ドラマ『3年A組』に学ぶ、崩壊したチームに配属されたときの動き方

菅田将暉さん演じる高校教師・柊(ひいらぎ)がクラス全員を人質に取るというセンセーショナルな内容が話題となったドラマ『3年A組』。最終回では、ネット上にあふれる他人を批判する人たちへの強いメッセージも大きな反響を呼びました。

このドラマではあるクラスメートの死をめぐって、崩壊したクラスとそのメンバーの心情が丁寧に描かれています。今日からいよいよ新年度が始まる春。新しい職場や配属先が3年A組のような崩壊したチームだったら、どう振舞えばよいのでしょうか。

話題のキャンペーンや様々な企業の新規事業を数多く成功に導いてきた、The Breakthrough Company GO PR/Creative Director 三浦崇宏さんは、「仕事をする上で、チームの仲は悪くてもいい」と言います。『3年A組』のシーンから、チームで働く時に重要なことを教えていただきました。
※記事内のコメントはあくまでも、ビジネスシーンでどう動くべきかについて考察したものです。教育現場における適切な対応とは異なる場合がありますので、ご了承下さい。

The Breakthrough Company GO 代表取締役 PR/Creative Director 三浦 崇宏さん

博報堂・TBWA\HAKUHODOを経て2017年独立。日本PR大賞、グッドデザイン賞、カンヌライオンズの各賞などを受賞。NTTdocomoやLINEの新規事業などをプロデュース。またペイミーやスマートドライブといったスタートアップのサポートも実施。最近ではSEKAI NO OWARIの新曲『LOVE SONG』の企画や自己実現を支援するSNS『FiNANCiE(フィナンシェ)』のブランディング・PRも話題に。Twitter:@TAKAHIRO3IURA

【1】配属先の上司がハードマネジメントだったら?

高校の美術教師である柊一颯(ひいらぎ・いぶき/菅田将暉)は、卒業式を10日後に控えたある日、「これから最後の授業をします」と宣言して学校を爆破。教室に特殊なカギをかけて生徒を閉じこめてしまいます。抵抗する生徒には教室を爆破するぞと脅してキックやパンチなどで応酬し、生徒たちを恐怖で支配します。(1話より)

ハードマネジメントにメリットなし。潔く転職を考えよう

【ビジネス現場ではこう動く】【評価】★★☆☆☆
ハードマネジメントで上から抑えつける上司のもとに配属されたら、潔く転職を検討した方がよいでしょう。平成も終わろうとしている今、企業がハードマネジメントをするメリットは一切ありません。優秀な人が辞めてしまうリスクが高くなるだけです。

さすがに現実では爆発物や暴力で抑えつける上司はいないと思いますが、大声で怒鳴ったり、暴言を吐いて命令に従わせるマネージャーはいるかもしれません。

ハードマネジメントの弊害は、大きく3つ挙げられます。

1. メンバーの人格が否定されること
2. メンバーが委縮し、チャレンジしなくなること
3. 優秀な人から辞めてしまうこと

景気が良くなり、有効求人倍率も右肩上がりの中、経営者にとって最も怖いのは、ハイパフォーマンスを出せる優秀な人が辞めてしまうことです。僕自身も会社を経営していますが、優秀な社員が辞めてしまった場合、その人と同じレベルの人を一から採用し、会社にうまくなじんでもらい、成果を出すことは本当に大変なことなんです。

社員として働いていると、「会社の人質になった」かのように感じることもあるかもしれませんが、実は逆。社員がいなければ、運営できないのは会社の方です。

とはいえ上司を選ぶことはできないですし、他人を変えることもできません。万が一そういう上司に巡り合ってしまったら、早々に見切りをつけ、スパッと転職してしまいましょう。

いきなり転職するのが難しければ、上司が人格を否定するようなマネジメントをしてきても、正面から受け止めないこと。気にせず「ああ、また何か言っているな」くらいに受け流すよう努めてみてください。どれだけ怒鳴ったり、厳しく詰めたところで業績につながらなければ、そのマネジメントは失敗です。

ハードマネジメントを気にしないようにするのはとても難しいことだと思います。メンバーは無理のない範囲で、成果が出るように淡々と動けばよいのです。

【2】チームの人間関係がこじれていたら?

3年A組では生徒同士の嫉妬がうず巻き、対立が激化。クラス運営を邪魔する反抗的な生徒ばかりです。いわゆる学級崩壊に近いような状態に陥っています。中でも宇佐美香帆(川栄李奈)は、それまで仲良くしていた景山澪奈(上白石萌歌)が急に疎遠になったことに腹を立て、別のクラスメイト・茅野さくら(永野芽郁)と仲良くしたことに嫉妬してしまいます。SNSに澪奈についての嘘の書き込みやフェイク動画をアップしたり、家に石を投げこむなど、嫌がらせを繰り返します。(2話より)

チームの仲を良くしようとするのはやめよう

【ビジネス現場ではこう動く】【評価】★★☆☆☆
まずお伝えしたいのは、このドラマはあくまでも学校での話です。会社は学校と違い、周りと仲良くする必要なんかありません。仕事において、うまく運営できていないチームに配属されたら、まずチーム仲を改善しようとするのはやめましょう。努力の方向性を変えて、個々人が業績を出すことに全力で集中してください。

ここで一つ重要なことを言います。仕事では、人間関係を円滑にする必要はありません。チーム仲を良くしようとすればするほど、業績は上がらなくなります。チームが不仲だから業績が上がらないのではなく、業績が上がらないからチームの歯車が狂うのです。

営業チームなら、営業成績が良ければ多少不仲でも円滑にチーム運営ができます。しかし業績が上がっていないチームでは、誰もが自分のミスを認めたくないので「これはあいつのせいだ」とうまくいかない原因を押し付け、どんどん不仲になる悪循環に陥ります。そして、チームは崩壊します。

この悪循環を断ち切る、シンプルかつ唯一の方法があります。それは、業績を上げること。得てして高い業績を出しているチームほど、人間関係も円滑なものです。

そのためには、まずはチームの仕組みを大幅に見直してみましょう。長時間の会議をやめる、飲み会をやめる、1on 1をやめ、雑談の中でメンバーの状況を把握する。そんなふうに、チームの運営方法やシステムを変えることから始めましょう。チームをまとめ上げるのは一旦やめてください。業績がついてくれば、自然とチームの雰囲気は良くなるはずです。

【3】メンバー同士で問題解決するチームをつくるには?

クラスメートを自殺に追い込んだ原因であるフェイク動画を撮影したことを告白したクラスのメンバー、里見海斗(鈴木仁)。それがわかった後、生徒同士によって里見に真実を伝えたり、改心させたりしようとする話し合いが自発的に起こります。(3話より)

安心して意見を言える自由な空気をつくろう

【ビジネス現場ではこう動く】【評価】★★★☆☆
リーダーの指示がなくても、メンバーの間で自由に意見が交わされ、チーム内の問題が解決されるようになるには、意思決定プロセスを明確化したり、権限移譲するのが有効です。

チームの意思決定方法には、以下の3つのパターンがあります。

1. リーダーが決定し、上意下達する
2. メンバーが話し合い、民主的に合意を得る
3. 最終判断はリーダーが行うが、メンバーは自由に意見を言うことができる

業績の上がるチームをつくるためには、3の方法がおすすめ。メンバーが思いついたアイデアや意見を自由に言うことができる雰囲気をつくることが大切です。

メンバーに権限移譲することも有効です。権限を委譲するということは、メンバーへの期待の表れです。僕自身も、メンバーが担当しているプロジェクトについては、ほとんど口を出しません。僕のチェックなしでクライアントに提案したり、リリースして良いということさえあります。

意思決定プロセスを明確にし、自由に、気軽に発信できる環境をつくること。安心してどんどん失敗するよう促すこと。そんなふうにメンバーを信じて、思い切り失敗しても大丈夫だという環境を用意することで、メンバーが自主的に問題解決するようになるのだと思います。

【4】「人のせい」にばかりするメンバーがいたら?

「フェイク動画を撮影しろと命じた犯人を特定しろ。さもなくば、クラスの10人を殺す」と宣言した柊。学級委員の茅野さくら(永野芽郁)は、その真相を知っている甲斐隼人(片寄涼太)を説得しますが失敗してしまいます。それを見ていたクラスのメンバーは「この中から10人死んだらあんたのせいだからね」「何もしてないのに偉そうなこと言わないでよ」などと責任を押し付け合います。(4話より)

「人のせい」にする人が生き残れるほど仕事は甘くない

【ビジネス現場ではこう動く】【評価】★☆☆☆☆
仕事では、自分のミスを反射的に誰かのせいにして、なかったことにする人が一番厄介です。ビジネスの世界は「人のせい」にする人が生き残れるほど甘くありません。そのうち誰にも信用されなくなり仕事が減っていくので、関わらず放っておきましょう。

ミスや失敗が起きた時、それが誰の責任であるかはそこまで重要なことではありません。メンバー同士で責任を追求し合ったところで、すでに起こってしまったミスや失敗を変えることはできないからです。

もし、あなたが責任を押し付けられたのなら、何も言わずに飲み込んだり、我慢したりせず、周囲にあなたの正義をきちんと説明しましょう。100人いれば、100人の正義があります。あなたの正義を、淡々と主張すべきです。

ただ、一つ考えてほしいのは、自分のミスも顧みること。「あの人は、全部他人のせいにする人だ」と不満をぶちまけるのは、その人にレッテルを貼ってスケープゴートにしてしまうことになります。すると、仕事の責任を「誰かのせい」に押し付け合う無間地獄が待っています。

本来、ミスや失敗が誰か一人の責任で起こることは、ほとんどありません。チーム全員が何かしらの要因として関わっているいるはずです。不満をぶつける前に、自分には本当に責任がなかったか今一度振り返ってみましょう。本当の責任はどこにあり、そこに自分はどう関わっていたのか、そしてどうすれば防ぐことができたのかを解明することが大切です。

理想のチームとは何だろう?

良いチームとは、組織の目指している方向と、個人の目指している方向が一致しているチームです。リーダーとは、上に立つ人ではなく、前に立つ人のこと。ビジョンやゴールを掲げ、それぞれのメンバーが同じゴールへ向かって同じ方向へと走れるチームにするのがリーダーの仕事です。決して、チームを円滑に運営することは主たる仕事ではありません。

大切なのは、ビジョンをマネジメントすることです。チームワークは、あくまでもゴールを達成するための手段。手段と目的をはき違えてはいけません。仕事において、人格と能力は切り離して考えてください。上司や同僚が“いい人”である必要はありません。メンバー同士が「あの人は優しい」「あの人は冷たい」と人格の話をし始めたら終わりです。

会社では、誰もがあなたと価値観が違って当然。学校のようにみんなと価値観をそろえる必要はないのです。大事なのは業績です。業績に奉仕するという姿勢こそが、チームを良くするのだと思います。

<番組情報>

『3年A組』(日本テレビ 毎週日曜 22時半~ 放送終了)

卒業式を10日後にひかえたある高校3年生のクラス。担任教師が生徒全員を人質に取り、クラスメートが自殺した真の原因を追究する。謎と事件が連鎖的に絡み合い、最後まで何度も新たな事実が明らかになる展開の巧妙さとスピード感が好評を博した。出演は、菅田将暉、永野芽郁、片寄涼太、川栄李奈、上白石萌歌、椎名桔平 他。※全話動画配信はHuluにて

WRITING:石川香苗子
新卒で大手人材系会社に契約社員として入社し、2年目に四半期全社MVP賞、年間の全社準MVP賞を受賞。3年目はチーフとしてチームを率いる。フリーライターとして独立後は、マーケティング、IT、キャリアなどのジャンルで執筆を続ける。IT系スタートアップ数社のコンテンツプランニングや、企業経営・ブランディングに関するブックライティングも手がける。学生時代からシナリオ集を読みふけり、テレビドラマで卒論を書いた筋金入りのドラマ好き。

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