もやもやを吹き飛ばす!道が見える!マイミッションを見つけよう

いま、在宅ワークが推奨されるなど、働き方が様変わりしようとしています。今後どうなるのかと不安を抱えている人も少なくないでしょう。「こういう時だからこそ、自分の軸を見つめ直すチャンス」というのは株式会社WHITE代表取締役の神谷憲司さん。
株式会社WHITEは、「外側からコンサルするのではなく、社員と一緒になって、内側から」イノベーションや新規事業を支援するユニークな会社であり、これまで名だたる企業の数々の新規事業に関与してきました。
イノベーションやミッションに、人一倍、熱い想いを抱く神谷さんにお話をお聞きしました。

株式会社WHITE代表取締役の神谷憲司さん

WHITE Inc.代表取締役社長 神谷憲司さん

クリエイティブディレクター兼クリエイティブテクノロジストとして活動しながら、テクノロジーを起点とした新しい体験や製品・サービス開発に携わる。国内外の広告賞受賞歴も多数。
2016年SXSW Interactive Innovation Awards VR/AR部門にて日本企業として唯一となるファイナリスト受賞。

“引きこもりの時期”こそ、方向性を整えるチャンス

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大(2020年)により、多くの人々が新たな働き方を求められるようになりました。

在宅ワークの推奨で社内の人との交流が減り孤独を感じている人や、業務が縮小され時間を持て余している人、今後に不安を感じている人もいるでしょう。事態は少しづつ収束傾向にありますが、まだ予断を許しません。

「Stay Homeで社会全体がひきこもりがちな時期だからこそ、今は自分を見つめて方向性を整えるチャンス。会社と距離感が生まれているこの機会に、自分が本当にやりたいことは何だったのか、何をすべきなのか『マイミッション』を捉え直して、新しいことを始めましょう」というのは、企業のイノベーション・新規事業を支援している神谷憲司さんです。

神谷さんは常々、「社会にとっての新たな価値を生み出し、社会の仕組みを変革し、普遍化していくことがイノベーション」と考えています。

ですが、イノベーションを起こそうとしても、個人と社会の間にある部署・会社・地域・国などさまざまな層や規模の異なる組織が壁となり、アイディアを抱えたまま孤立してしまう若者たちは少なくありません。

そんな若者たちのプロジェクト実現を支援する、それが神谷さんの事業の中核です。

これまで数々のミッションをクライアントとともに達成してきた神谷さんの語る「マイミッション」とは、自己への問いかけを繰り返すことによって自分の価値観を浮き彫りにするためのもの。

折しもこのような世情の中、自分自身と対話する時間を作りやすくなったと考えることができます。それは、孤立を回避する手段にも。

『マイミッション』を見つけることで、外部環境の変化に左右され過ぎずに、自分が本来やるべきことに集中できるようになる。自分でコントロールできないことに振り回されて不安に陥るよりも、自分がやりたいことに集中すれば、持て余していた時間も未来の自分への投資の時間になるのです

8,568通り、あなたはどのタイプ?

マイミッションの見つけ方【1】 4つの質問

ではどうすれば、自分が本来やるべきこと、やりたいことがみつかるのでしょう。

「『私が本当にやりたいことはこれだ!』と明確に言える人は決して多くありません。そこで、弊社(神谷さん経営のテクノロジーイノベーション事業会社、WHITE Inc.)でも、まず全社員と私が1on1(ワン・オン・ワン)をやり、それから個別にマイミッションを設定してもらっています」

内省を通して自分自身の軸や価値感を発見するということは、その人の成長にとって非常に重要なこと。
そして、何ごとも主体的に、自主的に行動し、周りから何を言われようとも譲れない信念はしっかりと貫き通す、そんな人材が増えることで世の中にイノベーションも増えていくとの強い思いが神谷さんにはあります。

「でも、最初はみんな何をしたらいいのかわからないんです。価値があると思っていることを、その人の中で整理できていないことは多い。むしろ、ほとんどの人がそうだったりします」

株式会社WHITE代表取締役の神谷憲司さん03

そこで、神谷さんは、1on1の対話の中で次の4つの質問をしています。

〈1〉20歳までで一番ポジティブに感じたこと
〈2〉20歳までで一番ネガティブに感じたこと
〈3〉一番問題・課題と感じていること
〈4〉一番気になっている人

これらの質問は、まず北端康良氏の著書『才能が9割 3つの質問であなたは目覚める』(経済界、2014年)から3つの質問を採用し、さらに神谷さんのアレンジを加えて4つとなったものです。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

マイミッションの見つけ方【2】 一番大事に考えていることを言語化する

「1on1を行うときは、私は相手の答えに対して『それはどんなシチュエーションだったの、なんでそう感じたんだろう』など、問いを重ねていきます。自分がなぜそう思ったのかを問い続けることで、自己認識の解像度が高くなります。

頭の中にもやっとあったものが整理され、自分の好き嫌いが言語化されて、自分の軸、そして価値観のようなものが見えてくるんです」

例えば、質問〈1〉の「20歳までに一番ポジティブに感じたこと」を振り返る過程でいくつか思い浮かんだら、そこに共通するものがあるのか、あるいは順位をつけてみて他よりもこれが一番の理由はなんだろう、と自分に問いかけてみてもいいでしょう。

自問自答してなぜその答えなのかを掘り下げ、人に説明できる言葉にしてみましょう。

マイミッションの見つけ方【3】 キャッチコピーを考える

「考え方や価値観を抽出して言語化できたら、次はそれをひと言でどう表せるのか、マイミッションにキャッチコピー的なフレーズをつくるんです。

例えば私のマイミッションは『新しいことを始める人の孤独をなくす』ことです。
新しいことを始める人って孤独なんです。既存の事業を成長させていくのはみんなとゴールが一緒ですが、そこから外れて新しいことを始める人は伴走者はいないし、支援も受けられない。

その結果、みんなに認められようとして、型にはまったものになってしまったりチャレンジを辞めてしまったりする。そうならないために、新しいことを始める人の孤独をなくし、新しいチャレンジが容易にできる組織にしてイノベーションを促すというのが、マイミッションです。

株式会社WHITE代表取締役の神谷憲司さん02

私の場合は、会社のミッションとマイミッションがほぼ同一ですが、社員の中には『人が働くときに感じる不安をなくしたい』をミッションにしている人もいますし、『ひとり一人が表現する場所をつくっていきたい』という人もいます」

マイミッションの見つけ方【4】 自分にマッチしているかブラッシュアップ

「作ったキャッチコピーを、自分の中で“抱えながら”しばらく生活をしてみます。もし、自分の軸とズレていると感じたら、価値観の中心にある言葉に向かってもう一度問いかけをし、抽出し直す。ブラッシュアップするということです。

実際にやってみると、価値観がぼんやりとしたままでうまく言語化できないことに気づいたりします。それはよくあることですから、焦ることはありません。まずは行動してみて、その結果や周囲の反応を得る、そして自分の感情を動かしてみることも大切です。

その結果、『これ、好き』とか、『自分はつい、ここにこだわってしまう』とか、『うれしく思った』とか、『悲しく感じた』とか、感情が動くタイミングで、なぜ自分はそう感じたのかと考えることを重ねていけばいいのです。そうすることで、次第に価値観が明確になっていきます」

マイミッションを発信することで、共感、共創が生まれる

「キャッチコピーにすることで、自分にとって明確になるだけでなく、周囲にも発信しやすく理解も得やすい。周りを巻き込みやすくなり、仕事を通じてマイミッションを実現できるチャンスが生まれることもあります

実際に、神谷さんの会社であったことを紹介してくださいました。

「『人が働くときに感じる不安をなくしたい』というマイミッションを掲げていた社員は、働く人の不安ってなんで起こるんだろうという疑問が芽生えて、『業務上のわからないことを誰に聞いたらいいかわからないこと』が不安につながる理由のひとつだと気づいたんですね。特に今年は新型コロナウイルスの感染拡大で、新入社員などは右も左もわからないままリモートワークに入っていましたから。

そこで、彼は社内に情報共有サイトの素案を作り上げてしまった。周囲のメンバーに共有したところ、これはいいじゃん!と、みんなが制作に協力してくれて、早期の公開につながったんです」

前向きなエネルギーを出しにくい時こそ成長につなげるチャンス

自分の軸が見えると、やるべきことの取捨選択がしやすくなる、と神谷さんは言います。

自分の軸が定められれば、価値観に合わないことに時間や意識を費やす無駄が省け、価値観に合うことにフォーカスして行動していけます。

人が引いたレールの上をきっちりこなすことも仕事人としては大事ですが、それだけではどこかで違和感が生まれて足が止まってしまうのではないかと感じています。自分の道をしっかり歩いていくことで、より人生が豊かになったり、満足度が上がったりするんだと思うんです。

株式会社WHITE代表取締役の神谷憲司さん04

今のような前向きなエネルギーを出しにくいタイミングには、自分でコントロールできない外部環境に心と時間を割くよりも、マイミッションに則した自分なりの勉強や仕込み活動に充てていくほうが、自分が満足する成長につながっていくのではないでしょうか」

今の仕事や働き方にもやもやしている人こそ、マイミッションを明確にしてみては。意外な気づきが得られるかもしれません。

INTERVIEW&WRITING:中城邦子 PHOTO:平山諭
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