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自動車業界TOP企業に聞く 次世代エンジン開発最前線 自動車業界TOP企業に聞く 次世代エンジン開発最前線
自動車業界TOP企業に聞く 次世代エンジン開発最前線自動車業界TOP企業に聞く 次世代エンジン開発最前線
自動車業界TOP企業に聞く 次世代エンジン開発最前線
ガソリン、モーター・ハイブリッド、そして燃料電池。今、自動車の心臓部であるエンジン開発の覇権を争い、世界中で開発競争が激化している。それに伴い、激烈なエンジニア争奪戦を繰り広げようとしている。市場、技術、企業戦略、活躍できるエンジニアの条件を探った。
(取材・文/中村伸生 総研スタッフ/関洋子) 作成日:03.06.18
Part1 燃費効率、環境保護、拡大する次世代エンジン開発マーケット
好調な自動車産業を背景に開発が進む次世代自動車
 先ごろ発表された国内自動車大手3社の3月期決算は、そろって過去最高益を計上した。北米市場における好業績が引っ張り、各社の欧州事業の改善がそれを後押しした形である。こうした好調な自動車販売の中に、従来の内燃機関ではない次世代自動車が占める割合はまだまだ少ない。かろうじて国内でハイブリッド車が街中で見かけるようになったくらいだ。このように大手各社は環境への配慮などから、省エネ、低排出ガスを実現するガソリン車、さらに高性能を目指すハイブリッド車の開発に注力している。

 しかしながら次世代自動車の本命は燃料電池車。昨年末にはトヨタとホンダが、乗用車タイプの燃料電池車を競って発表した。両社に限らず多くのメーカーは利益の多くを開発に注ぎ込んでいるのだ。富士経済が2002年8月〜9月にかけて行った調査によれば、今年度は政府関係、研究機関、エネルギー関連を中心に、いよいよ30台前後の販売があるとしている。このように今、各社が次世代エンジン開発に傾倒するのは、これによって次代の覇権地図が大きく変わる可能性があるからだ。


予想を上回るペースで進む開発
 では、燃料電池自動車の開発は、現在のところどのような段階にあるのだろうか。コンピュータの発展過程にたとえるならば、パソコンのように一般に普及するようになるのはいつごろなのだろうか。自動車技術の専門家で、日本自動車殿堂の会長も務める芝浦工業大学の小口泰平教授に聞いてみた。

 「私は3年ほど前まで、燃料電池自動車の普及が始まるにはあと十数年以上かかると見ていました。ところがここ1〜2年の技術の進化は著しく、少し修正しなければならないかなと見ています。

 ハイブリッド車の開発で、モーターの効率化やコストダウン、回生エネルギーを利用する制御技術が急速に進んだことが背景にあります。しかし何といってもトヨタとホンダが競って世界最初の実用車を発表するなど、素晴らしい競走を繰り広げていることが見逃せません。ダイムラークライスラーが燃料電池バスを納入したり、GMの会長が量産目標を公表するなど、世界レベルでも盛り上がりを見せています。

 こうした理由から、2010年ころには最初の一般普及が始まるのではないでしょうか。課題は量産化による販売コストのダウンと、水素ステーションなどインフラの整備です。まだまだ限定的でしょうが、現在よりも進んでいるはずですから」

小口泰平氏
小口泰平氏
芝浦工業大学工学部教授
NPO法人
日本自動車殿堂会長

1937年生まれ。82年に芝浦工業大学工学部教授就任。91年、同大学システム工学部部長を経て、97年から2000年3月まで学長を務める。専門は自動車工学、マンマシンシステム。RJC(日本自動車研究者・ジャーナリスト会議)前会長。
 後出の富士経済の資料では小口教授の予想より少々厳しいが、2005年にハイブリッド車は36万4000台、燃料電池車200台、2010年にはハイブリッド車181万台、燃料電池車1万台と予測している。ハイブリッド車は本格普及し、そして燃料電池車はようやく一般客が購入するレベルまで到達している可能性は非常に大きい。
方式別普及動向予測
方式
2001年(実績)
2003年(予測)
2005年(予測)
2010年(予測)
燃料電池自動車 0 30 200 10,000
ハイブリッド車 74,600 153,000 364,000 1810,000
電気自動車 450 900 2,000 20,000
天然ガス自動車 4,500 8,000 25,000 80,000
出典:「2002新環境自動車の技術開発と市場展望」/富士経済2002年8〜9月調査
Part2 生かせるスキルと活躍フィールド
エンジン開発は内燃機関屋だけの世界ではない
 従来、自動車の動力開発はメーカー内でも一段高いポジションが与えられていた。開発技術者はエンジン屋として誇りをもって圧縮・点火・燃焼といった内燃機関技術を追究していたのである。70年に電子デバイスによる制御技術や低公害技術が加わったが、大筋は変わらなかった。ところがガソリン車以外の次世代動力開発には、これまで自動車エンジンとは縁の薄かった分野の技術も必要となっている。

 もはやエンジン開発は内燃機関屋だけの世界ではない。各メーカーも部門間の壁を取り払うばかりか、社外の人材を受け入れることを積極化している。「中には自動車免許を持っていないというエンジニアもいる」(小口氏)ともいわれている。クルマ好きがまだまだ多い世界だが、特にハイブリッド、燃料電池自動車などの次世代自動車開発は開発対象として多くのエンジニアを引きつける分野なのだ。
次世代自動車におけるエンジン開発で求められるエンジニア像
内燃自動車
● 高効率ガソリン/ディーゼルエンジン開発:制御ソフト開発、機械、流体、化学・素材系エンジニア
※燃料噴射制御、バルブ開閉制御、燃焼室内スクロール制御のためのプログラム開発および機械設計、流体設計。触媒開発。省エネ・低排出ガスを目的にコンベンショナルなエンジンの開発も活発に続けられている。
燃料電池自動車
● モーター開発や回生エネルギーデバイスの開発:電気分野の技術や材料関連の技術、電子制御技術力のあるエンジニア
● より効率の高い燃料電池スタッグの素材開発:化学・材料関連の技術、燃料改質や水素貯蔵にも共通する分野のエンジニア
ハイブリッド
自動車

● モーター開発や回生エネルギーデバイスの開発:電気分野の技術や材料関連の技術、電子制御技術力のあるエンジニア
※特に内燃機関を併用するので協調稼働のための制御技術が性能向上の鍵を握る。触媒に関してもまだまだ課題があり、化学・素材系のエンジニアの重要度は高い
電気自動車
● 効率的なモーターの開発:電気・制御(インバータ)分野の技術に詳しいエンジニア
● 素材開発:走行距離や走行性能向上の課題から軽量化を果たすため
究極のエネルギー開発は異分野の知識が必要
 次世代自動車開発は多くのエンジニアにとってどんな意味を持つのだろうか。
「私は次世代自動車の動力開発がこれほどエンジニアの心をとらえるのは、エネルギー効率を極限まで追究する開発として、理論や常識の限界にチャレンジしているのがハッキリと見える分野だからだと思います。確かにクリーン化や省資源といったエコロジーにも貢献できることはエンジニアの意欲を大きくかき立てるものです。すべての人類が享受できる先端テクノロジーは、それだけで大きな意味があるでしょう。技術的にも日本のメーカーがいちばん進んでいます。ここ数年でスタンダード技術を確立すれば、世界が追随することにもなります。

 でも、それ以上に従来のガソリンエンジンで約25%、ディーゼルエンジンで約30%のところ、究極のエネルギー効率を持つ『人間』の50%に燃料電池をはじめとする次世代自動車がどれだけ近づけるかというチャレンジは、エンジニアの夢そのものでしょう。1885年、ダイムラーがガソリンエンジンの基本を開発してから、着実に内燃機関は進化してきました。でも、もうそろそろ次のテクノロジーに受け継いでも良い時期ではないでしょうか」(小口教授)

 次世代のエンジン開発にはまだまだ課題が残されている。異分野からのエンジニアの参入こそが、その夢を実現する動力源となりそうだ。
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