仕事のミス、報告しなかったらどうなる?ミスをしたら取るべき基本行動

若手、特に新入社員は仕事に慣れておらず、気を付けていてもどうしてもミスを起こしがちです。ミスは本来、すぐに上司に報告すべきものですが、「ミスが発覚した後、どう行動するのが正解なのか?」と迷ったり、「怒られるのが嫌だから些細なミスは隠してしまいたい」と考えたりする人が少なくないようです。

そこで、ミスをしてしまったときの基本行動や、ミスを隠すことのデメリット、ミスを防ぐためにできることなどを、人事・採用コンサルタントの曽和利光さんに伺いました。

ミスに悩む若手ビジネスパーソンのイメージカット
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仕事でミスをしたら、どう行動すればいい?

仕事でミスを起こしてしまったとき、誰しも混乱し、どう対応すればいいのかわからなくなるもの。社歴の浅い新人であればなおさらで、パニックに陥ってしまう人もいるかもしれません。次の基本行動を理解し、できる限り冷静な対処を心掛けましょう。

Step1:まずは上司や先輩に「報告」する

まず行うべきは、何をおいても「報告」。上司や先輩など、この仕事を指示・発注してくれた社内の人間に、すぐにミスを報告するのが基本です。
ミスは一刻も早く適切な対応をすることが重要。したがって、即座にかつ正確に、状況を報告することが肝心です。どういう状況下でどんなミスを起こし、どんな状態に陥っているのか、整理して伝えましょう。

やってはいけないのは、自己判断で勝手に行動すること。特に経験値の浅い新人はまだまだ的確な判断ができないもの。リカバーするつもりが、逆に火に油を注いでしまった…なんてケースは枚挙に暇がありません。

これまで多くのミスに対応してきた上司であれば、「この状況であればどう対応するのが最良の策なのか」を迅速に判断し、適切な対応を取ることができます。正確な状況報告が肝であると心得ましょう。

もしできるようであれば、ミスを報告する際に併せて「このミスの影響範囲」や「起こり得る問題」、そして「自分が考える対応策」を伝えられればベストです。

Step2:上司からの指示に従って行動する

ミスの状況を報告すれば、上司から「このように対処せよ」という指示が出ます。その指示に従って、行動しましょう。

軽微なものであれば、現場でどうやって手を動かせばいいのか具体的な指示が出るでしょうし、事が大きければ上司が一緒に対応する、もしくは上司が巻き取るケースもあるでしょう。いずれにしても指示通りに動き、あとはミスを引っ張りすぎず粛々と日常業務に勤しむことが大切です。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

報告しなかったらどうなる?小さなミスならば報告しなくてもいい?

考え込んでいるビジネスパーソン
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仕事でのミスは、基本的にはすべて報告すべきです。特に新人のうちは、どんな小さなミスであっても隠さず上司に報告しましょう。万が一ミスを報告しないと、次のようなデメリットが起こり得ます。

上司からの信頼を失い、仕事の負荷が増える

ミスを隠すことは、信頼の棄損につながります。
仕事には、必ず「相手」があります。すべて隠し通せると思ったとしても、例えば「こんなことがあったから今度から気を付けるように伝えてね」など相手側から情報が回ってきて上司の耳に入る…なんてことは容易に想像がつきます。

ミスを耳にした上司は、あなたに対し「ミスを隠していた」と不信感を抱くでしょう。それにより、「もっと厳しく監視しないと」と細かく干渉されるようになったり、頻繁に報告・連絡を求められるようになったり、反省し頑張っているのに「またミスを隠してやしないか」と痛くない腹を探られたりするなど、いらぬ負荷が増えてしまいます。そして、「この人に重要な仕事、責任ある仕事は任せられない」と判断され、成長のチャンスを失う可能性もあります。

上司からの信頼を失ううえに、仕事もやりづらくなり、しかも成長機会が得られない恐れがある…これが、ミスを報告しない最大のデメリットと言えます。

業務改善が進まなくなる

ミスを隠すことで、非効率でミスの起こりやすい業務が放置されてしまい、業務改善が進まなくなる可能性があります。労働環境の改善のためにも、ミスは隠さずすべて報告したほうが結局お得です。

どんなに気を付けて仕事に臨んでも、携わっているのが人間である以上、ヒューマンエラーは必ず起こります。
そして、ヒューマンエラーのトラブルシューティングを行ったり、再発防止のための策を講じたりするのは、マネージャーである上司の重要な仕事。特定の業務で同じようなミスが頻発しているならば根本原因を探って解消したり、業務のフローそのものを見直したりするなど、ミスが起こりにくい環境づくりに注力しています。

つまり上司にとって、現場から上がってくるミス報告は、業務改善のための重要な情報源。小さなミスであっても、「こんなミスが起こり得るのか」と業務フローを見直すきっかけになり、労働環境が劇的に改善する可能性があります。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

ミスが多い人の特徴とは?

上司に報告するビジネスパーソン
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基本的には、ミスの報告を徹底する過程で傾向と学びを得るため、自然とミスは減っていくものです。ただ、中にはいくら上司が指導し注意しても、同じようなミスを繰り返す人が一定数います。

一般的には、「メモを取らない人はミスが多い」などと言いますが、それは本質的ではありません。ミスを繰り返してしまう人の特徴は「自分は正しいと思い込んでいる」こと。これに尽きます。

自分は正しいと思い込んでいると、目の前のミスを自分事として捉えられないから、同じ失敗を繰り返してしまいます。「この業務は複雑だからメモを取って」と言われても、「自分はできる」と思い込んでいるからメモを取らないし、たとえメモを取ったとしても読み返したりはしません。

自己認知領域の話なので、ミスが多いことを自分で認識し、正すのは実はかなり難しいものです。ただ、もし周りからミスが多いことを指摘されたら、考え方を少し変えて「もしかしたら自分はこのタイプなのかも?」と疑ってかかることは重要です。すなわち「自分は正しい」ではなく「もしかしたら間違っているかもしれない」を念頭に置くなど、思い込みを減らす努力をする。時間はかかるかもしれませんが、状況は少しずつ改善するでしょう。

また、ミスを指摘されたら、不服に感じたとしてもそれを記録して認識し、傾向を理解するのも一つの方法。記録することで自分事と捉えざるを得なくなり、ミスへの認識が高まることで状況が改善する可能性があります。

そもそもミスを起こさないためには?誰でもできる対策を紹介

繰り返しになりますが、どんなに気を付けていても、ミスは必ず起こるもの。ただ、その頻度を抑えることは可能です。

最も有効なのは、基本行動のところでご説明した「報告の徹底」です。上司に即報告することで、状況に応じたベストな対応ができるうえ、一連のフローを通してミスを振り返り反省して、次につなげることもできるでしょう。

そのためにも、ミスを報告し上司の指示通りに動いた後は、「あのとき、なぜあのような判断をしたのか」と上司に確認するといいでしょう。複数あったでだろう選択肢の中でなぜその方法を選んだのか、上司の判断基準や仕事に対する考え方を知ることで、ミスを多面的に捉えられるようになり、その経験をもとに的確な現場判断ができるようにもなります。

なお、ミスの報告をためらう人の中には「上司に怒られるのが怖いから」という人が一定数いますが、隠したところでかなりの確率でバレるので、どのみち怒られます。どうせならば隠さずすぐに報告し、状況改善につながるほうを選んでほしいと思います。

曽和利光さん曽和利光さん

株式会社人材研究所・代表取締役社長。1995年、京都大学教育学部教育心理学科卒業後、リクルートで人事コンサルタント、採用グループのゼネラルマネージャー等を経験。その後、ライフネット生命、オープンハウスで人事部門責任者を務める。2011年に人事・採用コンサルティングや教育研修などを手掛ける人材研究所を設立。『「ネットワーク採用」とは何か』(労務行政)、『人事と採用のセオリー』(ソシム)、『コミュ障のための面接戦略』(星海社新書)など著書多数。最新刊『人材の適切な見極めと獲得を成功させる採用面接100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)も話題に。

EDIT&WRITING:伊藤理子

 

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