毎年4月になると、「今年の新入社員は消せるボールペン型」「自動ブレーキ型」などと特徴が発表され話題になります。まるで新入社員は毎年画一的で頼りないと決まっているかのようですが、決してそうではありません。向上心が強い人もいれば、仕事はそこそこでプライベートを充実させたい人、即戦力もいれば、大器晩成型もいて、人それぞれに個性があります。そんな新入社員たちの可能性の芽を潰さず、会社に貢献できるような人材に育てるためには、どう指導すればいいのでしょうか?
今回は、タイプ別に新入社員への対応法を紹介します。
やる気は抜群!負けず嫌いタイプ
まずは負けず嫌いなタイプです。このタイプは上昇志向が強く、マイナス評価を得たくないために、自分を必要以上に大きく見せようとする傾向があります。失敗に対しての恐怖心が強く、プライドも高いので、同期の新入社員より自分が優れているところを上司にアピールする傾向が強いです。逆に、同期のほうが先に大きな仕事を任されたりすると、激しい嫉妬心を感じます。その分、努力を積み重ねることは苦にならないタイプが多いです。
こういうタイプには、小さな失敗を繰り返しても容認することで、失敗に対する耐性をつける必要があります。失敗することは誰にでもあり、大事なのはその後のフォローであること。ましてや新人なのだから、今は少しくらい失敗してもいいんだということを伝えると、少しずつリラックスして仕事ができるようになります。
他人の評価に敏感なので、叱責されたり、脚光を浴びている同期がいると焦ってしまうところがありますが、まだ勝負は始まったばかりであり、長いスパンで物事を見られるように教えると成長のスピードは高まります。
プライベート優先!積極性欠乏タイプ
積極性が低く、従順でまじめなタイプです。このタイプの特徴は、頼まれた仕事はきちんと正確にこなしますが、その半面、言われなければなかなか動かないし、言われたことしかしない傾向があります。また、コミュニケーションはSNSやメールでのやり取りがメインで、対人折衝を苦手としている人が多いようです。
このタイプは仕事に対する情熱が希薄なことが少なくなく、目標を設定したり、期待する言葉をかけると負担に感じがちです。まずは、目の前のことを一つずつクリアしていくように進め、仕事に充実感を持たせるようにしましょう。重要なのは、彼らが「自分にしかできないことを見いだせるような環境」を周りがつくることです。そして、その積み重ねによって小さな成長を実感できるよう働きかけましょう。
仕事に対するやりがいを感じ始めると、持ち前のまじめさを発揮して大化けすることも多いのがこのタイプの特徴です。
熱血指導はちょっと…人間関係希薄タイプ
昔なら飲み会を通じて距離を縮め、コミュニケーションを円滑化するのが一般的でしたが、若い世代を中心にこうした接し方に違和感を持つ人が少なくありません。彼らにとって人間関係は希薄なくらいが快適なようで、たとえ同僚であってもプライベートな部分に立ち入ってほしくないと思っている人もいるようです。
また、感情をぶつけても反応が薄いので、「最近の若い子は何を考えているのかわからない」と言われるのが、このタイプです。
こういった傾向を持つタイプの人たちは、子供の頃から他人に対して一定の距離を保って成長していますので、体育会的な熱血指導をされると強い嫌悪感を覚えがちです。そこでさらに踏み込もうとするとストレスになってしまうので、無理にわかり合おうとせず、やるべき仕事がきちんとできているかどうかを是々非々で判断して対応するのがいいでしょう。
理想の先輩になるために!
では、新入社員から信頼される先輩になるには、どうすればいいのでしょうか?信頼される3タイプをまとめました。
●部下に厳しい分、自分にはもっと厳しい人
部下に偉そうに指導しておきながら、自分は言ったことを実行していない人は、信頼されません。例えば、経費削減を口酸っぱく言いながら、自分は使い放題では陰口を叩かれるのも仕方ないでしょう。あるいは自分が新入社員のときは全くできていなかったのに、それをすっかり忘れて、「こんなこともできないのか」という態度で接する人には、誰も付いていきません。
●勉強熱心な人
新入社員が「あの人にはかなわない。本当にすごい」と思うくらい、仕事も勉強も熱心に取り組んでいる人は、尊敬の対象になります。そういう先輩の背中を新入社員たちはよく見ているものです。
●明るくポジティブな人
ネガティブで、愚痴や他人の悪口、会社批判ばかりしている人のそばには近寄りたくないものです。明るくポジティブな人のほうが好かれますし、前向きな言葉で周囲を引っ張っていける人は信頼されます。また、相手を見て態度を変えることなく、誰にでも平等に、堂々と接することも大切です。
新人教育は、自分を高めるチャンスでもある
新入社員から学べることもたくさんあります。新入社員のパフォーマンスが満足できるレベルに達していないときでも、頭ごなしに叱責したりせず、なぜできないのか、どこに問題があるのかといった原因を追求していくと、自分の仕事ぶりや指導方法に思わぬ課題が見つかることがあります。新入社員と一緒に自分も成長していきましょう。さらにワンランク上に自分を高めるチャンスです。