職場で女性がひとりだけ…仕事を円滑に進めるにはどうすればいい?|川崎貴子の「働く女性相談室」

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「働く女性の成功、成長、幸せのサポート」という理念のもと、キャリア支援やコンサルティング、結婚コンサルタントなど、幅広い領域で活躍されている川崎貴子さん。その経験と女性経営者ならではの視点から、のべ1万人以上の女性にアドバイスをしてきた川崎さんが「“働く女性”に立ちはだかるさまざまなお悩み」に厳しくも温かくお答えするこのコーナー(→)

今回は、「転職先が決まったけど、『職場で女性は私ひとり』になりそうで…」というお悩みについてです。

女性一人の職場でうまくやれるか悩む女性

<相談>
転職が決まりました。新しい職場についての様子を調べたところ、私が所属するチームには男性しかいないらしく、心配になっています。というのも、私はこれまで比較的女性が多い現場にいたため、男性社会ならではの文化やマナーについてよくわからないからです。あまり意識しすぎるのもどうかと思いますが、仕事をうまくやっていくにはどのように振る舞えばいいか、アドバイスをお願いします。(26歳 事務職)

“女性が自分だけ”なのはラク?それともいばらの道?

女性の多い職場からいきなり男性しかいない職場に転職、ではいろいろ心配になってしまうのも無理はありません。

これだけダイバーシティだ、女性活躍推進だと叫ばれているというのに、未だ女性比率の低い職場は存在します。

そもそも女性からまったく応募(希望者)がないのか?
それとも採用した女性たちが次々と辞めてしまうからなのか?
力仕事など女性に避けられがちな仕事の問題なのか?

理由はさまざまかと思われますが、部署や店舗によってはたまたま女性ひとりになってしまうケースもあることでしょう。

そこは一見、女性特有の水面下バトルも上辺の付き合いもなさそうで、女性ひとりの状態って実は女性だらけよりラクなのでは?と思いがち。

でも、「キャリアアップしたい」「仕事を頑張りたい」「結婚出産しても仕事を続けたい」と願うキャリア志向の女性たちにとって、女性ひとりという職場はまさにいばらの道。ありとあらゆることでパイオニアになる気概、そして屯田兵並みの開拓力が必要になります。

キャリア志向の女性が転職する際、対象企業の男女比率や女性管理職比率などを注意深く確認するのは、その道が舗装された道なのか、未だいばら道なのかを確かめる必要があるからです。

そんなこと百も承知で入社したのに配属先はたまたま男性だらけ、という状況もあるでしょう。今回はそのような環境で頑張っている女性に向け、注意点や処世術などをお伝えしたいと思います。

自分から仕事を取りに行くべし

女性ひとり状態で働く女性からの相談内容で一番多かったのが、「アシスタント的な仕事しか任されない」というものでした。

総合職で入ったのに、いつの間にか部署全員のアシスタントになってしまった、と。で、よくよく聞いてみると、その部署の男性たち全員が「好意で」彼女をアシスタントにしていたのですね。彼女に負荷がかからないように、辞めないように、と。

いばら状態の職場では、キャリア志向の女性を育てる社風やスキルはほぼないに等しく、「私は総合職で採用されたんだから、会社はそれなりの仕事を与えてくれるはず」は通用しないのです。

現代は、セクハラ、パワハラに敏感になっている男性上司や先輩も少なくありません(これは良いことだけど)。特に、女性社員がひとりだけとなると、対応に不慣れなために、なかば「腫れ物に触る」が如き慎重さが見受けられる職場もあります。仕事をがっつり教えよう!というより、遠巻きに見ている感じとでも言いましょうか。

あなたの希望を言語化して、普段から上司や周囲に伝えておく

一方で、ひとりだけの女性社員が何を考えて仕事をしているのかわからない、という男性上司のお悩みもよく耳にします。

ですから、彼らには教えてほしいこと、やりたい仕事、自分に今できること、個人の目標などをしっかり言語化して伝える必要があるのです。

上司だけではなく、先輩や同僚にもシェアしておくと、あなたの意欲がより伝わりやすくなるでしょう。

私がかつて新入社員で配属された部署は、営業は全員男性、アシスタントは全員女性という職場でした。そもそも営業志望でその会社に入社したので、当時はその神の采配(人事)を呪ったものです。

そこで私は「私を営業にしてくださいキャンペーン」を張ります。上司や先輩と話す機会があればとにかく「私を営業にしてください」と売り込むという、おそらく上司からしたら相当鬱陶しい新人だっただろうと思いますが、行動を起こしたのです。

結果、1年後には晴れて営業になれました。

多くの先輩たちが「そろそろ川崎を営業にしてやってください(*うるさいし…)」と、上司に言ってくれたのも大きかったと後に聞いて、根回しと交渉の大切さを学びました。

そして、「自分がやりたいことを伝える」ということを、女性ひとりの職場では特に、さぼってはならないのだと実感したのでした。

職場をいたずらに乱さない

職場になじみたいからと、男性陣に同化することに心血を注いでしまう女性もいます。「やっぱり女だなー」と言われたくなくて、男性と張り合ってお酒を大量に飲んだり、キャバクラに付き合ったりね。はい、それは若かりしころの私です。

今では「それは男性同士で楽しんで~♪」と言えることですが、当時の私は「男性社会で出世するには男性と同じにならなくては!」という強迫観念にも近い呪いを自らにかけていたのです。

けれども段々と、自分が女性だからこその優位性(女性ユーザーの気持ちがわかるとか、女性同士の情報網を使えるとか)を武器にしたほうが、男性社会で自分の価値を発揮する戦略としていいのでは?と気づいていきました。

今、「女性が自分ひとりだけ」でお悩みのみなさんにも、無理に同化しようとせず、自分の武器を早めに見つけることをお勧めします。今の時代、男性の文化に付き合わないからといって職場の和が乱れることはまずないでしょう。

それよりも注意しなければいけないのは「職場恋愛」です。

特に職場で女性ひとりだけという状況であれば、みんなから注目を集めやすい存在になることは避けられません。恋愛は禁止されるようなものではないけれど、あなたの行動次第で必要以上に波風を立ててしまう可能性があります。職場はあくまで職場ということを意識して、「女性ひとりだからこそ」慎重になっておきましょう。

パイオニアになることを恐れない

働く女性たちをカウンセリングしてきて思うのは、「キャリアは積みたいけどパイオニアになりたくない」と感じている人がとても多いということです。

できれば誰かが渡った橋の上を、同じように安全に渡ってゆきたいと願う気持ちが強い。会社で初めての女性部長、とか、同期で一番優秀だと表彰されるとか、会社で初めて産休を取るとか、そういうことに使命感や優越感を感じない人が多いんですね。

それがダメだということではありません。相談者さんや同じような悩みを持つ人たちはきっと、まず身近な上司に評価されたいとか、役に立っていると実感したい、という気持ちが先行しているだけで、特に新しい職場に変わるときであればなおさらでしょう。

方や男性には「初めて」「一番」「パイオニア」が大好物、という傾向があります。それでモチベーションが上がったりもします。(もちろん「私だって大好物だ」という女性もいますけど。)

しかし、女性管理職が育っていない職場で女性がひとりぼっちでキャリアを積むためには、誰よりも“初めて”をいっぱい経験し、誰も渡ったことのない橋を渡らなければなりません。

「産休育休はもちろんあるけど、取得した人は見たことがない。要は妊娠するとみんな辞めていた」という原始時代のような会社も未だたくさん存在するのです。

ルールがないのならルールを提案し、前例がなくともチャレンジしてみること、そしてフロンティアスピリットを持って交渉してみることが大切です。

それには一番に、日頃から上司や同じ職場の人たちとコミュニケーションを取っておくこと。そして何より、「パイオニアになることを恐れない」ことが重要なのです。

相談できる女性上司が社内にいない場合、他社でも、ネットでも、信頼できる人を見つけ、相談する事をお勧めします。有名企業や、SNSで発信力を持ち業界では名の知れた女性が主催する勉強会に参加したり、私のように表立ってキャリアカウンセリングを行っている人を探してみたりするといいでしょう。

色々な女性たちと話していていつも思うのは、「逆境は成長の糧だなぁ」ということです。

キャリア志向の女性にとって、職場で女性ひとり、モデルケースもいないという状況は完全なる逆境だと私は思います。でも、その上で得られる経験は、普通は得られないものではないでしょうか。

その貴重な経験を獲得するための「女性ひとりの環境だからこそ培われる武器やスキル」も、道なき道を行くという女性たちが避けがちな会社員生活の先に、確実にあります。

新たな環境を楽しみながら、後に続く道を拓いていってください。

回答者:川崎貴子川崎貴子さんプロフィール用画像

リントス(株)代表。「働く女性に成功と幸せを」を理念に、女性のキャリアに特化したコンサルティング事業を展開。
1972年生まれ、埼玉県出身。1997年、人材コンサルティング会社(株)ジョヤンテを設立。女性に特化した人材紹介業、教育事業、女性活用コンサルティング事業を手掛け、2017年3月に同社代表を退任。女性誌での執筆活動や講演多数。(株)ninoya取締役を兼任し、2016年11月、働く女性の結婚サイト「キャリ婚」を立ち上げる。婚活結社「魔女のサバト」主宰。女性の裏と表を知り尽くし、フォローしてきた女性は1万人以上。「女性マネージメントのプロ」「黒魔女」の異名を取る。2人の娘を持つワーキングマザーでもある。

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イラスト:yoko

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