お金との“4つの”付き合い方「稼ぐ」「貯める」「使う」…賢い人がしている“あと1つ”は?ーーマンガ『インベスターZ』に学ぶビジネス

『プロフェッショナルサラリーマン(プレジデント社、小学館文庫)』『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」(日本経済新聞出版社)』等のベストセラー著者である俣野成敏さんに、ビジネスの視点で名作マンガを解説いただくコーナー。今回は、三田紀房先生の『インベスターZ』の第20回目です。

『インベスターZ』から学ぶ!【本日の一言】

こんにちは。俣野成敏です。

名作マンガは、ビジネス書に勝るとも劣らない、多くの示唆に富んでいます。ストーリーの面白さもさることながら、何気ないセリフの中にも、人生やビジネスについて深く考えさせられるものが少なくありません。そうした名作マンガの中から、私が特にオススメしたい一言をピックアップして解説することによって、その深い意味を味わっていただけたら幸いです。

©三田紀房/コルク

【本日の一言】

「日本人は投資が下手などという決めつけは全くの間違いだ」

(『インベスターZ』第3巻credit.22より)

大人気マンガの『インベスターZ』より。創立130年の超進学校・道塾学園にトップで入学した主人公・財前孝史は、各学年の成績トップで構成される秘密の部活「投資部」に入部します。そこでは学校の資産3000億円を6名で運用し、年8%以上の利回りを上げることによって学費を無料にする、という極秘の任務が課されているのでした。

子どものころからお金に親しんでいる日本人

道塾学園の創設者・藤田金七(かねしち)の玄孫(やしゃご)・美雪は、友達と3人で女子投資部を結成します。彼女たちが最初に投資先として選んだのは、セブン&アイの株でした。初めての投資に、手が震える部員たち。それを見た美雪は、自分の家にくるよう、部員たちを誘います。「現・藤田家の当主である祖父に会わせる」と言うのです。

部員たちは美雪の家に行き、これまでの経緯を話します。すると、美雪の祖父は「日本の子どもたちは、小さいころからお小遣いをもらい、お金の使い方を学んでいる。子どものころからお金に親しんでいる民族は、世界的にも珍しい」のだと話します。

「その昔、江戸時代の日本では、世界でもっとも早く信用取引が生まれ、米の先物取引も行われていた。『日本人は投資が下手』というのは、思い込みにすぎない。実は日本人は、もともとは投資に長けた民族だったのだ」と部員たちに説明するのでした。

たとえ少額であっても、子どもにとって自由に使えるお金があるということは、「自分の頭を使ってお金を使う」機会が生まれます。万一、お小遣いを使い切ってしまったら、次の分が出るまで、しばらくはお金がない期間を過ごさなくてはなりません。そうした経験を通じて、「お金のない辛さや苦しみがわかる」というわけです。

このように、世界的に見ても貯蓄の重要性は子どものころから慣れ親しんでいる国民性ですが、とりわけ「殖(ふ)やす」という発想については一部の人しか持ち合わせていないというのもまた事実です。

お金には4つの付き合い方があります。その4つは「稼ぐ」「貯める」「使う」「殖やす」ですが、多くの人は「稼ぐ→使う→稼ぐ→使う」という生活を繰り返しています。それは結局のところ、お金のもらい先が「お小遣いから会社の給料」に変わっただけ、という見方もできます。

お金との4つの付き合い方

ここで、お金との4つの付き合い方を簡単に整理しておきましょう。まず「稼ぐ」についてですが、これは一般的には労働収入のことを指します。投資の世界でこの言葉を使うときは要注意です。実は「投機」であったり、「投資業」であったりすることが多いからです。「貯める」については、日本では長らく貯金が文化として根付いている部分もあるので誤解は少ない部分だと思いますし、「使う」は一番イメージがつきやすい支出のことです。

理屈の上では、「稼ぐ」金額が増えるか、「使う」金額を減らすことができれば、お金は自ずと貯まっていきます。実際、「使う」ということが4つの中ではもっとも自主的にコントロールしやすい領域となっています。しかし、理屈ではわかっていても、感情的には、そう簡単には割り切れないのが辛いところです。

最後に「殖やす」についてですが、これに関しては、完全にルールの世界です。つまり、お金についてのルールや法則を知り、「それに沿って行動すればいい」ということになります。

概して、「稼ぐ」には努力やセンスが必要ですし、「使う」や「貯める」には精神的な要素が絡んできます。それらに比べると、「殖やす」の難易度はある意味、知っている人にとっては一番ハードルが低いと言えるかもしれません。

「お金から解放された生き方」とは?

一般的には、「稼ぐ→貯める→使う」というサイクルを回している人が、お金をコントロールできている人だと言えるでしょう。しかし今は、サラリーマンで稼ぐことが年々、難しくなっています。こういう時代に、特に着目すべきなのが「稼ぐ→貯める→殖やす→使う」という考え方です。

殖えた分から使うこと。これが「お金に働いてもらう生き方」、つまり【お金から解放された生き方】です。

「殖やす」という考え方の概念は、よくコップに溜まる水に例えられます。

よりイメージをわきやすくするために、丹十三監督の映画『マルサの女』で使われたセリフを引用します。

あんた、今、ポタポタ落ちてくる水の下にコップを置いて、水、貯めているとするわね。
あんた、喉が渇いたからってまだ半分しか溜まっていないのに飲んじゃうだろ?
これ、最低だね。なみなみいっぱいになるのを待って…それでも飲んじゃだめだよ。
いっぱいになって…あふれて…垂れてくるやつ…これを舐めて。我慢するの。
そうすりゃコップいっぱいの水は…

お金持ちの多くがやっているのはまさにこの行為。

「殖やす」という概念を取り入れ、コップの水からこぼれたものから使うことです。「稼ぐ」「貯める」「使う」「殖やす」。この4つのキーワードから、一度ご自身のマネープランについて考えてみてはいかがでしょうか。

俣野成敏(またの・なるとし)

大学卒業後、シチズン時計(株)入社。リストラと同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。31歳でアウトレット流通を社内起業。年商14億円企業に育てる。33歳でグループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、さらに40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任。『プロフェッショナルサラリーマン』(プレジデント社)『一流の人はなぜそこまで、◯◯にこだわるのか?』(クロスメディア・パブリッシング)のシリーズが共に12万部を超えるベストセラーに。近著では、日本経済新聞出版社からシリーズ2作品目となる『トップ1%の人だけが知っている「仮想通貨の真実」』を上梓。著作累計は40万部。2012年に独立後は、ビジネスオーナーや投資家としての活動の傍ら、私塾『プロ研』を創設。マネースクール等を主宰する。メディア掲載実績多数。『ZUU online』『MONEY VOICE』『リクナビNEXTジャーナル』等のオンラインメディアにも寄稿している。『まぐまぐ大賞2016』で1位(MONEY VOICE賞)を受賞。一般社団法人日本IFP協会金融教育顧問。

俣野成敏 公式サイト

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