【自分が仕事できないと思っている人へ】自分を変えるための改善法と印象を変える打開策

「自分が仕事できない」と、自信を失いかけ、悩む人は少なくないようです。しかし、実際にスキルアップの努力が必要な人もいる一方、「できない」と思い込んでいるにすぎないケースもあります。

「自分が仕事できない」と思ったときの考え方や対処法などについて、ビジネススキル研修を手がける株式会社プレセナ・ストラテジック・パートナーズ代表の高田貴久氏にアドバイスをいただきました。

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自分が「仕事ができない人」と思うのはどんなとき?

「自分は仕事ができないのではないか」と思うシーンとして、大まかに次の3パターンがあるのではないでしょうか。

  1. 周りの人から指摘されて気付く
  2. 自分自身で、周りと比べて気付く
  3. 自分自身で、理想と比べて気付く

それぞれのパターンの具体例と、そう思ったときの考え方についてお伝えします。

1. 周りの人から指摘されて気付く

上司・先輩・同僚、あるいは取引先の人などから指摘されて気付くパターンです。ストレートに「あなたは仕事ができない」と言われるだけでなく、「怒られてばかりいる」といった状況からも「自分が仕事できない」と思うことがあるでしょう。

この場合、本当にできていないなら、行動を改善したり、スキルを身に付けたりする努力が必要でしょう。しかし、相手が厳しくあたる裏側には「期待」があることも考えられます。あるいは、上司が「成長を促すために、あえて厳しく接している」というケースもあります。

2.自分自身で、周りと比べて気付く

上司や先輩などから明確に指摘はされなくても、周りの人を見て自分と比較し、劣っているように感じるケースも多々あります。一例を挙げてみましょう。

  • 同僚は重要な仕事を任されているのに、自分は任されていない
  • 同僚は売上などの成果を挙げているのに、自分だけ成果が出ていない
  • 仕事の打ち合わせなどでの会話を、周りの皆は理解できているのに、自分だけ分かってない
  • 会議の場で、自分が意見を述べてもスルーされる

このような場合、自分を卑下してしまうことがありますが、「本当に自分は仕事ができていないのか」を冷静に見つめ直すことが大切です。

もしかすると、「比べている相手」が適切ではないかもしれません。例えば、上司や先輩など、自分より経験があり「知っていて当然」「できて当然」な人と比較してはいないでしょうか。また、個々に得意とすることは異なるのですから、「同期」「同年齢」「同じ部署・職種」といったものは比較理由にはなりません。

比較すべきでない相手と比較して焦ったり悩んだりする必要はないと考えましょう。

3. 自分自身で、理想と比べて気付く

自分の担当業務に必要なスキルを理解しており、「あるべき姿」を描いているけれど、「自分にはそのスキルが足りていない」と感じる人も多いでしょう。例えば、次のような場面で力不足を感じます。

  • 専門知識を理解して活用できない
  •  業務ツールを使いこなせない
  •  納期を認識していても遅れるなど、スケジュール管理がうまくいかない
  •  自分で判断しなければならない場面で、つい受け身になってしまう
  •  顧客に響く説明ができていない
  •  顧客からの信頼を得られていない
  •  会議の場で意見を述べられない
  •  上司や同僚から頼られていない

これも【2】の「自分自身で、周りと比べて気付く」と同様、「理想」が適切かどうかを見極めることが大切です。その理想像とは「誰かとの比較」によってできたものかもしれません。悩みや焦りを解消するためには「比較しない」ことを意識しましょう。

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自分が「仕事ができない人」だと感じたときの改善法

自分が「仕事ができない人」だと感じたときは、悩みが深くなる前に次のことを試してみてください。

素直に受け止め、確認する

くよくよ悩まずに、まずは「自分は仕事ができないのかもしれない」と素直に受け止めます。そして、実際にできていないのか、一定以上はできているのか、勇気を出して周囲の人に聞いてみましょう。

「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」とも言われるように、客観的な意見を聞かずに、自分の課題を把握できないままでいると、この先もくよくよし続けることになりかねません。

特に、入社1~2年目の新人に見られる傾向として、インターンシップや内定時の評価が高かった人が入社後に伸び悩むことがあります。高い期待を受けて入社したため、できていない自分を客観視できない、客観視するのが怖い、という心理があるのではないでしょうか。

そのようなタイプの人は、自分で自分に貼った「優等生レッテル」を捨て、「良い意味で」あきらめることで、吹っ切れるかもしれません。

私自身、新人時代はその傾向がありました。「こんなことを聞いたら馬鹿にされるんじゃないか」「そんなことも分からないのかと、失望させてしまうんじゃないか」といった不安感から、上司や先輩に聞けなかったものです。

しかし、自分の不安な気持ちに素直に向き合い、開き直って明るく聞いてみると、適切な助言を得られて視界が開けることもあるでしょう。

自分で周りと比べない

「同期は同期、自分は自分」「他人は他人、自分は自分」と考えましょう。そもそも自分が思っているほど、他の人たちは比べていないものです。

「健全な比較」によって、ほどよい競争心やプレッシャーを感じることは成長にもつながりますが、「あの人に比べて自分はダメだ」などと思い込まないようにしましょう。

独自性を持つ

同じ土俵で勝負していると、人と比較して自分が劣っていると感じてしまいがちです。そこで、他者と比べられないような土俵を探し、そこで「自分ならでは」の強みを活かしてください。

私もコンサルティングファームに入社して間もない新人時代、プロジェクトチームの中でなかなか役に立つことができず、悩んだ時期がありました。それでも、エクセルを活用した集計や分析が得意だったので、上司に申し出てその役割を引き受けたのです。すると成果が認められ、自信を持つことができました。

同じ仕事であっても、自分が価値を発揮できる領域や手法を見つけましょう。

深く考えず、できている人を真似る

私が若手社員だった時代、「バカになりきれるかどうかが大事だ」と言われたことがあります。つまりは「考えすぎない」「自分が正しいと思わない」ということです。

「このやり方こそ正しい」といった変なこだわりは捨てて、できている人のやり方をそのまま真似してみるのも有効な手段といえます。先述の「独自性を持つ」とは逆の発想となりますが、一旦は「自分」を主張することをやめ、周囲を観察して学んでみてはいかがでしょうか。

社外の人と協業する機会を持つ

さまざまな業界・職種の人が参加しているワークショップなどに参加してみると、新たな発見を得られる可能性があります。ディスカッションやグループワークを進める中で、自分の会社では皆が当たり前に持っている知識やスキルが、社会では希少であったり高く評価されたりするのだと気付くこともあります。

自社内では人よりできないと思っていても、さまざまな人が集まる場では「すごい」と褒められるといった経験を通じ、より広い視野で自分を客観視できるでしょう。
社外のワークショップのほか、ボランティア活動やボランティアに近い副業などでも、同じような体験ができるかもしれません。

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「できることしか、できない」と開き直って前進しよう

私がコンサルタントとして駆け出しの頃、「コンサルタントとしてあるべき姿」を追い求めるあまり、「○○の分析をしなければ」「インタビューをうまくまとめなければ」「クライアントに気の利いた提案をしなければ」と、あれこれ抱えて混乱していました。

そんなとき、上司から「できることしかできないんだから」と言われ、救われた気がしたことを覚えています。「できることしか、できない」。そんな割り切りを持てば、ムダな焦りがなくなって気持ちにゆとりができ、前向きに進んでいけるでしょう。

「できないこと」ではなく「できること」に目を向けて、自分の強みを活かしていってください。

株式会社プレセナ・ストラ

テジック・パートナーズ
グローバルCEO・代表取締役社長 高田 貴久(たかだ・たかひさ)氏

高田貴久氏_プロフィール画像東京大学理科Ⅰ類中退、京都大学法学部卒業、シンガポール国立大学Executive MBA修了。戦略コンサルティングファーム、アーサー・D・リトルでプロジェクトリーダー・教育担当・採用担当に携わる。マブチモーターで社長付・事業基盤改革推進本部長補佐として、改革を推進。ボストン・コンサルティング・グループを経て、2006年にプレセナ・ストラテジック・パートナーズを設立。トヨタ自動車、イオン、パナソニックなど多くのリーディングカンパニーでの人材育成を手掛けている。

取材・文:青木典子 編集:馬場美由紀
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