プレゼンの「核」を作る準備・必要なプロセスとは?──澤円のプレゼン塾(その3)

プレゼンテーションを作る際に大事なのは何を「核」にするかということ。ただし、その「核」は単なるテーマではないし、「スライドタイトル」でもないという澤氏。技術プレゼンのエキスパート澤円氏による「プレゼン塾」第3回は、プレゼンテーションの「核」に関するお話です。

プレゼンテーションを作る前にやるべきこと

前回(第2回)は、プレゼンテーションにおける「必然性」と「納得感」についてご紹介しました。

今回お伝えしたいのは、プレゼンテーションをこれから作るぞ!というときに大事なポイントです。一言で表現するとすれば、プレゼンテーションの「核」に関するお話です。

プレゼンテーションを作るきっかけは、いろいろなパターンがあると思います。
イベントでの登壇するように指示されたとか、学会での発表者に指名されたとか、社内での勉強会で当番が回ってきたとか。

では、そのプレゼンテーションを作るにあたって、まず皆さんがやることは何でしょうか?

「そりゃテーマ決めるんでしょ?」と思った方、もちろんその通りです!
でも、今回はそのテーマ決めをより深く考えたいと思っております。
それを私は「プレゼンテーションの「核」を決める」と呼んでいます。

この「核」は、単なるプレゼンの話題、という位置付けではなく、もっと深い意味を持たせたいと思っています。

もしかしたら、あらかじめテーマやスライドが決められていて、プレゼンの内容に手を加える余地がない人もいるかもしれません。

それでもこの「核」を決めるプロセスは有効です。
では、詳しく説明しましょう。

プレゼンテーションの「核」とは

プレゼンテーションの「核」とは何でしょう。
これは単なる「テーマ」にはとどまりません。
ましてや「スライドタイトル」などではありません。

「核」というのは、「プレゼンテーションが終わった後、しっかりと相手の心に残って、しばらくの間その人の中にとどまり続けるもの」のことです。

相手にしっかり届いて、プレゼンテーションの言葉や印象がなかなか消えてなくならないもの。もっと言えば、プレゼンテーションを聴いた人が、他の人に伝えてくれるもののことです。

この「核」を作ることが、プレゼンテーションの醍醐味です。これを楽しまなくちゃ、プレゼンテーションをする意味が半減するといっても過言ではありません。

エンジニアはこの「核」となるべき要素をたくさん持っているのです。皆さんの経験、知識、スキルはすべてこの「核」となり得ます。

「えー、自分がやってきたことは大してレベルの高くないコーディングだし…」とか「もっと詳しい人がいるのに、自分の知識なんて紹介しても…」とか、思う人もいるでしょう。

でも、考えてみてください。
「自分がした経験は、自分以外の誰もしていない」という事実を。
誰でもできる作業でも、あなたがやるということだけで特別な出来事にできるのです。そのためには、自分の棚卸しをする必要があります。

  • なぜ自分がこの知識を得るに至ったか
  • なぜ自分はこの技術スキルを身につけたか
  • 自分が担当したプロジェクトの要件定義書で難しかった部分はどこか

すべて、あなたしか語れない物語です。
これを、きっちりと圧縮して言語化すること。
これが「核」を作るプロセスの第一歩です。

「核」を作る準備

プレゼンテーションの「核」を作る前段階として、必要なプロセスがあります。
これは、「エンジニアとしての自分の棚卸し」です。

  • どのようなプロセスを経てエンジニアになったのか。
  • 自分がどのようなタイプのエンジニアなのか。
  • 自分が他の人に対して何を届けることができるのか、どんな場面で力になれるのか。

この3点をしっかり棚卸しするだけで、エンジニアとしてのあなたの価値がきちんと定義され、自信をもってプレゼンテーションに臨むことができます。

「いやいや、いつも会社で決められたスライドを話すだけだから、そんな棚卸しとか必要ないよ」と思った方。プレゼンテーションの場面を限定しすぎていませんか?

もしかしたら、ヘッドハンターから急に声をかけられるかもしれませんし、昔の仲間から「おい、今度うちの社長と会ってみろよ」なんて言われるかもしれません。

その時に、自分の価値をうまく伝えるプレゼンテーションができなかったら損すると思いませんか?

ぜひ棚卸しをしましょう。そうすれば、すぐにしっかりとした「核」を持ったプレゼンテーションができるようになります。そして、しっかり棚卸しをした人のプレゼンテーションは、「会社から決められたスライド」を話す場合にも、「核」をしっかりもったものになります。

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著者プロフィール

澤 円(さわ まどか)氏

大手外資系IT企業 テクノロジーセンター センター長。立教大学経済学部卒。生命保険のIT子会社勤務を経て、1997年より、現職。情報共有系コンサルタントを経てプリセールスSEへ。競合対策専門営業チームマネージャ、ポータル&コラボレーショングループマネージャ、クラウドプラットフォーム営業本部本部長などを歴任。著書に「外資系エリートのシンプルな伝え方」「マイクロソフト伝説マネジャーの世界No.1プレゼン術
Twitter:@madoka510

※本記事は「CodeIQ MAGAZINE」掲載の記事を転載しております。

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