自分の価値を下げるか上げるか、決めるのは自分自身ーー『マネーの拳』に学ぶビジネス格言

『プロフェッショナルサラリーマン(プレジデント社、小学館文庫)』『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」(日本経済新聞出版社)』等のベストセラー著者である俣野成敏さんに、ビジネスの視点で名作マンガを解説いただくコーナー。今回は、三田紀房先生の『マネーの拳』をご紹介します。

『マネーの拳』から学ぶ!【本日の一言】

こんにちは。俣野成敏です。

ここでは、私がオススメする名作マンガの一コマを取り上げます。これによって名作の理解を深め、明日のビジネスに生かしていただくことが目的です。マンガを読むことによって気分転換をはかりながら、同時にビジネスセンスも磨くことができる。名作マンガは、まさに一石二鳥のスグレモノなのです。

©三田紀房/コルク

【本日の一言】

「売るのなら高く売れ。自分を高く売れ」

(『マネーの拳』第7巻 Round.59より)

地元・秋田の高校を中退した花岡拳(はなおかけん)は、友だちの木村ノブオとともに上京。花岡は、偶然始めたボクシングによって才能が開花し、世界チャンピオンにまで上り詰めます。

その後、ボクシングを引退した花岡は、タレント活動をしながら居酒屋を開業しますが、経営は思うようにいきません。そんな時に知り合ったのが、通信教育業界の成功者・塚原為之介会長でした。花岡は会長の教えを受けながら、ビジネスの世界でも頂点を目指すべく、新しいビジネスをスタートさせますが…。

「自分の居場所がなくなる」のを、どうすれば防げるか?

小さな町工場から始めた花岡のビジネスは、Tシャツ専門店のチェーン展開で大成功。ついに株式の上場を果たします。それに伴い、社内も大変革の波にさらされます。新しい優秀な人材が次々と入社し、それまでの寄り合い所帯的な体質から、より近代化した組織に生まれ変わろうとしていました。

花岡の会社で経理部長を務める菅原は、元ホームレスです。以前、自分のお店を経営していましたが、従業員にお金を持ち逃げされ、夫婦揃ってホームレスになっていたところを、花岡に拾われました。実はこの仕事を始めたばかりのころ、菅原は再び同僚にお金を持ち逃げされ、花岡の会社に800万円の損害を負わせていました。

自分に自信がない菅原は、「優秀な人材が入ってくれば、自分の居場所がなくなる」と思い、会社を去ろうと考えます。花岡は菅原に「今辞めて、本当にいいのか?」と問いかけます。菅原も、頭の中では「今、辞めたらダメだ」とわかっているのに、感情的な面から、吹っ切ることができないでいるのでした。

「変わる」と決意した瞬間から、変化は始まっている

自分の中の葛藤に苦しむ菅原。このように、人は一度、自分の中にできてしまったパターンを、なかなか変えることができないものです。ところが、本当は自分を変えること自体は、さほど難しいことではありません。とはいえ、そこに至るまでには、いくつかの段階を経なくてはなりません。事例で説明しましょう。

例えば人が立っている状態から、向きをくるりと変えようと思えば、その動作自体は一瞬でできます。けれど、実際は頭の中で命令信号を送り、首と足先をそちらのほうへ向け、腕の力も使いながら体をそちらのほうへひねる、といった一連の作業を行って、初めて向きを変えることができます。“自分を変える”というのは、これを超スローモーションで行うがごとくに、少しずつ、新しい自分に近づいていくことです。

人は、自分を変えようと思ったその瞬間から、変化が始まります。しかし、最初はその変化がゆっくりで、感じることができないために、多くの人は「やっぱり変われない」「自分にはムリだ」とあきらめてしまいます。実際の目に見える変化は、もっと後にやってきます。ですから行動を変えるには、その前にある葛藤を乗り越えられるかどうかがポイントとなるのです。

©三田紀房/コルク

場所を変えるだけでは、問題は解決しない

マンガの話に戻りますと、株価がもっとも値下がりしているときに、会社を辞めようとする菅原。このまま辞めたら再就職は難しく、生活のために株を叩き売る他ありません。実はこうしたことは、実社会にもしばしば見られます。一例を挙げると、転職をしようとしている人たちの中に、菅原と同じパターンに陥っている人が多くいるでしょう。人が転職を考える理由とは、「会社から認められない」「給料が安い」「ウマが合わない人がいる」といった内容がほとんどです。

このような感情に陥っている時は、自分のパフォーマンスも下降気味で、それはサラリーマンとしての自分の市場価値とも直結しています。つまり、マイナス要因から「辞めます」と言っている人は、労働市場での自分の価値が落ちているときに、転職を切り出しているケースが多いのです。

それを挽回する方法が、「自分の価値を自分で上げる」ということです。自分を高く売るためには、今いる場所で、武勲として持っていけるだけの成果を出すことが先決です。

自分の価値は自分で上げる

少し話しは逸れますが、私は、自分が所有する会社の1つの社長の座を後進に譲ることにした経験があります。その会社は、現在2業態5店舗を経営する年商5億円程度の会社でした。退任の理由を聞かれることが多かったのですが、「管理職の経験すらなかった生え抜きでも、頑張れば社長にだってなれる」。これ以上に従業員に夢を与えられる施策はないというのが私の考えでした、もともとこの会社は、私がビジネスオーナーとして起業したので、社長を育成するまでが私の仕事だと考えていました。そして、新社長が取締役に就任したタイミングで、私は自分が持つ株式の一部を会社設立当初の原価で後進に譲りました。

まさに、今回のエピソードと同じように、「会社の株価を自分で上げろ」という私なりのメッセージです。

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俣野成敏(またの・なるとし)
30歳の時に遭遇したリストラと同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。年商14億円の企業に育てる。33歳でグループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、さらに40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任。『プロフェッショナルサラリーマン()』及び『一流の人はなぜそこまで、◯◯にこだわるのか?()』のシリーズが、それぞれ12万部を超えるベストセラーとなる。近著では、日本経済新聞出版社からシリーズ2作品目となる『トップ1%の人だけが知っている「仮想通貨の真実」()』を上梓。著作累計は38万部。2012年に独立、フランチャイズ2業態5店舗のビジネスオーナーや投資活動の傍ら、『日本IFP協会公認マネースクール(IMS)』を共催。ビジネス誌の掲載実績多数。『ZUU online』『MONEY VOICE』『リクナビNEXTジャーナル』等のオンラインメディアにも寄稿。『まぐまぐ大賞(MONEY VOICE賞)』1位に2年連続で選出されている。一般社団法人日本IFP協会金融教育研究室顧問。

俣野成敏 公式サイト(

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