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少子化なのに、どうして保育園は足りないのか

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働くママたちのコラム

秋風のそよぐ気持ちのいい季節。食欲の秋、読書の秋、芸術の秋といいますが、皆さん今年は何の秋でしょうか。

我々働く母親からすれば、それはそう、「保活の秋」です。

保活とは、保育園探し活動のことを指します。この言葉を一体いつ誰がつけたのかはわかりませんが、特に都心では保活が大変だと言われていて、こんな言葉が生まれてしまいました。風情しか感じませんね。

 

筆者もちょうど1年前、生後10ヶ月の娘を抱っこし、自転車で色々な保育園見学に走り回っておりました。これから保活をする方へ、そしてそもそも保活のことを全く知らないという方へ、どうして保育園は足りないのか問題について考えてみたので、書いてみたいと思います。

 

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都心の保育園、入りにくいって言うけれど、本当?

 

よくニュースなどで耳にする、待機児童問題ってありますよね。その名の通り、保育園に預けたい人の数と受け皿である保育園の数が合わない、保育園足りない問題です。少子化なのに、ですよ。

ここでいう「待機児童」とは、認可保育園に申し込んだにもかかわらず、入所できずに順番待ちをしている子どものことです 。これが 2014年4月の時点で、全国に約2万1000人いると言われています*1。ふむ。数字を聞いただけでは、本当に多いのか何なのかわかりませんねぇ。

で、いま認可保育園と言いましたが、保育園にもいくつか種類があるんですね。 

 

・認可保育所・・・施設の広さや設備、保育者の資格や人数などについて、国の基準を満たした保育所。

・認可外保育所・・・認可保育所以外の保育施設。保育料の額は施設ごとに異なり、園庭がないところも多い。

・認定こども園・・・幼稚園と保育園を合わせた保育園。数はまだ少ない。

・保育ママ・・・有資格者や研修を受けた保育ママが主に家庭の中で保育する形。

・預かり保育のある幼稚園・・・夕方まで預かり保育を実施している幼稚園のこと。3歳以上対象。

 

と、色んな保育の形があることがわかります。が、注目すべきは、待機児童と定義されている対象は、認可保育所に申し込んだ人だけだということです。つまり、はじめから認可保育所は諦めて申し込まず、認可外保育所に入れた人たちは待機児童とは数えない。もっと言えば、「子育ても落ち着いてきたし、働こうかな」と考えて保育園を探している専業主婦層も入っていない。そんなこんなで、「隠れ待機児童」は全国に80万人以上いると言われている*2。隠れすぎだよこれは!!

 

もう隠れ待機児童が多すぎて、保活に関するさまざまな都市伝説が行き交っています。申し込みを受け付けている役所で泣いて嘆願書を提出したとか、保育に欠けることを証明するためそのために戸籍上だけ離婚をしたりとか・・・そんな馬鹿な。

 

そもそも保活が大変だと知っている人たちは、妊娠中から保育所探しを行ったり・・・って、まだ生まれてもいない子どもの預け先を探すという事態に陥っている。ああこれが保育園探しの現状。

 

*1:保育所関連状況取りまとめ(平成26年4月1日) 厚生労働省

*2 新待機児童ゼロ作戦に基づくニーズ調査結果 厚生労働省

 

どうして保育園は足りないのか

 

ここで誰もが思うのが、保育園が足りないなら作ればいいんじゃない?ということです。そうなんです、増やせばいいんです。が、これがまたさまざまなハードルがあると言われていて。

 

その1:保育士が足りない

 

保育というのは、どう頑張っても労働集約型で、例えば認可保育所の規定だと、0歳児が3人いると保育士は1人必要だし、1歳・2歳児が6人いたら保育士は1人必要です。だから預けたい人に比例して必ず保育士も必要になるのですが、これがまた足りない。その理由の1つとして、保育士の給料の低さが挙げられます。

 

保育士の年収は他の職種に比べ、なんと約100万円も低いんです。平均年収は34.7歳で約310万円と、全職種の平均年収の414万円よりもはるかに劣ります*3。 この背景にあるのが、保育所、とりわけ認可保育所においては、親が支払う保育料の上限が約10万円と決まっていることです。この上限が決まっていると、保育士の給料の上限も決まってしまい、保育士の給料も低くなるという構造に陥っているわけですね。

 

しかし、それだけではありません。子どもの命を預かるという責任に加え、保護者の就業の多様化にともない、延長保育の対応やモンスターペアレントの増加、さらには子どもの食物アレルギー対応など、仕事は増える一方です 。しかし保育士の人数はそのまま。

 

そんな環境なものだから、一度保育士になって働いても、辞めてしまって戻らない「隠れ保育士」がいます。その数にして約57万人*4。いやいや、これも隠れすぎだなぁ・・!この潜在保育士の掘り起こしが重要ですが、給与面や環境面など、簡単に変えられる構造になっていないのが問題なのだと思います。

 

その2:新規参入障壁が高い

 

認可保育所をいざ作ろうという団体があるとしても、認可保育所の認可基準は厳しく、定員が20人以上で0歳児・1歳児の一人当たりの基準面積が3.3㎡必要になってくるんですね。都心でこんなスペースを確保することが、そもそも難しいのです。 

 

さらに補助金で成り立つ構造 にある保育所は、その補助金対象外の認可外保育所となると財政的に厳しくなる。親から高い保育料を徴収してもなお、です。保育所ではなく、駐車場を作った方が儲かると言われているくらい、儲からないものになってしまっている。

 

儲からないなら、利用者からの徴収料をあげ、経営すればいい。市場原理に従って、需要がこんなにもあるのだから、値上がりするのが経済の一般的な流れですよね。ところが前述したように、認可保育所は利用料に上限が定められています。認可外保育所でも、値段を上げたからといって質の高い保育ができるのかと言われると、保育士不足などによりそううまくはいかない。だから市場原理では解決しないと言われているんですね。

 

おまけに、「子どもの声がうるさい」と言って近隣住民から保育所新設の反対が起こる・・・なんて話題もありますよね。主に高齢者からの反対が多いといいますが、そもそも高齢者世帯が「小さな子どもを預けてまで仕事をするなんて」という考え方が多いと言われる世代でもあるので、 もはや考え方の違いから起こる世帯間衝突なんだなぁと思っています。なんだか悲しくなってきたのでこの辺にしましょう。

 

*3 平成25年分民間給与実態統計調査結果について 国税庁

*4 潜在保育士の実態について 平成 23 年度厚生労働省委託事業

 

私たちに何ができるのか

 

と、簡単に保育所が増えない理由はわかっていただけたでしょうか。保育園に入れないかもしれないと嘆いていても仕方がないので、明日から私たちでもできることを以下に挙げてみました。レッツトライ。 

 

 

認可保育所 以外も検討する

 

保育所もさまざまな形があるにもかかわらず、やはり大規模な認可保育所に利用者が集中します。筆者も保活当時は必死だったため、とりあえず認可保育所から見学を始めましたが、よくよく調べるといい小規模保育もたくさんあるんですよね。保育ママなんかも、保育ママさんの自宅で2~3人を保育するような形だから、家庭に近い形で保育ができていいという話も聞きます。

 

小規模保育も最近たくさん新設されてきていて、先生や親同士の距離も近くていいという話を聞きます。保活をする際は、認可保育所以外にも目を向けてみましょう。

 

保育士さんへの感謝を忘れない

 

保育士が不足している背景には、その大きな負担があると言いましたが、それは我々保護者も保育所に要求しすぎていないか?と自問自答する必要があります。

 

月並みですが、やはり「お金を払っているのだから預かってもらえて当たり前」ではなく、大事な子どもを見てもらっているという感謝の気持ちが常日頃必要だなぁと思います。

 

娘の通っている保育園では、お迎えに行った時、先生から「おかえりなさーい!」と言われて、他のママも含めてみんな返す言葉が「ありがとうございました!」なんですよね。当然かもしれませんが、そういうのって、大事です。

 

選挙に行く

少し大きなテーマになってきましたが、保育園というのは国や自治体の補助金で成り立っています。だから、若年層、子育て層の投票率をあげて、もっと子育て支援に予算を割いてもらいましょう。高齢者の投票率が高いから、高齢者向けの政策を・・・ではなくて。

国の未来を作るのは、未来の子どもたちです。そこに予算を割いてもらうべく、投票に行きましょう。

 

 保育園足りない問題は、一筋縄にはいかない問題ですが、私たちにもできることがありますね。そういうわけで、少しずつでも、子どもを歓迎する社会にしていきたいものです。

次回は実際に保活を体験した話を書きたいと思います。

著者:まなしば

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1988年生まれのIT会社員。1歳の娘とエンジニアの夫と3人暮らし。個人ブログ「ままはっく」を産休中に立ち上げ、月間50万PVのメディアとして子育てやWEBサービスについて連載中。子育て世代が意見を発信していくブログメディア「イクタス」も運営。こっそり大阪人。 

 

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