『アウトプット大全』の著者が伝授!仕事の早い人がしている「仕事効率化」7つのコツ

大きな仕事を任されたり、仕事量が増えたりして、時間が足りない!と思うこと、ありませんか?自分でできる働き方改革があるとすれば、それは仕事の効率を上げること。どんなことを意識すれば仕事の効率化が図れるのか、ベストセラー『学びを結果に変えるアウトプット大全』(サンクチュアリ出版)の著者であり、心理学・脳科学に詳しい精神科医の樺沢紫苑(かばさわ しおん)さんにお話をうかがいました。

精神科医の樺沢紫苑さん

プロフィール

樺沢紫苑(かばさわ しおん)

精神科医、作家、映画評論家。
1965年、札幌生まれ。1991年、札幌医科大学医学部卒。札幌医大神経精神医学講座に入局。大学病院、総合病院、単科精神病院など北海道内の8病院に勤務する。2004年から米国シカゴのイリノイ大学に3年間留学。うつ病、自殺についての研究に従事。帰国後、東京にて樺沢心理学研究所を設立。 精神医学の知識、情報の普及によるメンタル疾患の予防を目的に、Facebook 14万人、メールマガジン15万人、 Twitter 12万人、累計40万人のインターネット媒体を駆使し、精神医学、心理学、脳科学の知識、情報をわかりやすく発信している。毎日更新のYouTube番組「精神科医・樺沢紫苑の樺ちゃんねる」(13万人)も大好評。著書に『アウトプット大全』(サンクチュアリ出版)など30冊。

仕事を効率化できる人とできない人の違い

仕事を効率的にできない人はスタートラインから間違っていることが多い

ミスが多く仕事の効率が悪い人に多いのが、言われたことや指示されたことを聞いているつもりで理解できていない“ザル聞き”です。
私の患者さんにもいますが、新しく処方した薬について副作用などについて説明し、「わかりましたか?」と聞くと、「はい」と答える。「では、繰り返し言ってみて」と言うと、答えられない人が多いのです。

仕事でも同じです。
上司から「〇月〇日までに、△△を□□して、××しておいて」という指示を受けたとします。その時点で1つでも聞き漏らしていたら、いい仕事をできるわけがありません。その先、さらに何かを忘れるかもしれませんし、1つを聞き漏らしたために間違った方向に進めてしまう可能性もあります。後から気づいてやり直すのは、時間と労力のロス。非常に効率が悪いわけです。

では、仕事の指示を受けた時から、効率よく精度の高い仕事をするにはどうすればいいのか?
それは、仕事が発生する最初の段階で、メモを取り、その場で復唱して確認すること。復唱することで、聞き漏れや理解のズレをその場で解消することができます。また、わからないことはその場で質問し、解決しておくことも大切です。
自分の仕事のやり方などを具体的に見直す前に、まずは仕事のスタートラインで、仕事内容をしっかりと確実に理解しておくことです。

仕事で学ぶことには、「業務」と「仕事術」がある

そもそも、私たちは社会人として仕事をするときに2通りのことを学びます。
1つは、その会社で働くための基本となる“業務”。これは、先輩や上司、研修などから教わります。業務を学ぶことは、「言われたことをやる」「教わったことをやる」という社会人としての基礎。さきほどの“ザル聞き”の例は業務遂行する上で最低限押さえておきたいことでもあります。

さて、もう1つは、仕事の質を上げていくための“仕事術”。これは、ビジネス書を読むなどして自主的に学んでいくものです。
“業務”を学んだ上に仕事術を積み上げていくことで、仕事を効率的にできる人とできない人との差が生まれるのです。
日本人のおよそ5割は漫画と雑誌以外読まないといわれる現代、市販のビジネス書やノウハウ本を月に1冊読んでいれば、全く読んでいない人との間には、1年で12冊分もの差が生まれます。
さて、どんな仕事術を学べばよいのでしょうか。次から具体的にみていきましょう。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

仕事効率化のために必要な2つの「自己管理」習慣

「小目標を設定し、進捗管理する」

上司から指示された仕事は、いわば大目標。そこに、自分で小目標を設定し、その進捗を確認することを習慣化すればいいのです。

私は本を執筆する際、1日4000字書くことを目標にしています。そして、書いた文字数を毎日エクセルで管理しています。その日が3000字なら「明日はもっと頑張らなければ」と奮起しますし、4000字を超えていれば「今日は頑張った」と自分をねぎらいます。自分の進捗状況を、日々自分で管理しているのです。

大目標が1カ月先なら、1週間単位で小目標を設定するといいでしょう。そうすれば、小目標の段階で遅れに気づき、早めに挽回できるので、間際で焦ることがなくなります。

「締め切り時間を設定し、きちんと守る」

多くの人は、「この仕事が終わったら帰る」と考えますが、それがダラダラと働いて仕事の効率を下げている原因です。効率アップを望むなら、「今日は19時には必ず終わらせて帰る」というふうに考え方を変えて、周囲に宣言し、実行するのです。

最初は自分で決めた時間を守るのは難しいでしょう。そこでお勧めなのが、仕事終わりに次の予定を入れる“ケツカッチン仕事術”です。私の場合は19時からの映画鑑賞をよくしています。事前にチケットを購入しておくと、「この時間までに終わらせないとチケット代が無駄になる」と思って、緊迫感が生まれて集中力が高まり、仕事のスピードもアップします。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

今すぐできる!7つの仕事シーン別・効率アップ術

精神科医の樺沢紫苑さん

1.To Doリストを作成

効率化の基本は、仕事の優先順位を決めること。出社したら、最初の5分で1日のTo Doリストを作成しましょう。絶対に今日やらなければいけない項目にマークを付けて意識を集中させ、脳の中で1日の仕事のイメージリハーサルを行うのです。そうすれば、場当たり的な仕事をすることがなくなりますし、突然飛び込んでくる緊急事項にも慌てずに優先順位付けを行って対応できるようになります。

2.メールチェックと返信

朝一番にメールの確認や返信をしている人が多いと思いますが、この習慣はとても勿体ないと思います。なぜなら、朝から昼までの午前中は、もっとも集中できる時間帯だからです。どうしても朝のメールチェックが必要なら、重要な案件にだけ即座に返信し、3~5分程度で終わらせましょう。緊急性の低いメールは、集中力が落ちている午後に返信すればいいのです。

3.会議・打ち合わせ

本当に重要な会議は午前に行ったほうが良いですが、情報共有やブレスト、定例会議などは午後に行うのが良いでしょう。緊急性の低い会議の場合、午前中に行うと参加者全員から集中力が高い貴重な時間を奪うことになるからです。また会議は、決めた時間を厳守することも重要です。時間通りに来ない人を待つのは、集まっている人たちの時間を無駄にすること。時間キッカリにスタートし、終了時間にはスパッと終えて延長しないことです。

4.企画書などの資料をまとめる(集中力が求められる仕事)

企画書などの文書を整理してまとめる作業は集中力が求められるので、朝一番から午前中に行うのが効率的。集中力が高い朝なら1時間で終わる仕事でも、集中力が途切れがちな午後にまわすと、数時間かかってしまいます。

5.企画のアイディアを考える(ひらめきが大切な仕事)

ひらめきが生まれるのは、午後から夜にかけて。このころになると脳が疲れ、理論の縛りから解放されて、常識にとらわれない発想ができるようになるからです。移動中や入浴中、トイレやベッドの中、バーで飲みながらリラックスしているときも、ひらめきのチャンス。浮かんだアイディアは、忘れないようすぐにメモしましょう。

6.報告・連絡・相談

ポイントは、上司のタイプを見極めること。連絡や報告を細かく求める人もいれば、いちいち報告されるのは面倒だと感じる人もいるからです。メールでも同様です。丁寧な長文が好きな人もいれば、端的な短文を好む人もいます。そして、相談は“早め”が鉄則。“ザル聞き”の項でも述べましたが、上司の指示を正確に理解しないまま自己判断で進めていると、軌道修正が必要となったりして、何日分もの時間と労力が無駄になりかねません。

7.人に仕事を任せる

仕事の効率化には、人に任せることも必要です。その際には、「あなたは、部内で一番のエクセルの使い手だから」など、その人に依頼する理由を伝えましょう。そのひと言を添えることで相手の承認欲求が満たされ、“やらされ感”が軽減されます。そして、仕事が完了したら必ず「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えましょう。そうすることで、次も気持ちよく引き受けてくれる率が高まります。

人に仕事を依頼するときも、確認が大切です。相手が依頼内容を正しく理解したかを確認するため、復唱してもらうか、要点をメールで送ってもらうといいでしょう。文字で共有しておくと、取りこぼしがないかどうかを確認できるだけでなく、自分の備忘録や証拠にもなるので、トラブル防止になります。

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仕事効率化は「日々の暮らし」から変えられる!

効率的に仕事をするための基本は、脳のコンディションを整えることです。そのために意識したいのは、睡眠です。1日の睡眠時間が7 時間を切ると、徹夜明け並みに集中力が落ちるという研究結果もあるほど。仕事のパフォーマンスを下げないためにも、1日7時間以上の睡眠を心がけましょう。

運動も大切です。目安は、汗が流れる程度の運動を1回約1時間・週2回程度行うこと。運動によって脳が活性化し、集中力がリセットされるのです。仕事帰りにジムで汗を流してリフレッシュすれば、帰宅後の読書や勉強がグンとはかどります。

もう1つ心がけたいのは、スキマ時間の有効活用です。通勤時間を読書などの勉強時間に充てれば、冒頭に述べた“仕事術”の蓄積になります。毎日の通勤時間を勉強に費やすか、スマホゲームに興じるかで、成長度合いに大きな差が生まれることでしょう。

インタビュー・文:笠井貞子 写真:平山 諭
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