仕事中のあらがえない眠気…原因と対処法とは?即効性ある方法も紹介

仕事中なのに、どうしようもない眠気に襲われる…誰もが経験したことがあると思います。ただ、たびたび眠くなるようだと仕事の効率がダウンし、ミスにつながりかねないので何らかの対策を取りたいところです。

これまでに1万人超のメンタルを救ったという「金髪アフロと赤メガネ」がトレードマークの精神科医&メンタル産業医、井上智介先生に、なぜ仕事中に眠くなるのか、眠気を感じないようにするにはどうすればいいのか、アドバイスをもらいました。

眠気に襲われているビジネスパーソン
Photo by Adobe Stock

仕事中に眠くなる原因とは?それぞれの有効な対策も紹介

「仕事中にたびたび眠くなり、困っている」という相談は、特に若手ビジネスパーソンから多く受けます。仕事中にもかかわらず眠気に襲われてしまうのは、いくつかの原因が考えられます。その解決方法とともに、ご紹介しましょう。

不規則な生活を送っている

夜遅くまでゲームをしたり、スマホで動画を見たりして、寝る時間が遅くなってしまうという人は多いと思います。リモートワークになり、始業時間ぎりぎりまで寝ていられるから…と夜更かしする人も増えているようです。しかし、夜更かししすぎると、当然ながら寝不足になり、脳の疲れも取れず、どうしても昼間に眠くなってしまいます。

規則正しい生活を送るのは、イキイキ働くための基本中の基本。人それぞれ生活リズムはあると思いますが、昼間の眠気に悩んでいるのであれば、いますぐ常識的な時間に寝ることを心がけましょう。

夜更かし・不規則を自覚している人にぜひ守ってほしいのは、起きる時間、寝る時間を一定にすること。少なくとも「起きる時間」は一定化すると、生活リズムが整いやすくなります。
そして、朝起きたらまず、カーテンを開けて朝日を顔いっぱいに5分ほど浴びましょう。それにより、体がしっかり覚醒し、15時間後ぐらいに眠くなるホルモン「メラトニン」が分泌され、自然な眠りが促進されます。

仕事中に休憩を取っていない

効率的に仕事を進めるには、適度な休息は必要不可欠です。しかし、仕事に集中しすぎて全く休憩を取らない人も見受けられます。オフィスで働いていると、他の人から声を掛けられたり、雑談を振られたりして、「このタイミングで休憩を取ろうか」と思うきっかけもあるでしょうが、在宅勤務の場合は休憩のタイミングを逃しがちです。

休憩をとらないと当然ながら、脳が披露し眠気を誘発することになります。仕事が忙しくても、定期的に適度な休憩をはさみましょう。
PC作業が多い人は、何より目が疲れます。眼科医が眼精疲労を軽減するために推奨しているのは、「20・20・20」ルール。「20分ごと」に「20秒以上」、「20フィート(約6メートル)」離れた場所を見ると目を休め、リフレッシュすることができます。

もちろん、身体のリフレッシュも必要。少なくとも90分に1回は5~10分の休憩を取り入れてください。大事なのは、立ち上がり、席を離れること。姿勢を変えて少し体を動かすだけでも疲れは軽減できます。

昼食で炭水化物を取りすぎている

ランチを摂ろうとしているビジネスパーソン
Photo by Adobe Stock

ランチを食べた後に眠気に襲われる人は多いと思います。これは、炭水化物を取りすぎているから。
炭水化物には糖質が多く含まれており、血糖値が急激に上がります。それに対して身体は血糖値を下げようと大量のインスリンを分泌します。ただ、インスリンが過剰に分泌されると一気に血糖値が下がってしまい、眠気やだるさを感じてしまうのです。

ランチ後の眠気に悩んでいるならば、例えば牛丼やラーメンなどといった「炭水化物の多い単品物」は避けましょう。主菜・副菜がある定食をバランスよく食べると、血糖値の上昇を抑えられます。そして、満腹になるまで食べると消化負担で体が疲れ、結果的に眠くなってしまうので、腹8分目までを心がけましょう。

換気が不足している

締め切った室内で仕事をしていると、二酸化炭素が増え、相対的に酸素が減ります。室内の酸素が減ると脳が酸欠状態になり、眠気を誘発します。
コロナ禍で換気に気を配るオフィスは増えていますが、冬場はどうしても頻度が減りがち。自宅でのリモートワークの場合は特に、窓を開けずに仕事をし続けてしまうことも多いようです。

産業医の立場としては、冬場であっても2時間に1回の換気をお勧めしたいところ。5~10分ほど窓を開けて新鮮な空気を取り入れると、脳に酸素がいきわたり、シャキッとします。集中力も増し、効率的に仕事ができるようになるでしょう。

換気システムが入っているオフィスビルでも、換気は完璧とは言えないので、気分転換に外の空気を吸いにいくとリフレッシュできます。そして仕事をするときの姿勢も重要。猫背だと胸郭が広がらずうまく酸素が取り込めないので、背筋を伸ばすことを意識すると深い呼吸ができるようになります。

仕事に退屈さを感じている

雑務やルーティン業務など、あまり楽しいと思えない仕事をしているときは、誰しも眠気を感じがちです。退屈さは人間にとって苦痛ですが、苦痛を感じるとベータエンドロフィンという鎮静作用物質が分泌されるため、眠くなってしまう。ある意味自己防衛の一つです。

この場合は、退屈だと感じないための工夫が大切。面白みのない仕事に取り組むときは、例えば30分ごとに「ここまでやり切る」など目標を立てて、30分で終わらせるぞ!と決めて臨むといいでしょう。短いスパンで区切ると、ゲーム感覚で集中でき、退屈さを感じにくくなるのでお勧めです。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

どうしても耐え難い眠気に襲われたら…即効性の高い方法を紹介

歯磨きをしているビジネスパーソン
Photo by Adobe Stock

規則正しい生活を送るなど眠気を感じないように対策していても、どうしてもあらがえないほどの睡魔に襲われることはあります。そんなときに効く、即効性の高い方法をいくつかご紹介しますので、いよいよ困った時には試してみてください。

痛点が多い前腕の内側をつねる

即効性が高いのは、物理的に刺激を与えること。最もダイレクトなのは、体をつねるなどして痛みを感じさせることです。

どうせつねるならば、痛点が多く刺激を感じやすいところをつねると、より効果的。前腕の内側、特に中央部分の柔らかいところは痛点が多くて痛みを感じやすく、かつ場所的に仕事中でもつねりやすいので覚えておくといいでしょう。

顔か手を洗う、歯磨きをする

水で顔を洗うのも、即効性のあるリフレッシュ方法です。顔を洗いにくい場合は、冷たい水で手を洗うだけでもかなりスッキリするはず。歯磨きをする時間があるならば、よりすっきりリフレッシュできるのでお勧めです。

冷却シートを貼る、クールタイプの目薬を差す

今すぐ目を覚ましたいならば、クール系のアイテムに頼るのもいいでしょう。冷却ジェルシートを用意しておき、睡魔に襲われたら額に貼るようにすれば、かなりの目覚まし効果が期待できます。「社内では人の目があるので恥ずかしい」という場合は、クールタイプの目薬を差すのも効果的です。

さまざまな即効性ある方法をご紹介しましたが、自席で軽く伸びをしたり、屈伸運動をしたりするだけでも体に刺激を与えられ、眠気を軽減する効果があります。

また、昼食後など眠くなりそうな時間帯に、ブレストや打ち合わせなど、「人と話す要件」を入れるなど、スケジューリングを工夫するのもいいでしょう。会議やPC作業では眠くなったとしても、人と話している最中は眠気を感じにくいもの。営業職の人であれば、昼食後に敢えてクライアント訪問を入れるのもいいと思います。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

それでも眠気がずっと続く場合は、産業医に相談を

目薬をさしているビジネスパーソン
Photo by Adobe Stock

前述のような対策を行っても眠気が続く場合は、病気を疑ったほうがいいかもしれません。

考えられる病気の一つは、睡眠時に何度も呼吸が止まる「睡眠時無呼吸症候群」。呼吸が止まることで眠りの質が悪くなり、日中の眠気やだるさなどの症状を引き起こします。
睡眠時間はしっかり取っているはずなのに日中眠くなる…という人は、この病気の可能性がありますので、寝ているときに呼吸が止まっていないか家族に見てもらったり、スマホなどで録音したりして確認してみましょう。

もう一つは、ストレスによる精神的な病。人はストレスが溜まると、まず睡眠障害に現れます。なかなか眠れない、起きられないという状態が2週間以上続いている場合は要注意。うつ病もしくはその一歩手前である可能性があります。

いずれの場合も、まずは産業医に相談してみてください。症状を見ながら、職場の上長と相談しつつタスク変更や業務量の調整など策を講じることができます。生活リズムを取り戻しイキイキ働けるようになるために、ぜひ産業医をうまく活用してほしいですね。

▶あなたの隠れた才能を見つけ出す。転職活動にも役立つ!無料自己分析ツール「グッドポイント診断」

プロフィール

メンタル産業医・精神科医 井上 智介さんメンタル産業医・精神科医 井上 智介さん

兵庫県出身。島根大学を卒業後、大阪を中心に精神科医・産業医として活動中。産業医としては毎月30社以上を訪問し、一般的な労働の安全衛生の指導に加えて、社内の人間関係のトラブルやハラスメントなどで苦しむ従業員にカウンセリング要素を取り入れた対話を重視した精神的なケアを行う。さらに、すべての人に「大ざっぱ(rough)」に、「笑って(laugh)」人生を楽しんでもらいたいという思いから、SNSや講演会などで心をラクにするコツや働く人へのメッセージを積極的に発信中。『職場のめんどくさい人から自分を守る心理学()』(日本能率協会マネジメントセンター)、『職場の「しんどい」がスーッと消え去る大全()』(大和出版)など著書多数。

EDIT&WRITING:伊藤理子
PC_goodpoint_banner2

Pagetop