東京スカイツリーが落とした巨大な影と「シャッター通り」復活への指針

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2015年5月22日で開業3周年を迎える「東京スカイツリー」と「東京スカイツリータウン」。今も多くの人が訪れ、大変な賑わいを見せている。

しかし、その地元でもある墨田区にはスカイツリー効果の恩恵をあまり受けてはいないそうだ。一体どういうことなんだろうか。

■東京スカイツリー建設は墨田区、待望のイベント!

東京スカイツリーの建設は、地元墨田区だけでなく、日本中が元気になるようなイベントとして大いに注目された。

スカイツリーの足元には、押上(スカイツリー前)駅からとうきょうスカイツリー駅を結ぶ約400mのエリア「東京スカイツリータウン」が広がり、ウエストヤード、タワーヤード、イーストヤードの3つの区画を持つ大きな街として構成されている。

スカイツリータウンの中心をなすのは、タワーヤードに位置する、世界一高い自立式電波塔。これが高さ634mを誇る「東京スカイツリー」だ。観光スポットとしての最大の魅力は、なんと言っても2つの展望台だろう。360度の大パノラマが楽しめる、地上350mに位置する「東京スカイツリー天望デッキ」と、さらにその上の450mに位置する「東京スカイツリー天望回廊」だ。

一方、ウエストヤード、イーストヤードには、地上31階部分に商業施設である「東京ソラマチ」がある。ここは“新・下町流”をコンセプトにした複合商業施設だ。新しい下町の魅力を発信するショップをはじめ、約300店を超える店舗が揃った、都内最大級のショッピングゾーンでもある。店舗の種類も、飲食、ファッション、食品、雑貨、ライフスタイルと幅広い。また、イーストヤード5階には、東京スカイツリーができるまでを映像アトラクションとして体験できるメイキングツアー、7階にはプラネタリウム(コニカミノルタプラネタリウム“天空”)、ウエストヤード6~7階には水族館(すみだ水族館)など、充実した体験的な観光施設も特徴だ。

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■開業から3年、スカイツリー人気に陰り…!?

開業から3年を迎える、「東京スカイツリー」の人気はどうだろう。開業前からマスコミにより、鳴り物入りで取り上げられていた東京スカイツリー。2012年5月22日の開業から849日目の2014年9月17日には、「東京スカイツリータウン」の来場者の累計が1億人を突破するという絶大な人気を博した。そして、2014年の1年間は、のべ3,500万人以上の来場者数が記録されている。また、観光という側面から地上350mにある東京スカイツリー天望デッキへの来場者数をみると、2014年6月30日で約1,313万人が訪れている。

このようなデータからみるとスカイツリー人気は上々といえるのだが、実はその人気にやや陰りが見えているという話もある。それは2014年4月~6月期の来場者数をみると分かる。天望デッキは、前年同期比で15万人減の141万人。スカイツリータウン全体では200万人減の845万人だった。

スカイツリーの展望デッキへの来場者数減少に関しては、入場料の高さ(展望デッキ・大人<事前日時指定券>2,570円、展望回廊・大人<事前日時指定券>1,540円)によるリピーター率の低さ、悪天候などによる中止の影響などがあげられている。

(※価格は2015年5月現在)

■東京スカイツリーのお膝元・墨田区が抱える問題点とは?

「東京スカイツリー」の周囲を歩いてみると気づくことがある。それは、スカイツリーとスカイツリータウンの巨大な建物が、周りの風景に溶け込まずに突出して見えることだ。

スカイツリーのある墨田区は、様々な問題を抱えている区でもある。中でも、最大の問題は高齢化だ。65歳以上の高齢者の割合が墨田区人口(平成26年1月現在)の約23%を占め、これに比例するように所得の低さもあげられる。墨田区は東京23区の平均年齢ランキングで20位、所得ランキングでは17位と23区内では決して恵まれているとはいえない結果になっている。

このような状況を踏まえて、スカイツリーの周囲をみてみると、昔から営んでいたものの倒産してしまった零細企業や、シャッターを閉めたままの商店などがちらほらと目につく。こうした状況はもちろんスカイツリー開業前からも起きていたことだが、まだまだ改善されていないようだ。

そんな墨田区に、世界的な観光名所となりえる「東京スカイツリー」が開業したのである。

マスコミは連日その経済効果は推定880億円などと報じた。これには地元も大いに期待したであろう。周辺の商店街など地元の繁栄に期待が寄せられたのは、至極当然のことである。

しかし、実際にスカイツリーが開業してみるとどうだろうか。地元には観光客が思ったよりも流れず、その観光客の流れは、ソラマチなどのスカイツリータウンのみにとどまってしまった。つまりスカイツリー効果は、当時予想されていたほど地元に反映しなかったのだ。地元商店経営者などの失望が大きかったのはいうまでもない。しかも昨今、「東京スカイツリー」自体の人気にも陰りが…との声も生まれている。今後、「東京スカイツリー」と墨田区は、どんな方向へ進むのだろうか?

■共存共栄するために。東京スカイツリーと墨田区の今後は?

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最近になってスカイツリーの周辺地域では、依存するのではなく、自分達の手で活性化を図る様々な動きが見られるようになってきた。とはいえ、スカイツリーは大きな観光資源であることは間違いない。事実、先日のゴールデンウイークはスカイツリータウン内の飲食施設が連日満員となり、そこで溢れてしまったお客さんが周辺の飲食店に流れて、大いに賑わっていたと聞く。

では、スカイツリーを訪れた人の流れを地元に還元するにはどうすればよいのか?

当たり前のことだが、人々をスカイツリータウンから、スカイツリー周辺に呼び出すことが必要だ。そこで解決策として注目したいのが“街歩き”というキーワード。

墨田区には江戸時代から続く花街向島、相撲の聖地両国、江戸東京博物館などの観光スポットが点在する。スカイツリー直下に目を向ければ牛嶋神社や三囲神社、弘福寺などの歴史上名高い社寺も多い。現状では隅田川対岸に位置する浅草ほど大きなポテンシャルは持っていないが、こうした観光スポットはもっとフィーチャーすれば人気が高まる魅力を秘めているのだ。

墨田区観光協会のホームページ上には“街歩きコース”として、両国コース、菊川~森下コース、錦糸町コース、向島コースが掲載され、いずれもスカイツリーを見ながら回れる街歩きコースとなっている。さらにガイド付きまち歩きツアーとして、専属のガイドが案内しながらスカイツリー周辺の街歩きを楽しむという企画も実施している。

中でも、池波正太郎の時代小説「鬼平犯科帳」の舞台をめぐるツアーはあっという間に定員に達してしまうほどの人気ぶりで、20代〜30代の時代劇好きな若者の参加も多いという。このようにして、スカイツリー周辺の街を実際に見て歩くことにより、地元の現状も認知されて、活性化への道が開かれるのではないのかと考える。今後の官民一体となったアクションが大いに望まれるはずだ。

監修:リクナビネクストジャーナル編集部

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