歳をとると、怒ってくれる人がいなくて新人以下になってしまう問題と、その対処法

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新人さんが上司にこっぴどく怒られたあとには、きまって横から先輩がやってきて「大変だったね、でも怒られているうちが花だよ。歳を取ると怒られもしなくなるからねー」とアドバイスしてくる現象が発生することはご存知かと思います。

若いうちは、「怒られているうちが花……そんなブタクサみたいな悪趣味な花なんていらないよ!」と思ってしまうものですが、冷静になって周囲を見渡してみると、たしかに「問題行動が多いが、歳を重ねてしまっているがゆえに、誰にも注意されず、静かに悪評が広まって微妙に干されかけている」という先輩がいたりもして、「怒られているうちが花」理論が真実であることに気づき、そして、いつしか自分も怒られなくなっていくのです。

「ひそかにダメ出しされているのかもしれない」と思うべきである

この話を他人事だと思っている人は、ひそかにダメ出しをされていても気づけません。

会議の遅刻について考えてみればわかりやすいです。そこそこの年次の人が会議の時間に遅れても、注意されることはあまりありません。「ごめんごめん、遅れちゃって……」と言えば、同席している人たちは必ず「いえいえ、大丈夫です」と返します。

しかし、彼らは心から「いえいえ、大丈夫です」と思っているのではありません。「時間を守るのは社会人の基本だろう。いい歳してそんなこともできないなんて大丈夫なの?」と思っているのですが、いい歳をした大人に、「早く来てください」と言うのはメンツを潰してしまうことになるし、若者にとっては、目上の人に注意するのは気まずいと感じてしまうから、そう言っているにすぎないのです。

残念なことに、鈍感な人は、そこで本当に「許されている」と思ってしまい、遅刻の常習犯になってしまうのです。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

自分を律するために「実は怒っているフレーズ」を知っておこう

明示的に怒ってくれる人がいない状態で自分を律するのは難しいものですが、そんなときは「見た目はマイルドだが、実は怒っている」フレーズを覚えておくことで対処できます。デートに誘って「お誘いありがとうございます。時間ができたら、ご一緒させてください」と返信が来たとしたら、高確率で「もう誘わないで」という意味ですが、仕事についてもこれは同じです。

たとえば、年次の高い社員の困った性癖として必ず挙がる「指示や意見が日によって変わる」ことについて考えてみましょう。やはり、周囲は「小学生じゃあるまいし、思いつきを口に出すな」とは言いません。どのようなフレーズを使うかというと……。

何気ないフレーズ その1

いまおっしゃった内容は確定ということでよろしかったでしょうか

その真意→ 指示内容が変わるだろうから言質を取りたいです

解説 このあと、指示内容が変わるかもしれないと思い、本当に指示に従っていいのか聞いています。これはまだわかりやすく怒っている方です。

何気ないフレーズ その2

念のため、先ほどのお話をまとめたものをお送りします

その真意→ 言った言わないの話はもうたくさんだ!

解説 仕事を口頭でのやり取りで完結させるタイプの人が、言っていることをまとめてメールしてくるようになってくると、信用されなくなってきたことの証拠です。

何気ないフレーズ その3

先日おっしゃった内容を誤解していたようです。理解が悪くて申し訳ありませんでした

その真意→ 言ってることがブレすぎていて二度手間になってしまったじゃないか!

解説 謝りながら怒るというミラクルな状態ですが、怒っていることを隠さねばならないという意識から、必要以上に謝ってしまう人もいるので要注意です。

一方で、「指摘が不必要に細かくて息苦しい」と思われている上司や先輩も多いですが、細かい人はどのようにダメ出しされるかというと……。

何気ないフレーズ その4

(他の上司に関して)○○さんは、おおらかで大好きです

その真意→ あなたのことは、その細かい性格が嫌い!

解説 細かさ以外でも当てはまりますが、自分と正反対のタイプの人をベタ褒めしていたら、「もしかして……」と思った方がよいです。

何気ないフレーズ その5

部屋が片付いてそうですね

その真意→ 仕事で細かいとプライベートでも細かいんだろうな

解説 「おしゃれな部屋なんでしょうね」などの褒め言葉なら愛されていますが、部屋の片付き具合についてわざわざ想像され、言及されるというのは危険な兆候かもしれません。

何気ないフレーズ その6

お忙しいところ丁寧にご指導いただき、大変恐縮です!

その真意→ どうでもいいところまでチェックしているなんて、よっぽど暇なんだなー

解説 必ずしも怒っているとは限りませんが、後輩や部下よりも帰りが早いのにこのようなフレーズが出てきたら要注意です。

このように、怒ったときの何気ないマイルドなフレーズを覚えておき、それが使われたことをもって「怒られている」と感じられれば、怒られなくても怒られたのと同じ効果が得られます。

「それなら、遠回しに言わないで直球で怒ればいいじゃない」と思ってしまうかもしれませんが、新人にズバリ「いい歳して、言ってることがブレブレですよね!」「いい歳して細かいことばっかり言っていると、器が小さく見えますよ」などと言われたらと考えると、やはり遠回しに言ってもらえるありがたさを噛みしめながら、感度を高めて自分を律していくしかないようです。

著者:ココロ社 (id:kokorosha)

ココロ社 (id:kokorosha)

大阪生まれ。東大文学部卒業後、テレビゲーム製作を経て平凡な窓際サラリーマンとなる。傍らで珍妙なブログ「ココロ社」を運営。書籍の執筆もしており、著書に『マイナス思考法講座』(阪急コミュニケーションズ)『モテる小説』(阪急コミュニケーションズ)『忍耐力養成ドリル』(技術評論社)など。好きな犬はヨークシャテリア。

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