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週刊 やっぱりR&D 求人トレンド解析室 解析テーマ 風力発電

輸入製風車が市場を席巻していた風力発電業界だが、ついに日本製がお目見えするようになった。
風向、風力ともに一定しないという日本の過酷な気象条件に耐える風車を作ることは、そのまま
世界一流の技術となり得る。政府も普及を推進しているエコロジー分野に挑戦だ。
(取材・文/伊藤憲二 総研スタッフ/高橋マサシ) 作成日:04.06.30
クリーンエネルギー産業で、21世紀の「風車技師」になる
業界事情
 風力発電は既に日本全国で稼働しているが、大半は外国製の風車だった。しかし、設置数が増えるにつれ、国内の重工メーカーが風力発電ビジネスに次々と参入してきた。
 現時点で自社製の風車を納入ないし試作している大手企業は、三菱重工業、川崎重工業、富士重工業の3社。三菱重工業の風車は欧州製の大型風車に匹敵する1メガワットモデル。川崎重工業は中型クラスの600キロワット級で勝負する。富士重工業は40〜100キロワット級の小型風力発電機で、離島や発展途上国向けのビジネスを狙っている。

 日本は低気圧や台風の通り道にあたり、日によって風向や風速が頻繁に変わる、風力発電には不向きな気候である。風力エネルギーが風車にかけるストレスは実はかなりのもの。欧州製の風車が日本のような過酷な風環境での運用に耐えられるかどうかは、未知数だという。
 国内メーカーが風車を設計することは、日本特有の気候へのマッチングという点で有意義なだけでなく、同じくモンスーン気候である南アジアへの販売でも優位に立てる可能性も高い。

 政府は2010年までに、風力発電の最大発電量を2002年末段階での46万キロワットから300万キロワットにまで引き上げる計画で、今後しばらくは風力発電所の建設ラッシュが続くと思われる。上記3社以外にも、大型風車を手がけるメーカーが出てくる可能性が高い。
 風を電気に変える風力発電の開発は、地球に優しくありたいエンジニアにとって、まさにやりがいたっぷりの舞台である。


採用動向
 世界的には風力発電機の専門メーカーはいくつも存在しているのだが、日本ではまだ風力発電ビジネス自体が立ち上がったばかり。風力発電機に本格的に開発リソースを割く企業は少なく、従って求人もそう多くない。
 リクナビNEXTでは「風力」や「発電」をキーワードに検索。売電に使えるような大型風車ベンダーだけでなく、風力発電のもうひとつの顧客であるエンドユーザー向けの小型風力発電機メーカーも候補になる。

 しかし、今後の風力発電機関連には期待が高まっている。高品質、高耐久性といった日本製の風車の実力が認知され、輸入風車を押さえ込めれば、2010年までに300万キロワットという政府の計画によって創出される、3000億円以上という市場をモノにできるからだ。その際には、相当数のエンジニア求人が予想される。
 風力発電機の開発に必要なスキルは、羽根、タワー、電気系統の3つに分けられる。羽根の設計で重要なのは、実は宇宙航空系の技術。ボルツの法則という風力を運動エネルギーに変える効率には、理論上の限界がある。その限界領域での効率追求は、航空機や宇宙船の翼と同等の技術力が要求されるのである。異業種のエンジニアがスキルを生かせるのは、構造設計やコンポジット材料などの分野だろう。

 タワーには、巨大な風車に台風級の風が当たっても倒れない強度が必要。構造で強度を維持するといった設計ノウハウのほか、ゼネコンなどのエンジニアがもつ施工のノウハウが生きる。
 電気系統は、異業種エンジニアが最も活躍できる分野だ。ダイナモ、インバーターなど発電、制御系部品の設計は、装置の規模は大きいものの、家電、重電との技術的共通性が高い。また、風車の羽根の角度を風速によって自動的に変更させるなどのソフトウェア開発では、WindowsやLinuxなどOS上で動作するアプリケーション開発経験も生きるはずだ。
 風力発電機の開発は、現時点では狭い門かもしれない。しかし、今後は輸出までを見すえた新産業に育つ潜在能力をもつ。「風車技師」を志すエンジニアは、転職のチャンスをうかがいたいものである。


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