“銀色”からの脱却!個性を出し始めた「電車の色」最新事情

銀色の車体が多くなった「電車の色」ですが、最近では鉄道各社によってどんどん個性化している傾向が見られます。今回はその点にピックアップしてご紹介します。

銀色が中心の東京に対し、独自の伝統色を貫く関西私鉄

皆さんが普段乗っている通勤電車は何色ですか?

色という視点でチェックすると、その多くが「銀色」であるはずです。JR各線では、銀色ステンレス車両をベースに、

山手線:うぐいす色
中央線:オレンジ色

といったように、路線ごとにシンボルカラーを帯で示しているケースが多いと思います。

JRだけでなく、東京メトロや東急や東武、京王、小田急、京成など、大手私鉄の多くも銀色のステンレス、またはアルミ車体をベースに色帯を巻く車両が多い傾向にあります。一昔前までは独自色が多かった西武(黄色)や京急(赤)なども、90年代~2000年代以降に登場する新型車両の多くが、銀色車体をベースにしています。

ステンレスやアルミといった銀色車体は、それまでの鋼体車両に比べて軽量化できたり、塗装を簡略化できるため、コスト削減効果が見込めるなどのメリットから、ここ数十年で一気に採用車両が増加しました。

首都圏では広く浸透している銀色車体ですが、関西に目を向けると、

阪急:マルーン色
近鉄:ホワイト&マルーンのツートンカラー、またはホワイト&オレンジのツートンカラー

といったように、昔からの伝統色を車体全面にあしらっている会社があります。

京阪の通勤電車も、最新車両でも車体の半分ほどの割合ですが、若草色をベースにした伝統色を保持しています。なぜ関西では東京に比べて銀色車体が少ないのでしょうか?

――理由は諸説ありますが、首都圏と比べ、他の鉄道会社と競合する運行区間が多いため、差別化を強く図る意向が昔から根強いのではないかと推察されます。

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脱“銀色”!相鉄&京急&東京メトロの新たな挑戦

銀色ばかりの車両が多かった首都圏の電車に今、新たな動きが生まれています。

●相模鉄道が「ヨコハマネイビーブルー」を採用!

相模鉄道ではこれまで、他の鉄道会社と同様に銀色車体をベースにした車両が中心でした。しかし昨年、相鉄グループ創立100周年を機に、車体色を「ヨコハマネイビーブルー」と称する、紺色をベースにした新塗装色を採用しました。今後登場する新車はもちろん、これまでの車両も随時、この新色に衣替えしていく方針のようです。

実際に現物を目にすると、かなりシャープで斬新な色合いになっていますし、2019年度以降、JRや東急と相互乗り入れ運転を開始する予定なので、東京都心でもこの「ヨコハマネイビーブルー」に彩られた相鉄車両を目にする機会が増えるはずです。

●京急の新車に「全面レッド車両」が復活!

京急といえば「赤色の車両」のイメージが定着していましたが、ここ10年ほど登場した新車は、ステンレスの銀色車体に赤帯を巻くケースが多くなっていました。

しかし今年誕生した新車両は、同じステンレス車体にもかかわらず、全面を赤色で塗装された伝統の赤色車体が復活!「京急といえば赤」というイメージが、再び強くアピールされていくことになるでしょう。

●東京メトロ銀座線は「レモンイエロー」採用!

東京メトロ各線の車両は、アルミの銀色車体をベースにしたものがほとんどでしたが、2012年に登場した銀座線の新車両は、車体全面に「レモンイエロー色」を採用。これは銀座線開業当時の車両をモチーフにしたもので、今は銀座線の全車両がこの色で統一されています。

●丸ノ内線は「グローイング・スカーレッド」!

今後登場する丸ノ内線の新車両も、銀座線同様に、車体全面にこれまた伝統の色である「赤色(グローイング・スカーレッド)」を採用予定。2019~2022年にかけて導入されるため、今後どんどん赤色の車両を目にする機会が増えていくはずです。

 

――いかがでしたでしょうか? もしかしたら今後、他の鉄道会社でも全面塗装車両が登場する可能性もあるため、見かけたらぜひチェックしてみてください。

WRITING:山田モーキン イラスト:海月あいる
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