「すぐカッとなり感情コントロールができない…」職場で役立つ感情コントロール法とは?

職場で理不尽なことや計画通りにいかないことがあると、ついカッとなって感情的になってしまう…。冷静に対応したいと思いつつも自分では歯止めがきかない。
そんな悩みをもつ方は男女ともにいるでしょう。
そんな悩みにアドバイスするのは、キャリア支援やコンサルティング、結婚コンサルタントなど、幅広い領域で活躍されている川崎貴子さん。
感情をうまくコントロールするにはどんな方法があるのでしょうか。

感情コントロールできず、怒る女性

【相談】
「理不尽なクライアントの要求や上司の指示に対して、大人気ないと思いながらも感情的な言動をしてしまいます。ただ仕事をきちんと行いたいだけなのですが、どうしても気分のムラによって感情的になることがあります。自分でもわかっているので後から反省することもありますが、その時になると自分をとめられません。女性だからすぐ感情的になると思われるのも嫌で、どうにかしたいと思っています。仕事でイラっとしたときに、そのまま行動せずに踏みとどまるためには、どんな気持ちの切り替えをしたらいいのでしょうか?
(29歳女性・メーカー企画職)

「怒りを感じる事」は何かとマイナスに捉えられがちですが、「怒り」もほかの感情と同じように人間の自然現象の一つです。
職場において怒りっぽい人、怒りを口にする人の中にはエネルギッシュでやる気に満ちている人もいたりします。
また、自分なりの美学や目標やルールを持っている人、何でもなあなあにしたくないという意志の強さを持つ人も多いでしょう。

ただ、相談者さんがすでにうっすらお気づきのように、社会的動物である我々が社会性を最も発揮しなければならない職場においては、「感情的である」という事はかなりなマイナス印象を他者に与えてしまうのです。

感情コントロールできないと発生するリスクとは

仕事人が部下や同僚を選べるとしたなら、ほとんどの人たちが「感情が安定している人」「感じが良い人」「話しかけやすい人」と働きたいと思うのではないでしょうか?

感情コントロールできない人は、上司からは仕事を任せてもらえなかったり、部下からは相談されなかったり、と何かと敬遠されがち。ご自身の仕事において、マイナスになる可能性があるのです。
感情の中でも、特にネガティブな印象がある「怒り」を感じやすい人がその感情を野放しに駄々洩れさせてしまうのは、結構なリスクなのです。

また、実はあなたの「コントロールできない怒りの感情」は、所属する組織においても、大きなリスクになり得ます。
私はいろいろな企業から社員定着に関するコンサルテーションを依頼されることがあるのですが、女性社員離職率の高い会社の内情を調べると、多くの場合「怒りの感情を隠さない人たち」が存在します。
怒鳴る上司、すぐ機嫌が悪くなるお局様、ひたすら文句を言い続けている同僚…。
彼らは社内でピリピリと張りつめた空気を作るので、何人採用しても次々に辞めてしまうし、中には「不安障害になった」「蕁麻疹ができた」と、元気だった社員が、彼らの作り出す空気のせいで発病してしまう事も珍しくないのです。

ですので、感情がコントロールできないままではマズイと気づいた時、変わりたいと少しでも思った時が人生の転機です。
そして余談ではありますが、現在更年期障害真っただ中で自身のアンガーマネジメントに悪戦苦闘している私は、年齢を重ねることで「自然の驚異」がある事もお伝えしておきたいのであります…。(もちろん、年を重ねることで丸くなる人もいますが!)

相談者さんが感情をコントロールできるようになれば、ご自身にとって、所属する組織にとって、ご自身の未来にとっての三方よし。
よって今回は、怒りを封じ込めるのはなく、怒りの感情をコントロールする方法について紹介してゆきたいと思います。

怒りの感情をコントロールする方法

1.怒りピークの収まりを待つ

まずは一般的に「怒り」の感情がほかの「喜」「楽」「哀」の感情に比べてコントロールしづらい訳を把握しておきましょう。
ほかの感情はじわじわと感じ入るものが多いため、「泣かないようにしなきゃ」「笑いを慎まなきゃ」と自制しやすいのですが、「怒の感情」は突風の如き速さで「かちん!」と来る。闘いホルモンであるアドレナリン放出を押さえにくいのです。
人によっては「あとから思い返してみると…」という感じに、じわじわ怒るタイプもいるのですが、突然見舞われた感情ではないためその場でのリスクは少ないでしょう。

何事も動きが早すぎる物は対応しづらいもの。
まずは、怒りがぐわっと押し寄せたと思ったら

(1)6秒間待つ(怒りのピークは6秒)
(2)物理的にその場を離れる

という方法を試して、ご自身の怒りのピークが収まるのを待ってからアクションをするのが良いでしょう。

2.自分の怒りメカニズムを知る

次にご自身の「怒りメカニズム」を知っておくと、突風が吹いた時に「またあのパターンが来た」と対処が可能になります。
以前の記事(イライラが爆発する前に!川崎流「自分の機嫌」の取り方~川崎貴子の「チーム家族」痛快コラム)で、「イライラは複合技でやってくる」と書きました。
相談者さんが怒ったり、感情的になったりしているのも、原因は1個ではないと思われます。
もしかしたら、週末に彼氏と喧嘩したことが2割、朝満員電車で不愉快になった事が3割、体調不良が2割…などなど、実際に怒りを表した事柄以外に不愉快の澱は相談者さんの中にたまっていたのかもしれません。
自分が何に対して不機嫌になるのか?何パーセント溜まると怒りが表出するのか?ご自身で知っておくことはとても重要です。彼氏と喧嘩しても「その日のうちに仲直りルール」を作るとか、満員電車を避けるためにいつもより早く出るとか、漢方や病院に行くなど、不機嫌の元を知れば打つ手が見えてくるので根本的な解決が可能になります。

3.紙に書き出して、怒りを昇華させる

自分の怒りパターンや割合を「紙に書きだす」というのも有効です。
何の修行もしていない私たちは怒りを感じずにはいられないのだから、それを内に秘め続けて自家中毒を起こしてしまうのも問題です。
「自分の怒りを紙に書き、その都度捨てる」という行為を繰り返す事で、ご自身の怒りパターンを客観視して把握できるだけでなく、他人に迷惑をかけずに怒りの感情を昇華する事ができます。

経産省キャリアと新聞記者の知人がいるのですが、以前に二人とも「仕事のモチベーションは怒りの感情だ」と言っていました。世の中の不正や理不尽に出合うたびに怒り、その怒りを糧にしてハードワークをこなしているのだと。執念の仕事ぶりで有名な二人ですが、怒りの昇華方法に「仕事」が使える、仕事のモチベーションに「怒り」が使えるというのは、なかなか合理的だと唸った次第です。職種的に難しくても、ボランティアやNPO活動などで、ご自身が社会に対する怒りを昇華させる場を持つことも有効だと思います。

4.“幽体離脱”して、俯瞰して見る

「相手の身になって考えましょう」と、子どものころから教わってきましたが、それができたら世界中で起きてる戦争も搾取も起きないってもんで。
話が突然大きくなりましたが、職場でもプライベートの人間関係でも「敵認識した相手の立場には立てない」からこそ腹立たしいし、怒り感情のうねりはノンストップな訳です。

しかしながら、これが他人や他国の事だと良くわかる。
「彼の成長のために敢えて言ってるんだろうな」とか、「そんな理不尽な事言われたら威嚇射撃するよね」など、傍観者は冷静に判断できます。

そう、自身が飼う「あらぶる怒りの神」を鎮めるには、俯瞰する事」が大切なのです。
幽体離脱したかのように、上から他人事のように自分たちを見てみる。
すると、「部長の立場だったらこう言うしかないよね」「私の態度、ちょっと悪すぎるかも」と、神の視座(幽霊だけど)で見る癖をつけると客観視ができるようになります。

5.言語化をさぼらない

怒りの感情はあくまでも二次的な感情だと言われています。
あまりにもスピーディに伝達されるため私たちの記憶は定かじゃありませんが、分解してみると「失望」や「孤独」、「焦燥」や「不安」から端を発して戦闘態勢に入るのがほとんど。

例えば、「部長に“早く仕上げて”と言われたから、昨日遅くまで残って資料を作ったのにすぐに見てもらえず〝そこに置いといて“と言われた」という事象に対して腹を立てた場合。
そこには、部長の言動だけではなく、「頑張ったのだから褒めてもらえると思っていた」という失望や悲しみがある訳です。
まずは、自分は褒められなくて悲しかったのだという事を「ご自身の機嫌を悪くする前に」受け止めましょう。
そして、褒められるにはどうしたら良かったかを分析してみましょう。

提出したタイミングは部長が忙しい時ではなかったか?
“早く”って、いつまでなのかを正確に確認してから資料作成に取り掛かればあんなに無理しないで済んだかも?
「資料の件ですが、急いで作ったので問題ないでしょうか?」と、確認すれば良かったか?

気の回る部長なら「残業して作成した事」を察して、ねぎらいの言葉をかけるかもしれませんが、大抵の上司は部下の全行動を把握していません。
「私は褒められないとやる気が起きない人間です」「私が”早めに“と言われたら今日中にやるということなので残業するのは当たり前です」という自分ルールは他人には理解されません。価値観が違う人たちが集まっている「職場」では、「自分はこう思っていますが間違いありませんか?」と確認する手間、言語化する手間を省いてはならないのです。

不機嫌になることは男女ともにあることですが、私は男性上司たちから「意味なく不機嫌になっている女性社員への接し方」を相談されることが多くあります。
しかし相手は、意味なくヒステリーをおこしているという訳ではありません。実は完璧主義で自分ルールをたくさん保持しているのです。
ですので、彼女たちの不機嫌になっている元の感情(失望や不安)をヒヤリングして共感し、彼女たち自ら言語化する癖がつくように指導していっていただきたいとアドバイスしています。

職場の空気を作るのは職場の構成員である

私も女性なので、ホルモン状態や体調によって、自分の機嫌が悪いと感じる事は多々ありました。自身の怒りマネジメントができずに失敗したこと、人の信用をなくしてしまった事も。
経験して分かったのは、自分の大切な人や身近な人の信用をなくすのは、人生の大いなる損害だという事です。
25歳で社長になった私は、完璧主義を貫き、自分ルールを徹底する事で自身を保っていたのだと思います。そして、「こんなに私が私を律しているのだから、みんなも理解してそれに準じて!」と、言語化せずに圧をかけていた気がいたします。それがどんなに幼稚な行為であるか自覚もなく。

大人になるという事はただ年を重ねる事ではなく、「自分と他人は違う」という事を知る事であり、自分のストレスを分散できる技をもつ事であり、コミュニケーションをさぼらない努力ができる事であるなぁ、と感じる今日このころ。

職場でも家庭でも、自分の言動が「その場の空気を担っている」という自覚を忘れず、大人として芳しい空気を作れるよう、絶賛更年期の私も精進してゆきたいと思います。

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回答者:川崎貴子f:id:kashiemi:20171127101518j:plain

リントス(株)代表。「働く女性に成功と幸せを」を理念に、女性のキャリアに特化したコンサルティング事業を展開。
1972年生まれ、埼玉県出身。1997年、人材コンサルティング会社(株)ジョヤンテを設立。女性に特化した人材紹介業、教育事業、女性活用コンサルティング事業を手掛け、2017年3月に同社代表を退任。女性誌での執筆活動や講演多数。(株)ninoya取締役を兼任し、2016年11月、働く女性の結婚サイト「キャリ婚」を立ち上げる。婚活結社「魔女のサバト」主宰。女性の裏と表を知り尽くし、フォローしてきた女性は1万人以上。「女性マネージメントのプロ」「黒魔女」の異名を取る。2人の娘を持つワーキングマザーでもある。

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イラスト:yoko
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