在宅勤務拡大で注目度UP!仕事用イス選びの注意点とは?

在宅ワークが増え、自宅のイスで仕事をするようになったことで、腰痛や肩こりなど思わぬ体の不調に悩まされているビジネスパーソンが増えているようです。

それに伴い、ワーキングチェアの購入を検討している人も多いようですが、どういうポイントに注目して選べばいいのでしょう?また、今あるイスで、もう少し快適に仕事ができる方法はないものでしょうか?ワーキングチェアを扱う「WORKAHOLIC」のチェアコンシェルジュ・伊藤僚範さんに伺いました。

「WORKAHOLIC」店内写真

アドバイザー

「WORKAHOLIC」チェアコンシェルジュ・伊藤僚範さんプロフィール画像株式会社オフィックス
「WORKAHOLIC」チェアコンシェルジュ・伊藤僚範さん

高機能オフィスチェアをメインに扱うセレクトショップ「WORKAHOLIC」のチェアコンシェルジュ。前職にて体の仕組みや健康などについて学ぶ。自身も腰痛経験があり「腰痛人口を減らしたい」という思いから、1人ひとりに合ったワークチェアの選び方や負担のかかりづらい座り方を案内している。

「普通のイス」は長時間座るのに適していない

在宅ワークの拡大を受け、自宅のダイニングチェアなど手持ちのイスで仕事をする人が増えているようです。これらのイスは長時間座ることを想定しておらず、仕事にはあまり向いていません。

ダイニングチェアに多い木製のイスや、デザイン性を意識したプラスチック製のイスは座面も背面も硬く、長時間座ると体に負担がかかります。座面の高さも調節できないので、PCを置く机とのバランスも取りづらく、猫背になりやすいのも難点です。

ワーキングチェアは、人間工学に基づき身体の形に沿って作られています。人の背骨を横から見るとS字カーブを描いていますが、チェアの背面はそれに沿った形で姿勢をサポートしてくれます。座面も高さが調節できるので姿勢が保ちやすく、クッション性があるためお尻にかかる荷重を分散させることができます。自分の体に合った正しい姿勢で座ることができるので、長時間座っていても負担が少なく、仕事にもより集中でき効率も上がると思います。

 

8,568通り、あなたはどのタイプ?

自分に合ったワーキングチェアの選び方

靴や洋服を選ぶのと同様で、イスを選ぶ際もポイントとなるのは「自分の体に合っているかどうか」。大前提として、自分の身体に対して大きすぎるもの、小さすぎるものは避けましょう。

主なチェックポイントは、以下になります。実際に座ってみて、自分の身体にフィットするかどうか、負担を感じる部分がないか確認してみることをお勧めします。

  • 座面
  • 背もたれ
  • ヘッドレスト
  • アームレスト

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「座面」は長さ(奥行)に注目を

イスは腰のサポートを受けるために、腰を背もたれにしっかり付け、奥まで座るのが基本。ただ、背が低い人の場合、座面が長い(奥行がある)ものだと奥までしっかり座るとヒザの裏が座面の先端に引っかかってしまい、ふくらはぎを圧迫してしまうことがあります。座面の長さが自分の身体に合っているか、もしくは座面の奥行きが調整できるかを確認しましょう。

適正な長さは、奥まで座ったうえでヒザの角度が90度になること。そしてふくらはぎと座面の先端の間に指2~3本分の隙間が空くのが理想です。

この姿勢を取るには、「座面の高さ」も重要になります。ヒザを90度にするには、足がピッタリ床にくっついているのがポイント。

足が床に届かずブラブラさせている人を見かけますが、これはNG。自身の体重が太ももにかかり圧迫することで血流が滞り、むくみやしびれの原因になります。イスの脚などに足を乗せる人がいますが、これもNG。足の屈曲が強くなり血流が弱まるうえ、足をイスの下に入れることで上体が前のめりになり背もたれから体が離れ、背筋のS字カーブの維持が難しくなります。

足を床につければ、両足とお尻で「三角形」のラインが作られ、正しい姿勢が安定しやすくなります。多くのワーキングチェアは高さが調節できるので、ヒザが無理なく90度になるよう調整しましょう。

 

「背もたれ」は、自分の背中よりも大きいものを

デスクワークの際の基本姿勢は、ワーキングチェアに体を預けたときの目線がPCと同じ高さにあること。従って基本的には、自分の背中よりも背もたれが大きく、背中全体を支えてくれるものがお勧め。

特に長時間デスクワークを行う人は、背面が大きい方がベターです。背中がすっぽり覆われるので基本姿勢が取りやすく、リクライニング時は身体をしっかり支えてくれてリラックスもしやすいです。

中には、背中の可動域を広げるため、敢えて背もたれが小さく作られているワーキングチェアもあります。仕事中にも手や腕を動かしたい、または動かす機会が多いという人には向いているかもしれません。

いずれにしても、座面の奥まで座ったときに、背面により腰がしっかり支えられている感覚があるものを選ぶと、姿勢が保たれ、腰の負担を最小限に抑えられます。

「WORKAHOLIC」店内写真
▲背もたれのサイズはさまざま。自分のワークスタイルにあったものを選ぼう

 

「ヘッドレスト」があれば身体への負担がさらに軽減する

「自宅のワーキングチェアにヘッドレストはいらない」という人が多いですが、正しい姿勢を取りやすく座りっぱなしによる身体への負担を軽減するうえ、リラックス姿勢も取りやすい優秀なパーツです。

人の頭の重さは体重の10%程度と言われ、ボーリングの球ぐらいの重さを身体が支えているという計算になります。デスクワークを続けていると、集中して画面を見るため徐々に前傾姿勢から猫背になります。頭が前に出ることでその重さが首や肩、背中、腰と身体への負担を増大していきます。

イスに深く座り、背もたれとヘッドレスト※に軽く体を預けながら仕事をすれば、重たい頭が支えられ、疲れにくくなります。肩こりや腰痛の予防にもなります。
また、仕事の合間にヘッドレストと背もたれに上体を預けることで身体を休め、リラックスすることもできます。

 

高さや角度が調整できる「アームレスト」はヒジや腕の負担を減らす

ヘッドレストと同様、アームレストも「自宅用には必要ない」という人が多いですが、長時間デスクワークをしていると思いのほかヒジや腕全体に負担がかかるもの。腕を乗せられるアームレストがあれば、腕の重さに疲れることなく仕事が捗ります。

選ぶ際のポイントは、高さや角度が調整できるもの。ヒジがアームレストの上に全部乗り、肩が上がらずヒジが90度になる高さに調整すると、PC作業が非常に快適になります。

オフィスチェアのヘッドレスト
▲前に傾く可動ヘッドレスト、アームレストは身体への負担をさらに軽減してくれる

 

「実際に座って確かめる」のは基本中の基本!

最近は「店舗に行って選ぶ時間がないから、ネットで買う」という人もいるようですが、どんなに高機能のチェアであっても、自分の身体に合わなければ意味はありません。基本的には「座って、自分に合っているか確かめる」ことが大前提です。

特に背もたれや座面の「硬さ」や「素材感」は人によって好みがあるため、実際に座ってみないと判断し切れません。

例えば、「自分は汗かきだから…」などの理由で、背もたれや座面がメッシュのワーキングチェアを選ぶ人がいますが、メッシュは体の重さで沈みやすく、それによって身体をホールドする作用があります。従って、体格がある人は安定感が得られ、座り心地もよく感じますが、小柄で痩せ型の方は身体が沈まず座面の張りだけを感じ、お尻が痛くなりやすい傾向があります。

このように「座ってみなければわからない」ことはさまざまあります。背もたれが同じようにS字カーブになっていても、素材によってフィット感が異なります。座面の硬さも、座ってみてこそ「これは長時間座ると痛くなりそうだ」「これはお尻を包み込みフィット感がある」など、細かい感覚がわかるもの。長く付き合うことになるワーキングチェアなのですから、ここはしっかり、自分の目で見て、いろいろなイスを体験して、納得できる1脚を選びましょう。

 

今あるイスを仕事用に格上げする方法とは?

そうはいっても「すぐ買いに行けない」という人もいるかと思います。皆さんすでにやっていることかと思いますが、木などの硬い背もたれ・座面の場合は、お尻の下に好みの硬さのクッションを敷いたり、背もたれと背中の間にクッションを挟むなどして、身体への負担を軽減するといいでしょう。

また、ダイニングチェアなど自宅用のイスは、座面の高さが調整できないものが多く、前述した基本姿勢(座面奥まで座り、足を床につけ、ヒザは90度)が取りにくいと思います。足がブラブラ浮いてしまう場合は、床の上にクッションを置いてそこに足を乗せるなどして調整するといいでしょう。もちろん、専用の足置きを使うのもオススメです。

机の高さがイスの高さと合わず、PC作業で低い画面を見ているときに顔が下向きになってしまう場合は、PCの下に雑誌を敷くなどして高さを出して調整しましょう。ちょっとしたことですが、顔の向きが下がると自然に猫背になり、姿勢が崩れて腰への負担が増大するので覚えておくといいでしょう。

 

「WORKAHOLIC」
「WORKAHOLIC」店内写真
高機能オフィスチェアをメインに扱うセレクトショップ。国内外18ブランド約70脚のチェアを座り比べられるフロアには、伊藤さんを始めとするチェアコンシェルジュが常駐。アドバイスを受けながら、正しい姿勢やワーク環境に合った1脚を選ぶことができる。価格は4万円台から。完全予約制。
「WORKAHOLIC」ホームページ
EDIT&WRITING:伊藤理子

 

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