給与の7割が外食費、イタリアンのために山形まで遠征…実名グルメサービス「Retty」社員の「振り切ったユーザー目線」

「実名クチコミ」のソーシャルグルメサービスとして人気の「Retty」。ユーザーが実名で、自分が行った飲食店の感想を紹介するサービスだ。実名だからこそ、信頼性が高い情報が得られお店選びに役立てられるうえ、自らも「おいしい!」と思ったお店の感想を投稿することができる。

f:id:itorikoitoriko:20141212155942j:plain

その気軽さと情報の信頼性が話題を集め、このほど月間ユニークユーザー(UU)数が500万人を突破した(2014年11月末現在)。ちょうど1年前のUU数は100万人であり、1年で5倍以上に拡大したことになる。

サービスを運営するのは、株式会社Retty。社員数21名という小所帯ながら、「社員全員、外食が趣味」であり、「その頻度が尋常じゃない」らしい。同社の社員を知る関係者は皆、「さすがはグルメサイト運営会社だ…」と唸るという。

Retty社員は、どれほど「食」の世界に没頭しているのか?武田和也社長に突撃取材したところ、スゴい特徴が見えてきた!

f:id:itorikoitoriko:20141212155944j:plain

▲Retty株式会社・代表取締役の武田和也さん

1.全社員、いつの間にか「外食が趣味」になっていく

社員全員、外食が大好き。ランチには必ずオフィス周辺の恵比寿・広尾周辺の飲食店に出かけ、会社帰りには仲間同士で夕食を取ったりお酒を楽しむ。ランチどきのオフィスで一般的によく見かける「コンビニ弁当をかき込む姿」はまず見られない。
となると、「グルメであること」が採用条件に加わっているのでは?といぶかしむが、決してそういうわけではない。中には、「Rettyのビジネスには興味があるが、食にはそれほど興味がない」という人もいたが、Rettyを通じて美味しいゴハンに出会うことで、誰もが自然に食が好きになっていったという。

「エンジニア、企画担当者、営業担当者など、それぞれの業務において日夜ユーザー視点に立ってRettyを見続ける中で、自然に『この店、おいしそう』『この人が勧めるお店は行ってみたい』など、どんどん行きたいお店が増えてしまうんです。行きたいと思ったお店は、『行きたい』ボタンを押してリスト化することができますが、あっという間にそのリストがものすごい量に(笑)。そして、片っ端からそのリストのお店に足を運び、『行きたい』から『行った』店に変え、口コミを投稿することに意欲を燃やすようになる。つまり、誰かに強制されているわけではなく、仕事を通じていつの間にかRettyのコアユーザーになっているんです」

2.追求するならとことん!「振り切ったグルメ」が多い

単に外食好きなのでなく、外食が「好きすぎる」社員が多いのも特徴。

今年の4月に入社した、営業担当の市川龍太郎さんは、毎日外食。家で食事を作ることはほとんどなく、「ガス代は毎月、最低基本料金」という。
「学生時代は食にまったく興味がなく、食べる時間は無駄だとすら思っていました。でも、Rettyに入社してユーザーの方と一緒に美味しいものを知るにつれ、『食の時間が娯楽になり得るのか!』と驚かされたんです。各エリア・ジャンルランキング上位の方をお招きして、定期的に当社主催でオフ会を催しているのですが、食を追求する姿が本当に楽しそうで…。いつの間にか私も話題の飲食店に足を運ぶようになり、気づけば外食の楽しさにどっぷりはまっていました」(市川さん)
今では、「給与のほとんどを外食に費やしているのでは?」と周りに心配されるぐらいの頻度に。現状、給与額から家賃や光熱費などの最低限の経費を除いた、約7割が外食費だと推察される。大好きな唐揚げの店は週に1~2回ペースで新規開拓し、情報収集を欠かさない。
「自分と味の好みが似ているから信頼できる、という人を見つけて、その人のリコメンド店を軸に選択するとハズさないですね。仕事で煮詰まった時には、おいしいお店で頭を切り替え、リフレッシュしています」(市川さん)

プロダクトマネージャーの片岡久美子さんは、大好きなイタリアンのためならば全国どこでも足を運ぶ。山形、神戸、大阪、軽井沢…その土地に名店ありと聞けば、新幹線ですぐに駆けつける。
「以前は、某口コミサイトのランキング上位店を回ることに喜びを感じていましたが、Rettyに入社して『自分好みのお店を見つける楽しさ』を知りました。Rettyでは、有名店を投稿するよりも、『知る人ぞ知る隠れた名店』について投稿したほうが“いいね”がつきやすいんです。そういうお店を見つけて『今度はココに行こう!』とワクワクしているとき、きっとユーザーの皆さんもこういう気持ちでRettyを見て下さっているのだろうな…と感じられて、嬉しく思いますね」(片岡さん)

武田社長自身も、相当な外食好き。朝昼晩、すべてが外食という日も多く、「過去1年を振り返っても、自炊した記憶がない」というほど。
「『食を通じて世界をハッピーにしたい』が当社の目標ですが、そのためにはまず自分たちが美味しいものを食べて、食でハッピーになるべきだと思っています。1回1回の食事を大切にしたいから、お店選びには真剣になります。誰よりも真剣にRettyを見ていると思いますよ」

f:id:itorikoitoriko:20141212155943j:plain

▲前列左が市川さん、その右が片岡さん

3.フレンチ、とんかつ、餃子…ジャンルごとに「担当者」がいる

同社の社員の名刺には、好きなグルメジャンルが記されている。名刺を作成する際に、自分はどのグルメジャンルに詳しいか申請し、ほかの人とかぶりがなければ晴れて「○○担当」と記される。ちなみに武田社長は「焼肉担当」だ。
「これは設立初年度から行っている試み。名刺交換の場でも『焼肉担当ですか?私も好きなんですよ』『どの店がおススメですか?』などと会話が膨らみ、関係性が深めやすいのです」

好きなジャンルがすでに先輩社員に使われていたら、バトルスタート!「自分のほうが詳しい!」とプレゼンをし合い、負けたと自覚したほうが引き下がる。「イタリアンなどは激戦ですね。ちなみに創業メンバーの長束は餃子担当を名乗っていますが、いいポジションを狙ったなと思っています(笑)」
ちなみに、「キャベアン担当」を名乗るデザイナーも。「キャベツとアンチョビのペペロンチーノ」が大好きで、その略称が「キャベアン」だとか。こんなレアメニューでもOKとは…。

4.オフィス周辺の飲食店を「食べ尽くし」たら引っ越し

株式会社Rettyの設立は、2010年11月。その後4年の間に、赤坂、新宿、六本木、築地、そして現在の恵比寿…と、すでに4回も引っ越しをしている。5拠点目である恵比寿に移ってきてもうすぐ1年、「次はどこに行こうか、検討しているところ。来年3月をめどに引っ越したい」という。
会社の移転となると費用がかかると思われるが、「オフィス周辺の飲食店をあらかた開拓し尽くしたら、未知のエリアに引っ越す」が、会社の基本方針となっている。
「同じエリアにずっとい続けると、どうしてもお店との出会いの数は限られてしまいます。一通り社員が行き尽くしたら、今まで行ったことのないエリアに引っ越すことで、新しいエリアで新しいお店に出会うことができ、より楽しく新鮮な気持ちで食事を楽しむことができます。新たな刺激を受けることで、社員の視野も広がるでしょう」

なお同社では、「ランチ用」に5台の自転車を用意。西麻布や六本木など、隣接エリアにランチ遠征する社員にフル活用されている。

5.月2回、「上限ナシ」で外食費用を支給

Rettyのコアユーザーになってしまったばかりに、外食比率が高くなってしまっている社員を支えるため、月2回分「調査手当」という名目で外食費を支給している。
どのエリアで、どんな食事を取ってもOK。そしてなんと、上限額も設けていないという。
「手当を作った当初は、『どれだけの額を請求されるのだろう…』とドキドキしていましたが、今のところみんな常識的な額に留めてくれています(笑)。この手当を活用して、さらに皆にユーザー目線を追求してほしいと願っています」
このような外食推進につながる手当は、今後拡充していく方針。近く、少し遠出ができるよう、年に数日ほどの「グルメ休暇」が設けられる予定だ。

f:id:itorikoitoriko:20141212155945j:plain

次なる目標は、海外進出。「“食”は全世界で受け入れられるコンテンツ」

「Retty」のサービスが国内で一定の認知を得た今、次なる目標は海外進出だ。2015年中をメドにアジア、北米など外食文化が普及しているエリアを中心に事業展開する予定にある。武田社長は、「食を楽しむ行為、おいしかったお店を他人に教えたくなる気持ちは、万国共通。大幅な変更はせず、ほぼ基本設計に沿ってサービス展開していく」と話す。
「アジアや北米を足掛かりに、その他の地域にも展開し、ゆくゆくは外食産業が成り立っているすべての国へと進出を目指したい。『食を通じて世界をハッピーにしたい』という目標を、追い続けたいと思っています」

日本から海外へ――事業基盤が大きく変わろうとしているRetty。新しい食を求めて引っ越しを続けてきた経緯があるだけに、本格的な海外展開が始まれば、将来的にはアジアや北米への本社移転だってあり得るかもしれない!?

■関連する業界の求人を見る
IT・通信系ソフトウェア・情報処理

EDIT&WRITING:伊藤理子 PHOTO:平山諭

Pagetop