部署異動や先輩からの引き継ぎなど、春は初めての方との出会いが増える時期。通常は報告や連絡の手段として使うメールですが、初めての方には、まずは「挨拶」だけで1通丁寧なメールを送っておきたいもの。1通の挨拶メールで相手からの信用が高まります。
今回は、挨拶メールに焦点を当て、基本のポイントから、初めてのお客様に送る挨拶メールの例文、時候の挨拶などを例文付きで徹底解説します。
挨拶メールの基本ポイント
挨拶メールはその名の通り「挨拶」がねらいです。まずは、挨拶メールの基本ポイントを確認していきましょう。確実に目を通してもらうためにまず気を付けるべきは「件名」です。ビジネスシーンにおいて、通常1日に受け取るメールは数十通、多い人では100通を超えるメールに目を通さなければなりません。その中で、多くのビジネスパーソンは一覧上で送信者・用件・期限を確認してから処理の優先度を決めています。件名は、送信相手にメールを開封していただくための重要な場所と認識しておきましょう。
件名例)
・【新任のご挨拶】○○株式会社 田中 太郎
・着任のご挨拶およびご訪問日程のご相談(○○株式会社 田中 太郎)
次に、メールの本文は、分かりやすく端的な内容にすることを心がけましょう。また、きちんとした言葉遣いをすることも大切なポイント。敬語が誤っていたり「てにをは」の使い方に違和感があると、せっかくの挨拶メールが台無しになってしまいます。送信前に声に出して内容を確認したり、先輩にチェックしてもらうなど、万全な状態でメールを送るようにしましょう。
お客様へ初めてメールでご挨拶する場合の例文
次に、挨拶メールの例文をご紹介します。
-既にお取引きがあるお客様に対して、前任からの引き継ぎで挨拶メールを送る
平素は弊社サービスをご利用いただき、誠にありがとうございます。
□□株式会社 □□部にて営業を担当しております□□と申します。
この度、前任の△△に代わり貴社の担当として着任いたしましたため
ご挨拶をさせていただきたくご連絡いたしました。
不慣れな部分も多々あり、ご迷惑をおかけすることもあるかと存じますが、
いち早く貴社のお役に立てるよう努めます。
本来であれば直接伺うべきところですが、まずは書面にて失礼いたします。
改めて、前任の△△とお伺いするお時間を頂戴できれば幸いでございます。
なお、引き継ぎの挨拶メールは、タイミングや内容によってはトラブルの元にもなりかねません。どこまで書くか、いつ送るかについては、前任の担当者や上司と相談をしておきましょう。
-新規(未取引き)のお客様を紹介され、挨拶メールを送る
初めてご連絡させていただきます。
□□株式会社 □□部にて営業を担当しております□□と申します。
△△株式会社 △△様よりご紹介を受け、この度ご連絡いたしました。
△△様より、弊社で取り扱っております□□につきまして
○○様が導入をご検討されているとお伺いしております。
もしよろしければ、貴社のご状況をお聞きした上で、
サービスの詳細や導入メリットなどをご説明する機会を頂戴できればと考えております。
早速ではございますが、下記いずれかの日程でのご都合はいかがでしょうか?
よく使われる挨拶短文例(一例)
-冒頭
- お世話になっております。
- いつもお世話になっております。
- 初めてメールをお送りいたします。
- 平素、△△が大変お世話になっております。
- 平素は弊社製品のご愛顧を賜り、誠にありがとうございます。
- 貴社におかれましては益々ご隆盛のこととお慶び申し上げます。
-文末
- よろしくお願いいたします。
- よろしくお願い申し上げます。
- また改めてご連絡いたします。
- まずはご挨拶まで、お送りさせていただきます。
- ご多忙の折、誠に恐縮ですが、ご確認のほどお願い申し上げます。
時候の挨拶、長期休暇前後の挨拶、社内で送る挨拶
時候の挨拶、長期休暇前後の挨拶、社内で送る挨拶など、すぐに使える文頭と結びの例文をご紹介します。
・時候の挨拶
-1月
- 明けましておめでとうございます。
- 謹んで新年のお慶びを申し上げます。
- 今年1年が○○様にとって良き年になりますよう、ご祈念申し上げます。
-2月
- まだまだ厳しい寒さが続くこの頃、いかがお過ごしでしょうか。
- 寒さ厳しき折、くれぐれもご自愛ください。
-3月
- 春の訪れが近づいてまいりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
- 桜の開花が待ち遠しい時期となりましたが、お変わりございませんでしょうか。
- 新年度が近づき、ご多忙かと存じますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
-4月
- すっかり春らしくなりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
- 葉桜が鮮やかな季節を迎えましたが、お元気でお過ごしでしょうか。
- 新年度のお忙しい時期かと存じます。季節の変わり目ですので、どうぞご自愛ください。
-5月
- 穏やかで過ごしやすい季節になってまいりました。いかがお過ごしでしょうか。
- ゴールデンウィークも終わり、初夏を思わせる陽気になってまいりました。
- 過ごしやすくなってまいりましたが、肌寒い日もございますため、お身体を崩されぬようお気を付けください。
-6月
- 雨が続き肌寒さを感じる今日この頃ですが、お元気でお過ごしでしょうか。
- 梅雨に入り、外出が滅入る時期となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
- 梅雨明けが待ち遠しいこの頃ですが、風邪など召されぬようお元気でお過ごしください。
-7月
- 厳しい暑さが続いておりますが、お変わりありませんでしょうか。
- いよいよ夏本番ですが、いかがお過ごしでしょうか。
- まだまだ暑い日が続きますが、お元気でお過ごしください。
-8月
- 残暑が続いておりますが、お元気でお過ごしでしょうか。
- ビールが喉に気持ち良い季節となりました。お変わりありませんでしょうか。
- 暑さ厳しい折、体調を崩されませんようどうぞご自愛ください。
-9月
- ようやく暑さも和らいでまいりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
- まだまだ暑さが残る今日この頃ですが、お変わりありませんでしょうか。
- 期の変わり目でご多忙かと存じますが、夏の疲れに負けぬようお元気でお過ごしください。
-10月
- 秋らしくなってまいりましたが、お元気でいらっしゃいますか。
- 朝晩の冷え込みが激しくなってまいりました。くれぐれもご自愛くださいませ。
-11月
- 日ごとに寒さが増してまいりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
- 落葉の候、お元気でお過ごしでしょうか。
- 朝晩の冷え込みが厳しい折、体調を崩されませんようお元気でお過ごしください。
-12月
- 今年も残すところわずかとなりました。お忙しくお過ごしのことと存じます。
- ますます寒くなってまいりましたが、お元気でお過ごしでしょうか。
- 年末のお忙しい時期かと存じますが、くれぐれも体調にはお気を付けください。
- 本年は大変お世話になりましたこと、御礼申し上げます。
・年末年始の挨拶
年末年始はほとんどの会社が休暇となりますが、企業によって休業日が異なる場合もあります。「いつからいつまでが休業で、いつから営業開始なのか」がわかるように工夫しましょう。また、年の変わり目ですから、これまでのお礼や新年への意気込みを簡潔に述べ、お客様に新年を気持ちよく迎えていただけるようしたいものです。
-年末
いつもお世話になっております。
□□株式会社 □□です。
本年も残すところ、あと僅かとなりました。
○○様には格別のご高配を賜りましたこと、改めて御礼申し上げます。
さて、弊社の年末年始休業日は下記の通りでございます。
■年末年始休業:20XX年12月28日(曜日)~20XX年1月3日(曜日)
※新年は、1月4日(曜日)から営業を開始いたします。
年末のお忙しい時期かと存じますが、くれぐれも体調にはお気を付けください。
来年も何卒よろしくお願い申し上げます。
-年始
件名:年始のご挨拶(○○株式会社 山田太郎)
○○株式会社
○○ ○○様
謹んで新年のお慶びを申し上げます。
□□株式会社 □□です。
旧年中はひとかたならぬお愛顧にあずかり、誠にありがとうございました。
より一層ご満足いただけるよう、誠心誠意努めてまいります。
何卒ご指導ご鞭撻のほどお願い申し上げます。
弊社は【1月4日(曜日)午前○時】より営業を開始いたしております。
何かございましたらご連絡ください。
今年1年が○○様にとって良き年になりますよう、ご祈念申し上げます。
どうぞよろしくお願いいたします。
年末の挨拶を送ったのであれば、年始の挨拶は必ずしも送る必要はありません。
打ち合わせのアポイントを打診する、資料を送る場合などに、冒頭と締めに年頭の挨拶を書き添えておく程度で良いでしょう。なお、「明けましておめでとうございます」などの年始の挨拶は、1月7日の松の内までが一般的です。地域によって、1月15日までが松の内とされるケースもあるため、予め確認しておくと良いと思います。
・夏季休暇の挨拶
夏季休暇を含めた長期休暇の前には、下記の挨拶を送っておくと良いでしょう。
「夏季休暇のご案内」などの件名でお知らせする場合もありますし、通常のメール内の署名の下部にお知らせ欄を設けておくというやり方もあります。明確な決まりはありませんが、お客様にご迷惑がかからないように何かしらの形でお知らせしておきましょう。
誠に勝手ながら、弊社では夏期休暇のため下記の通り休業させていただきます。
■夏季休業:20XX年○月○日(曜日)~○月○日(曜日)
尚、休業中にご連絡いただいた場合の対応は期間終了後となります。
予めご了承いただきますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
最後に、社内で使える挨拶メールをご紹介します。
・異動先の新しい上司に送る挨拶
異動前の上司への挨拶はなるべく直接行うのがマナー。ただし、上司が会議や出張で席を外している場合は、メールで挨拶を送っておくと良いでしょう。一般的な挨拶だけでなく、上司との会話のきっかけになるようなネタも書いておくと、その後のコミュニケーションがスムーズになります。
○○部長
おつかれさまです。
4月より□□部より異動してまいりました、□□と申します。
今週はご不在と伺いましたので、まずはメールにてご挨拶をさせてください。
異動前は□□業務に携わっており、□□の案件などを担当しておりました。
不慣れなこともありご迷惑をお掛けするかと思いますが、一刻も早く○○部の戦力になれるよう努めます。
なお、○○部長は△△がお好きと□□部部長より伺っております。
若輩者ながら、ご一緒する機会を頂戴できましたら大変幸いです。
後程直接ご挨拶させていただければと思いますが、まずは書面にて失礼いたします。
どうぞよろしくお願いいたします。
節目となる時期に送るのが挨拶メール。ご紹介した定型の挨拶だけでも十分ですが、ポイントを押さえたうえで、相手に気持ちが伝わる挨拶メールを送りたいものですね。
監修者:佐野 由美子 (ビジネススキル講師、マナー講師)
生命保険会社勤務の後、接客業に惹かれ20代後半にレストラン業に転身。自らサービス経験、店長業務を経て、30歳過ぎに独立。レストランプロデューサーとして、スタッフ教育、飲食店の再建、集客力増強分野で活動。
現在はサービス業を中心に「ホスピタリティ」「接客」「ビジネスマナー」「リーダー育成」などの企業研修を多く務める。また、これまでの講演、セミナーの実績は全国300ヶ所を超える。
文:リクナビネクストジャーナル編集部