「あのプレゼン資料どうなってんの?」
「あれに関しては前回の内容でフィックスしているはずなんですが…」
ビジネスの現場でも日常的に使われるようになったカタカナ用語。なんとなく雰囲気で使っている人も多いのではないでしょうか。知っているとついつい「ドヤ顔」で使いたくなってしまうカタカナ用語ですが、間違って使用したために恥ずかしい思いをすることも。どうせ使うなら、より確実に使いこなしたいところ。ここではよく検索されているものから順にご紹介いたします。
1.コミットメント
こちらは「責任を持った約束・公約」「委託・委任」「責任ある関わり・介入」といった意味。ビジネスシーンでは「関わり」といったニュアンスでも多く使われますが、本来は「責任ある関わり」といった意味が強いでしょう。全体としては「責任」が強いのかもしれません。某CMの「結果にコミットする」というコピーは有名ですよね。つまり「責任もって最後まで面倒を見ますよ」といったところでしょうか。
コミットメントの活用
・「あの国は法的コミットメントに反する行為が度々みられる」(“約束”の意味合いが強い)
・「当企画の推進が我々のコミットメントだ」(“公約”の意味合いが強い)
2.ユーザー
「利用者」「消費者」「使用者」といった意味を持つ英単語。特にビジネスシーンでは「消費者」として使われることが多いようです。ちなみにIT用語としては、システム利用者のことを指します。
派生語として、エンドユーザーという言葉も有名ですね。例えば乳製品を商っているA社があったとして、A社にとってユーザーはスーパーやコンビニ。エンドユーザーはそのスーパーで買い物をするお客さん、ということになります。
ユーザーの活用
・「この商品のユーザー層を徹底的に洗い出しなさい」
・「本当にユーザビリティを第一に考えているか?」(ユーザビリティ=使いやすさ)
3.コンセンサス
「複数の人間による合意・意見の一致」というような意味。多数決、という意味ではありません。例えば五人のチームで意見を出し合った場合、五人全員の意見が一致することをコンセンサスと呼びます。
コンセンサスの活用
・「効果的なプレゼンのために、参加する他部署に事前コンセンサスを取っておこう」
・「この新規案件のアイディアはコンセンサスとなった」
4.スペック
本来は「仕様」という意味ですが、昨今は「能力」という使われ方もよくされています。「仕様」の使われ方の場合は「他社とのスペックを比較しました」という感じになり、もちろん製品等の機能を比較している、という文脈になります。
それに対し、「能力」の場合は「スペックの高い男」というように使われ、これは文字通り基本能力の高い男、という意味になります。相手を下に見るような言い方になるため、マナーや状況を見て、気を付けて使う方が無難でしょう。目上の人間には絶対に使っちゃいけません。
スペックの活用
・「このPCのスペックについては以上です」
・「スペックの高い人間だけあって引き抜きの話も多い」
5.ブラッシュアップ
こちらは「磨き上げる」という意味。「ブラッシュ」は何かを磨く時に使うブラシから来ていて、「アップ」は上げる。言葉通りの意味ですね。
どっちにしても「良くする、さらに良くしたい」という意味合いが強いので、これも部下から上司に使う場合は注意が必要です。「何だ、俺の企画がイマイチだっていうのか?」というような因縁をつけられないとも限りません。
ブラッシュアップの活用
・「先方と打ち合わせし、さらにスペックをブラッシュアップすることに決定した」
・「企画のブラッシュアップが先決だ」
6.ペンディング
「未解決状態に保留する・先送りする」という意味。ちなみにベンディングという言葉もありますので気をつけて下さい。ベンディングは「販売」に近い意味になります。
ペンディングは直訳すると「ぶら下がる」「宙ぶらりん」という意味です。首からぶら下げるペンダントもこのpendという言葉から来ています。
当然、ビジネスの場でこの「保留」という言葉が使われるシチュエーションはあまりよい状況とは言えません。ペンディング状態に慣れるのではなく、問題個所について納得した上でペンディングしておくのがベターでしょう。
ペンディングの活用
・「ペンディング状態が長く続き過ぎて、新しい問題が発生した」
7.デフォルト
大きく二つの意味があり、そのうちの一つは「初期設定」。パソコン関係ではほぼこの意味オンリーですし、ビジネスシーンにおいてもこちらが使われることが多いでしょう。
二つ目は「債務不履行」。つまり、借金の返済が不能になることです。まるで異なる二つの意味ですが、経済・金融関係でこの言葉が出た場合、例えば「もうこの先入金はないな。これはデフォルトだな…」といった時は「これは債務不履行だな…」ということなので注意が必要です。
一つ目の「初期設定」の方ですが、ことビジネスパーソンに対しては「初期値」のような使い方も多くされています。つまり「もっとも基本的な形態」といったところでしょうか。「高身長&仕事ができることがイケメンとしてのデフォルトだろ?」とか「最低限のオーサリングソフトを使えることなんて、もはや新卒生のデフォルトだ」みたいな感じです。
デフォルトの活用
・「主要銀行は常にデフォルトに陥った時のリスクを考えるべき」(債務不履行という意味の場合)
・「トップページはグーグルがデフォルトだ」(初期設定という意味の場合)
駆け足で7つ紹介させていただきました。「ややこしいから日本語で言えよ!」という怒声が聞こえてきそうです。確かに使い方が微妙に難しい言葉も多く、うまく使い切れていない人も見られます。普通の会社であっても、当然のように使われるようになってきましたが、頭のてっぺんからつま先までこんなカタカナ語だけを使って会話する人がいたら、なんだかその人の昇進も心配になってきます。
ビジネス書を読みかじった知識を得意げに使うのではなく、周囲を見ながら適切に、抑え目に使いたいものですね。空気を読むのもビジネスパーソンのお仕事ですから。