仕事が向いていないと感じたら?続けるか辞めるか判断方法をプロが解説

思うように成果が出なかったり評価されなかったり。ビジネスパーソンであれば、モヤモヤを抱えながら「今の仕事に向いていないのでは…」と不安に思った経験があるのではないでしょうか。

仕事が向いていないと感じるタイミングやサイン、その後取るべき対処法などについて、組織人事コンサルタントの粟野友樹さんが解説します。

考え事をしているビジネスパーソンのイメージ画像
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仕事が向いていないと悩むタイミングやサイン

「今の仕事は自分に向いているのだろうか」と、ふと立ち止まって考えてしまう。

そんな経験は、多くのビジネスパーソンが持っているものです。仕事を始めたばかりの時期や、仕事に慣れてきたころなど、悩みを抱えるタイミングは人それぞれ。時期ごとにどのようなサインが表れるのか、傾向を見ていきましょう。

入社直後

新卒入社でも中途入社であっても、入社した直後は、新しい環境に慣れないことで「仕事が向いていない」と感じやすい時期です。

それまでの仕事内容や仕事の進め方と違う上に、人間関係もゼロから築いていかなければならず、勤務地や勤務体系の変化により新たな生活習慣にも適応する必要があります。ストレスを感じるのは仕方がないといえるでしょう。

また、「入社前にイメージしていた業務内容と現実が違っていた」「すぐに仕事で評価されるだろうと思っていたが違った」など、期待値とのギャップにより、向いていないと思ってしまうケースも少なくありません。

入社1年目

入社当初は緊張感もあり、とにかく環境に馴染もう、仕事を覚えようと必死だった人も、だんだんと余裕が生まれて周りが見えてきます。日常的な仕事に対応できるようになるからこそ、「思うような成果が出せない」「評価が受けられない」「同年代や入社同期などと比較して活躍できていない」など、社内の自分の立ち位置を意識するようになり不安を感じる人も出てくるでしょう。

また、「1年経験してみて、想像していた仕事内容とずれがあることに気づいた」「目指していたキャリアパスが歩めないと感じるようになった」と思う人や、人間関係に違和感を覚える人、仕事の進め方や周りとのコミュニケーションなどがうまくいかず「社風が合わない」と感じる人なども出てくるようです。

入社2年目

業務に慣れが出てくる反面、仕事に新鮮味がなくなる(マンネリ化する)時期かもしれません。同じような難易度の仕事が続き、成長実感やスキルアップ感が得られないことで物足りなさを覚える人もいます。「新しいプロジェクトにアサインされない」「同年代と比べて、自分だけリーダーポジションを任されない」など、周りとの比較による焦燥感も、「自分だけ評価されていない。今の仕事には向いていないのではないか」と思う要因になります。

入社3年目

入社3年目になると、大型案件などの新しい仕事を任されたり、後輩指導やリーダーポジションなどの役割に就いたりすることも増えるのではないでしょうか。周りからの期待値が高まると、うまく対応できないことで力量不足だと感じ、「せっかくもらったチャンスに応えられない。向いていないのかもしれない」とストレスをため込んでしまう人もいます。

ほかにも、人間関係でうまくいかないケースや、今の仕事を続けた先のキャリア展望が開けないといった不安感も、向いていないと思う要因になるでしょう。

入社4年目以降

同年代の同僚や友人の活躍の幅が広がっていくため、差を感じやすくなる時期です。例えば「中途同期のAさんはマネジャーに昇進し、Bさんは希望のマーケティング部署に異動して新しいキャリアを築いている。後輩のCさんは営業トップの成績を取っているのに、自分はいつも平均点で営業リーダー止まり。差がついてしまった…」など他者のキャリアとの比較で不安や焦りを感じてしまいます。

周りに転職や独立する人もいる場合は「自分はこのまま今の仕事を続けていていいのだろうか。そもそも、自分に合っているのだろうか」と立ち止まって考えることも多くなるかもしれません。仕事内容の責任の重さや広がりへの負担感、業務のマンネリ化、成長感やスキルアップ感のなさ、将来のキャリア展望の不透明さなどから不安を抱くことは、入社4年目以降も続いていくでしょう。

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仕事が向いていないと思う要因4つ

どの年次にも共通して「仕事が向いていない」と思う要因にはどんなものがあるのでしょう。

他人のキャリアや成果などと比べて劣等感や焦りを感じる

同世代の友人や同期が順調に成果を上げていると、自分だけ遅れているような焦燥感から「向いていない」と思ってしまう場合が該当します。

成長感やスキルアップしている実感を得られない

経験年数は重ねているものの成長している実感が得られなかったり、そもそも「仕事を通じてスキルアップしたい」「学びたい」という意欲が湧いてこなかったりする場合もあるでしょう。

自分が思うような評価を得られない

自分はできていると思っているのに評価されず、逆に自分よりもできていないと思う同僚などが会社から高く評価されている場合、評価制度や評価者への不満を抱くようになります。自信を失い「自分は向いていない」とモチベーションも下がってしまうでしょう。

その先のキャリアに期待を持てず不透明である

今の仕事がこれからのキャリアにどうつながっていくのか道筋が見えなければ、仕事への熱意は徐々に失われていきます。その結果、パフォーマンスも上がらず「自分には向いていない」と思うようになってしまいます。

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「向いていない」と思う仕事を続けるとどうなるか

向いていないと思っていながらも仕事を続けると、ストレスを感じることで心身に不調が生じ、モチベーションやパフォーマンスの低下、それによる評価の低下、上司や同僚など人間関係の悪化…といったように影響が広がっていく可能性があります。

評価が上がらないと自信がなくなり劣等感を抱くようになるかもしれません。するとますます仕事に集中できずにミスを繰り返してしまうこともあるでしょう。昇進や重要な仕事を任される機会が減ってしまうことで、成長実感が得られないという悪循環にもつながりかねません。

今の仕事が向いていないと感じたときの対処法

では、今の仕事が向いていないと感じたときにはどのような対処法があるのか、考えていきましょう。

自己分析をする

まずは、自分が仕事のどの部分に対して「向いていない」と感じるのかを理解することが大切です。不満を感じたり、自信を持てないと思ったりするときはどんな場面なのかを振り返りながら自己分析を進めていきましょう。家族や友人、転職エージェントなど第三者に話を聞いてもらうのも一つの方法です。

仕事のやり方を変える、見直す、新しい方法を取り入れる

すぐに仕事内容や職場環境を変えることが難しくても、仕事のやり方を見直すことはできます。今とは違った仕事の進め方ができるかどうか、まずは上司に相談してみましょう。
具体的に仕事のやり方を変えるには、例えば以下のように進める方法があります。

  • 生成AIなどの新しいテクノロジーやツールを活用する
  • 明確な目標・数値目標などを細かく設定して、進捗を管理する・可視化する
  • 重要な仕事と補助的な仕事を区分けして、重要な仕事に集中するようにする・効率化を図る

ハイパフォーマーを真似る、学ぶ

同じ仕事で成果を上げている同僚や先輩はどんなやり方をしているのか。自分との違いを分析し、ハイパフォーマーが取り入れている工夫をすべて真似してみるのもいいでしょう。

適性がある仕事・部署に異動する

異動の機会があるのなら、自分の適性がある仕事にジョブチェンジできるといいでしょう。自分の適性をしっかり見極める上で、自己分析を深めるほか、自分をよく知る上司や先輩にアドバイスを求めたり、人事の意見を聞いたりするのもいいかもしれません。

資格取得などスキルアップする

資格取得などを通して自分を磨き、「できる・分かるようになった」という範囲を広げていくのもいいでしょう。社外の勉強会、会社が提供するリスキリングの研修などを積極的に利用するのもおすすめです。

副業を通じてスキルアップを図る

自分に向いている仕事や環境を探るために、副業に挑戦するのも一つの方法です。本業とはまったく違う仕事内容に挑戦することで、「自分にはこんな強みがあったんだ!」と気づき、自信を取り戻す機会になるかもしれません。

向いていない仕事を辞めるべきか続けるべきか悩んだら

今の仕事が向いていないのなら、自分に合う環境へ転職したほうがいいのではないか。そう考える人もいるでしょう。

ただ、早急に会社を辞める決断をするのではなく、まずは冷静に、現状を分析することが大切です。漠然とした不安や焦り、環境への不満感から「向いていない」と感じている人、周りから「向いていないのではないか」と言われてそう思うようになった人などもいて、適性があるかないかの判断がしづらいからです。

現職を続けながらできることに取り組むのも一つですし、転職活動を通じて社外の会社や仕事情報に幅広く触れ、社外の人からアドバイスを受けることで、選択肢を広げてみてもいいのではないでしょうか。

【まとめ】環境を変える方法を探り、自分の働き方を見直してみる

仕事が向いていないと思いながら続けるのは、誰にとってもストレスになります。環境を変える方法を探り、自分の働き方を見直しながら、「向いていない」状態を改善できるといいでしょう。

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粟野友樹氏組織人事コンサルティングSeguros
代表コンサルタント粟野友樹氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。

取材・文:田中瑠子 編集:馬場美由紀
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