズ第 1 弾。今回は「冬にはコーデュロイのパンツを自分で切って短パンにしている」というほど、365日短パンを履き続ける奥ノ谷圭祐さん。短パンにこだわる理由、そして短パンへのこだわりから芽生えるビジネスへの熱い想いを聞きました。

<プロフィール>
奥ノ谷圭祐(おくのや けいすけ)
株式会社ピーアイ代表取締役。1年中短パンを履いていることから愛称は「短パン」または「短パン社長」
その個性あるキャラクターが注目されテレビにも多数出演。自身のブランド「KEISUKE OKUNOYA」を立ち上げ、SNSのみで新作商品を発表し、注文を受けつけるという業界初の販売方法で、売上は1億5000万円を突破。

短パン社長 奥ノ谷 圭祐 (@Okunoya_jr) | Twitter

 

「人と違うもの」を探して、たどり着いた短パンという選択肢

——奥ノ谷さんは、なぜ短パンにこだわるようになったのですか?

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僕は学生の頃はずっとサッカー部で、実は服にあまり興味がありませんでした。ただ会社の先代である父から「これを着なさい」と渡された服を着ていると、友達から「お洒落だね」と褒められていたんです。そこで少しずつファッションに興味が芽生えてモード学園に進学し、だんだんと「人と違う格好がしたい!」と思うようになりました。あるとき「短パンにネクタイ」というスタイルの人は滅多にいないと気づき、それからずっと短パンを履いています。いまでこそスタイルのひとつとして定着してきていますが、20年前には膝上の短パンなんてビジネスマンは誰も着ていませんでした。

僕自身は「人と違って何が悪い?」と日々思っているのですが、入社面接時にはアパレル業界でも8割以上は黒い上下のリクルートスーツを着用しますし、現場の営業マンもスーツを着ていて個性がない。これには強い違和感を感じています。今はだいぶクールビズが浸透してきましたが、商談の場で短パンはNGと言われることもあります。

商談を終え帰社すると、先方の担当者から「次回から短パン姿は遠慮してほしい」と電話がかかってきたんです。ちょっとショックでしたよね。でも、その商談の場にいたメンツの中では自分が一番お洒落だったいう絶対的な自信がありましたし、逆に、ダークスーツを着た人や、見たこともないブランドのスニーカーを履いてる人はOKなのはおかしいと思いました。それでファッション売ってちゃダメだろって。

100人全員が認めるお洒落って無くて、短パンを受け入れられない人も多いと思います。でも、「お洒落だね」と言ってくれる人が1、2人いれば、それが自信につながりますし、そう言ってくれる人とビジネスを成功させたいなと思うんです。

 

——ファッションは、仕事の自信にもつながるものでしょうか?

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間違いなくつながります。実は僕のブランド「 KEISUKE OKUNOYA 」のもともとのターゲットは【 洋服にあまり興味がない人 】だったんです。価格設定も高めなので、経営者や役員クラスの方のお客様が多いです。彼らは普段奥さんが買ってきた服や量販店のスーツばかり着ていたり、普段着も無頓着。洋服に到底感動が覚えたことがない人たちです。たまに服を買いに行っても、試着をすれば何でも「似合う、似合う」とお店の販売員に言われて買ってしまう事が多いのですが、僕と知り合いになったらまず言いますね「それダサいっすよ!」って。

そこで僕のブランドの服を着てもらうと、スラッとして格好良くなります。親しい人であればセレクトショップに一緒に行って全身コーディネートしてあげることもあります。すると、それまで言われたことがない「かっこいい!」「お洒落!」という言葉をもらえて、僕を通じてファッションが好きになる。その瞬間は最高です。装うことで自信が生まれる瞬間は、人生を変えるチカラがあると思います。

「服」だけではなく、「体験」を販売できる道を求めて

——「ファッションが人生のターニング・ポイントになった」という方はいますか?

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僕のブランドは、着こなせない人、そして似合わない人には、あえて「 売らない 」ようにしているのですが、過去にSNS上で購入してくれて、まだお会いした事のない方ととあるセミナー会場で偶然会う機会がありました。

そしたら、その人がとても太っていたので「 その体型じゃあのシャツ着れませんよね?もし着てないなら、もったいないから返金しますので返品してもいいですよ!」と申し出ました。すると彼は「あのシャツを着るために、いまダイエットしているんです」と言うのです。半信半疑でいたんですけど、3ヶ月後に約40キロのダイエットに成功したとSNSに投稿があったんです。

その方は油田圭介さんといいまして、今ではすっかり筋骨隆々のマッスルマン。自分の体験を通じ、現在は肥満で悩んでいる人、健康管理に困っている人のためにパーソナルプライベートジムを立ち上げました。
僕の作ったたった1枚のシャツが、1人の人生が変えたといってもいい。最も印象に残っているエピソードです。

 

——ちなみに、着こなせない人には「売らない」と決めているのはなぜですか?

本来僕たちアパレル業界は、お客様をお洒落にすることがミッションだと思います。何を着ても「お似合いです」って言ってしまうような売上至上主義になることは避けたいと思っています。

また、人をお洒落にするためには、ただ洋服を売っているだけではダメ。そこで今は自分の好きを発信し、コーヒーやカレーを販売、お米を作ったり、みんなで田植えをしたり、海の家を開いたりして、皆さんと一緒に「 楽しい 」を体験しています。

 

#短パン田植え部 始動しました!!

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そこに参加した人だけしか着れないユニフォームを導入してファッションとも絡めているわけです。
よくある、ただのロゴマークがプリントされたTシャツを着せるのではなく「なぜこのユニフォームを着るのか」という意味をみんなに理解してもらうこと。それができるかどうかで、その場の一体感や生産性に違いが出てくるのです。

「好きで夢中になれること」にもっと目を向ける

——仕事を前向きに楽しむために、必要なこととはなんでしょうか?

とにかく好きなことを追求するということですね。ゲームでも鉄道マニアでもなんでも良いんです。直接的に仕事の内容に関係ないことでも、何かひとつのことを突き詰めた経験やスキルが仕事に活かされる機会って非常に多いと思うんです。

こんなエピソードがあります。数年前、当社の新卒採用面接で、話は下手だし、学業もイマイチな学生がいたのですが、趣味の映画については途端に熱く語り出し「面白い!」と採用しました。入社後も、社会人としてのマナーはまったく駄目なままでしたが、非凡なセンスがあり、商品やノベルティのデザインはすべて彼に任せるまでになりました。「KEISUKE OKUNOYA」のビジネスの要であるSNS運用も彼がお手本になっています。

多くの人は彼のような人間を見ると「今どきの若者は……」と言いがちですが、そんな若手の長所を引き出し、育てるのがベテランの役割ですよね。マナーや外見より心の奥底にどれだけ熱いものがあるかってことに、目を向けないといけないと思います。

我々のような中小企業こそ、何をやってもいいんです。グレーや黒のスーツを着て無個性のまま、いい仕事ができるのか?と思いますし、それこそ「職場で短パン履いちゃ駄目」って決まってます? そんなの、誰も決めてません。仕事中はスマホNGなんて、もってのほか。いま世の中がどれだけ変わってきているか気づかないとだけじゃファッション業界なくどの業界も終わりだと思います。

僕は経営者ということもあり、趣味と仕事の境目がほとんどなくなっているし、「個性バンザイ!」と主張するには極端すぎる例かもしれません。見ようによっては「ダメな見本」と言われるかもしれませんね。でも全員の手本になろうっていう気持ちもないですし、いつも商品を買ってくださるお客様や友達が幸せになってくれれば万事OKと思ってやっています。おかげさまで、業績も良いですからね(笑)。

 

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<取材・文:伊藤七ゑ 撮影・編集:鈴木健介>