困った時こそ“原点に還る”習慣をつけよう!ーー『マネーの拳』に学ぶビジネス格言

『プロフェッショナルサラリーマン(プレジデント社、小学館文庫)』『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」(日本経済新聞出版社)』等のベストセラー著者である俣野成敏さんに、ビジネスの視点で名作マンガを解説いただくコーナー。今回は、三田紀房先生の『マネーの拳』をご紹介します。

『マネーの拳』から学ぶ!【本日の一言】

こんにちは。俣野成敏です。

ここでは、私がオススメする名作マンガの一コマを取り上げます。これによって名作の理解を深め、明日のビジネスに生かしていただくことが目的です。マンガを読むことによって気分転換をはかりながら、同時にビジネスセンスも磨くことができる。名作マンガは、まさに一石二鳥のスグレモノなのです。

©三田紀房/コルク

【本日の一言】

「外からのイメージや評判で、自分たちが決まるんじゃない。自分たちが何をつくって何を売るかで決まるんだ」

(『マネーの拳』第7巻 Round.60より)

地元・秋田の高校を中退した花岡拳(はなおかけん)は、友だちの木村ノブオとともに上京。花岡は、偶然始めたボクシングによって才能が開花し、世界チャンピオンにまで上り詰めます。

その後、ボクシングを引退した花岡は、タレント活動をしながら居酒屋を開業しますが、経営は思うようにいきません。そんな時に知り合ったのが、通信教育業界の成功者・塚原為之介会長でした。花岡は会長の教えを受けながら、ビジネスの世界でも頂点を目指すべく、新しいビジネスをスタートさせますが…。

ライバルによってリークされた幹部の過去

Tシャツ専門店のビジネスで大成功を収めた花岡。株式上場も果たし、さらに上を目指そうとする花岡の前に、行く手を阻む者が現れます。以前、花岡との出店競争に敗れた一橋商事の井川でした。井川は大企業の力を使って株を買い進め、わがものにしようと画策します。さらに裏で手を回して、花岡の会社の幹部とも接触し、寝返るように誘いをかけます。

さらにくさびを打ち込もうと、井川は花岡の会社のスキャンダルを雑誌社に提供。それは「幹部の何人かは、元ホームレスだった」というもの。花岡がホームレスを雇用したのは、出資者からの出資の条件だったからですが、このネタに雑誌社は大喜び。記事がトップ扱いで報じられてから、マスコミが大挙して押し寄せるようになり、社員の間にも動揺が走ります。

そこで、元ホームレスだったナンバー2の大林が「だったらいっそ、オレたちのサクセスストーリーをマスコミに売っては」と提案します。ところが、花岡の答えはNO。「わが社はこれくらいではビクともしないところを、世間に印象づける。それが安心感につながって、顧客との信頼回復にもつながるのだ」、と。花岡は「今は生産工程を見直し、最高の商品をつくって丁寧に売る。これこそが商売の王道だ」と語るのでした。

相手の信じたことが、その人にとっての真実になる

特に上場企業のスキャンダルともなれば、メディアが面白がって追いかけ回すのが世の常です。ここで、火消しに躍起になったからとて、相手がそれを信じてしまえば、それがその人にとっての真実となります。

これに対して、幹部の大林は「噂には噂でもって対抗しよう」としたわけですが、世論を誘導するなど、できるはずもありません。そのようなことをすれば、ますます本質から遠ざかっていくだけでしょう。花岡の語った、“原点回帰”こそが本質です。「モノをつくって売ることがわれわれの商売なのだから、今こそそこに立ち返ろう」ということです。

サラリーマンの方は、会社や取引先、同僚や顧客など、絶えず周りから評価される立場にあります。時には、自分の言動が誤解を招いたり、根も葉もない噂を立てられたりすることもあるかもしれません。そのようなときこそ、この花岡の言葉が役に立つのではないでしょうか。

©三田紀房/コルク

成功した途端にすり寄る相手も拒否しない

困ったときに限らず、「自分がやるべき仕事をやる」のがビジネスの基本です。私はサラリーマン時代に、社内ベンチャー制度で起業しました。けれど、その時の周りの反応は、冷ややかなものでした。「可哀想なやつ。会社の言葉に踊らされて」「あいつは、本気で新規事業が上手く行くとでも思っているのか?」といった嘲笑なども受けました。

それらを全く気にしなかった、というわけではありませんが、私は会社の立ち上げに忙殺されていたため、そうした意見に構っている暇はありませんでした。ところが、ビジネスが軌道に乗り、2年後にグループ約130社の中で現役最年少の役員となったときには、いつの間にか周りの反応が180度変わっていました。みんなが「自分は俣野のビジネスと関わりがある」と我先に主張し始めたのです。

ここで、間違っても「この人は以前、私に冷たかった」などと復讐心を燃やしてはいけません。たとえ心当たりがなくても、相手が「自分は関係者だ」と主張してくるのは、「あなたの味方になりたい」というサインです。ビジネスとは継続が前提である以上、味方は1人でも多いに越したことはないのです。

他人の言動に翻弄されないためにできること

今回の話が伝えようとしているのは、「自分のコントロールできることに集中する」ということです。他人の心や行動を変えさせようとしたところで、こちらの意のままにはなりません。淀みなく話すスキルがあれば、相手を説得できるのかというと、そんなことはありません。まずは自分の行動と、それに伴う結果が、相手を納得させるのです。

人は意外に、自分では変えられないことに悩んでいることが多いものです。もし、仕事で上手くいかないことがあったなら、1度「これは本当に、自分が何とかすればコントロールできることなのか?」と自問してみるといいでしょう。この質問が、あなたが本来、取り組むべきことに気づかせてくれるはずですから。

横槍が入ったと感じた時ほど原点回帰。本来やるべきことに注力します。確固たる芯が自分にあるかどうかを試されていると考えてみましょう。

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俣野成敏(またの・なるとし)
30歳の時に遭遇したリストラと同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。年商14億円の企業に育てる。33歳でグループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、さらに40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任。『プロフェッショナルサラリーマン()』及び『一流の人はなぜそこまで、◯◯にこだわるのか?()』のシリーズが、それぞれ12万部を超えるベストセラーとなる。近著では、日本経済新聞出版社からシリーズ2作品目となる『トップ1%の人だけが知っている「仮想通貨の真実」()』を上梓。著作累計は38万部。2012年に独立、フランチャイズ2業態5店舗のビジネスオーナーや投資活動の傍ら、『日本IFP協会公認マネースクール(IMS)』を共催。ビジネス誌の掲載実績多数。『ZUU online』『MONEY VOICE』『リクナビNEXTジャーナル』等のオンラインメディアにも寄稿。『まぐまぐ大賞(MONEY VOICE賞)』1位に2年連続で選出されている。一般社団法人日本IFP協会金融教育研究室顧問。

俣野成敏 公式サイト(

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