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30代の電気・電子/機械・メカトロ系エンジニア300人が予測

日本が強みを発揮する
    “次のモノづくり”はコレだ!

景気回復の兆しは見えてきたものの、日本の「モノづくり」を危ぶむ声は多い。家電、自動車、半導体、そしてクリーンエネルギーの分野まで、新興国が力をつけてきているからだ。日本が優位に立てる「次のモノづくり」は何か。その最前線に立つ製造業の電気・電子系と機械・メカトロ系のエンジニア300人にを教えてもらった。

(取材・文/総研スタッフ 高橋マサシ)作成日:10.05.12

HVとEVの自動車がダントツ、太陽光発電と燃料電池が追う!


ハイブリッド車の1位は日本が実績を持つゆえんか

「日本の技術が強みを発揮する次のモノづくり」を、グラフにある15の選択肢と「その他」から選んでもらった(最大3つまで)。グラフのように1位は「ハイブリッド車」(HV)で2位が「電気自動車」(EV)。実用化がスタートしたばかりのEVは、「勝者」が決まるのがしばらく先になる。日本が先行して実績を残しているHVのほうが、「強み」の安心感があるということか。いずれにせよ「日本のクルマ」に期待するエンジニアがとても多い。
3位も日本のお家芸と呼べる「太陽光発電」。近年では日本のグローバルシェアが下がっているが、同じクリーンエネルギーでも「原子力」(7位)や「風力」(13位)より技術力と成長性を感じているようだ。

市場拡大確実のコンシューマー製品への期待度が低い

4位以下の「燃料電池」「ロボット」「LED」も日本がリードする分野で、ある意味で順当とも呼べるが、意外(?)に「鉄道」(9位)が票を集めた。先進国も新興国も技術輸入による高速旅客鉄道の敷設が盛んであり、日本も新幹線を売込み中。技術力以外の理由で案件はなかなか取れないようだが、エンジニアはその底力を信頼しているのかもしれない。
残念なのは「スマートフォン」や「電子書籍」など、世界的な普及が見込める製品への期待が薄いこと。また、「その他」には「産業機械」「ARや3Dなどバーチャルな技術」「半導体」「新規燃料」があり、2人は「日本に強みはない」と答えた。

自動車業界はクルマ、家電業界は太陽光発電が「次の技術」

同じメーカーでも業種によって意見が異なる


自動車業界のエンジニアの意見

電気・電子(エレ)と、機械・メカトロ(メカ)に分けて順位を見ると、エレの順位は全体のそれとさほど変わらないが、メカでは3位以下が「燃料電池」「人型ロボット」「太陽光発電」となり、「太陽光発電」の順位がぐっと下がる。仕事に携わるケースが少ないからかもしれないが、こうした傾向が顕著に出たのが業種別だ。
完成車メーカーやサプライヤーなどの「自動車業界」では、1位:ハイブリッド車、2位:電気自動車、3位:燃料電池、4位:人型ロボット、5位:鉄道。鉄道を除けば自動車業界が参入している分野ばかりが並ぶ。一方、総合家電、家電、ゲームなどの「家電業界」では、飛びぬけて太陽光発電が1位になる。2位はハイブリッド車と電気自動車だが、ほぼ同数で4位が燃料電池、5位が二次電池。つまり、家電業界では電池系を「次」と感じている人が多いのだ。

やっぱり自分が関わる技術を推してしまう?


家電業界のエンジニアの意見

これらからわかるのは、回答者の多くが自社や業界の有望株を推しているということ。例えば、精密機器・計測機器関連メーカーでは、原子力発電が4位に浮上していることからも察せられる。自分が関わる技術分野だから当然詳しい、という理由だけでなく、自分に関係した技術だから当然かわいい、のかもしれない。
年齢別では30〜34歳が「宇宙・航空」「スマートフォン」「電子書籍」を挙げる人が多かったのに対して、35〜39歳では「スマートグリッド」「LED」「太陽光発電」の割合が高かった。若手は意欲的でベテランは堅実、ということか。

300人の半数以上が「転職したいと思わない」理由とは?

転職先に考えないのは現状に満足しているから


「次のモノづくり」の分野に転職したいか?

これから日本が強みを発揮するモノづくりとは、将来的な成長が見込まれ、技術者としても腕を振るえる分野を意味する。ならばそこに転職したいのかと聞くと、52%が「そうではない」と答えている。その理由は何だろうか。
最も多かったのは「現状に満足している(不満はない)」という回答で53%。エレとメカの比率は同数だった。次に多かったのは「リスクが高い」で16%。エレが6割、メカが4割。ほとんどが転職への不安だったが、その業界の先々の不確実性を挙げる人もいた。有望な産業であっても未来は誰も担保できないので、勝負はせずに現状を選ぶという考えだろう。
3番目が「そのための技術や知識がない」で15%。こちらはエレが4割弱、メカが6割強だった。全体の33%を占める「転職したいが技術や知識がない」ではなく、「技術や知識がないから転職など考えない」という人たちだ。ちなみに両者を合わせた「技術や知識がない」の合計は全体の40%。これら以外の理由(16%)では、「興味がない」が最も多く、「転職を考えていない」や「面倒」なども目立った。

精密機器・計測機器関連は技術を活かせない?

転職意向でもエレとメカの意識差はほとんどなく、業種による差が大きかった。最も多かった回答を見ると、「転職したい。そのための技術や知識がある」は「半導体・電子・電気部品関連」で12%。新産業への技術の汎用性が高いと感じているようだ。また、「転職したい。だが、そのための技術や知識がない」は「機械・医療機器関連」で43%。「転職したい」が合計55%で最も転職意欲が強い人たちだ。
そして、「転職したいとは思わない」は「精密機器・計測機器関連」で65%。かなり高いのだが、この業種は「転職したい。そのための技術や知識がある」も「すでにその仕事をしている」も回答ゼロだった。「次のモノづくり」に縁遠いと考えているようだ。そして「すでにその仕事をしている」で最も多かったのは「自動車業界」で17%だった。
時代によって求められる産業が変わるのは当然であり、今がその時期に来ているのは確かなこと。職種や業種は違ってもエンジニアはこの波に巻き込まれる。「日本が強みを発揮するモノづくり」がひとつでも増えてほしいと思う。

本レポートは総合転職サイト「リクナビNEXT」連動コンテンツです。 Supported by Tech総研

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