仕事のモチベーションが上がらない…無理せず自然に高める方法を紹介

なかなか仕事のモチベーションが上がらない…と悩むビジネスパーソンは少なくありません。頑張りたいと思えば思うほど集中できず、なかなか成果が挙げられない人も多いようです。
そこで、著書『神モチベーション』が話題を集めているベストセラー作家・ビジネスコンサルタントの星渉さんに、モチベーションを自然に高める方法について伺いました。

モチベーションが上がらないビジネスパーソン
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「やる気」のコントロールが重要である理由

私は、人生はやる気が9割だと思っています。やる気を自在に操ることができれば、どんな仕事にも前向きに取り組むことができて結果も出せるでしょうし、やらなければならない雑務も一瞬で片付けられます。
しかし、どうしてもモチベーションが上がらない、やる気が出ない…ということが多いのも現実です。

そんなやる気をコントロールするためには、まず「モチベーションには3つのタイプがある」ことを知ることが肝心です。

モチベーションは、無理やり頑張って上げるものではありません。仕事に前向きに取り組んでいる一流のビジネスパーソンはやる気の3つのタイプを知って、無理なく自然に行動的に仕事に取り組んでいます。

超一流が使いこなす「ギャップモチベーション」とは?

モチベーションには大きくわけて、「ハイモチベーション」「アクションモチベーション」「ギャップモチベーション」の3つがあります。

「ハイモチベーション」とは、自分に気合いを入れることで急激にやる気を上げるというもの。一種の興奮状態に持っていくやり方であるため、常にこの状態を維持するのは難しく、すぐに息切れしてしまうのが難点です。

「アクションモチベーション」とは、とにかく行動してみることでやる気を上げるというもの。上司や先輩などから「とにかく手を動かせ」「いいからまずは行動をしろ」などと言われた経験がある人も多いと思います。「動けばやる気が出る」は科学的には正しいのですが、動けたらとっくにもう動いているという人も多いと思います。

問題は「動き出すまでのハードルが高い」という点ですよね。やる気がない状態で「手を動かせ」たり「走り出せ」たら苦労はしません。意志がとても強い人にしか扱えないモチベーションの高め方です。

「ギャップモチベーション」とは、一言で言えば「ギャップを埋めたい気持ち」を活用してやる気を自然発生させる方法です。この方法であれば、頑張らなくても無理をしなくても、ごく自然にやる気を発生させて行動できるようになります。

人間の脳は、ギャップを感じると自動的にそれを埋めようとします。つまり、個人がやる気を出す・出さないの問題ではなく、ギャップを埋めたいから脳が勝手にやる気を出し、自然に行動できるようになるのです。

このギャップモチベーションは、実は経験したことがある人が多いと思います。
例えば、「今夜はデートがあるから定時で上がろうと考えていたら、いつもより仕事が捗った」とか、「終電に乗り遅れそうになった時に、気がついたら走っていた」など。これらのアクションは、頑張ることなく脳が勝手にやる気を出した「ギャップモチベーション」のおかげという事例です。「ギャップ」を利用して、モチベーションを生み出し、持続させる技術を知っておけば、「モチベーションが上がらない」「やる気が出ない」と悩むこともグンと減るはずです。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

「ギャップモチベーション」を使ってやる気を高めるポイント

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ギャップを活かしてやる気を上げるにはいくつかの方法がありますが、代表的なのは次の2つです。いずれも誰にでも簡単にできる方法なので、ぜひ挑戦してみてください。

Point1:「自分で」目標を設定する

人は物事を自分でコントロールできていると感じると、より前向きになり、やりがいを感じるようになります。
会社から与えられた目標に従うだけでは「やらされ仕事」になってしまい、やる気も上がりにくいですが、自分なりの目標を別途設定すると、とたんに前向きになり頑張る意欲も湧きます。

営業職の人が「今月1千万円の受注」という事業目標を与えられたとします。その数字をただ追うだけでは、なかなかやる気が起きない人も多いと思いますが、例えば「1千万円の目標を軽々達成して、めったに部下を褒めない上司に褒めてもらう」との自分だけの目標を設定すると、一気に前向きに取り組めるようになるでしょう。

そして、自分の目標を設定したら、目標に日々近づけていることを認識できる仕掛けを設けるといいでしょう。
お勧めしたいのは、目標から逆算してマイルストーンを設定し、スタンプラリーの要領で達成したらチェックを入れていく方法。

●目標に近づけていると認識できる「仕掛け」の例
目標:月末に1千万円を達成して上司に褒めてもらう
□23日には70%を達成する
□15日には50%の500万円を達成する
□1日の段階で行動計画を立て、営業先のリストをまとめておく

このようにマイルストーンのチェックリストを作り、営業先リストをまとめたらチェックを入れ、行動計画を作ったらチェックを入れ、50%を達成したらチェックを入れ…としていくと、目標に近づいていることを認識できます。そうすることにより、目標を常に意識して行動し、かつ前進している実感がギャップモチベーションにつながっていきます。

Point2:個人的な成長を実感できるようにする

人は些細なことであっても、「昨日よりも成長できた」と実感できると今日も頑張る意欲が湧きます。昨日の自分とのギャップを知ることで、さらに上を目指そうと自然に思うことができ、今の自分と未来の自分とのギャップを無意識に埋めようとします。それを活用し、日々のちょっとした成長を実感できるよう工夫しましょう。

どんなことでも構いません。例えば、「この雑務を、昨日より5分早く終わらせる」とか、「会議資料のコピーを、昨日より早く取って配り切る」とか、「昨日10件掛けた営業電話を今日は12件に増やす」などで十分。無理なく達成できるような小さな目標を設定して、日々自身の成長を実感しましょう。

このやり方を覚えておくと、困難な仕事にも前向きに向き合えるようになります。
例えば、電話での新規営業は難易度が高いものです。初めはうまく話せず、すぐに切られてしまうことが多いでしょう。この場合も、少しの工夫をして臨む。を意識すれば、明日は別の方法を試して見勝!と日々成長を感じることができ、モチベーションを維持することが可能です。

1日目は電話をかけても何も話せなかったとします。それを踏まえ、「2日目は、1件だけでいいから自己紹介までできるようになろう」という目標を設定し、達成できたら「3日目は、自社サービスの話を一言でも言えるようになろう」、「4日目は最後まで話せるようにしよう」…こうして日々「昨日よりも少し上の自分」を目指すと、自分は成長できていると日々実感できるはず。これを繰り返していると、1カ月後、2カ月後には見違えるほどの営業トークに磨き上げられているはずです。

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「ギャップモチベーション体質」になるトレーニングを実践しよう

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前述のとおり、ギャップモチベーションをうまく活用すれば無理なくやる気を高めることができますが、効果を上げるためのトレーニングをしておくと、やる気を高めやすく、かつ維持しやすい体質を作ることができます。

著書『神モチベーション』ではレベル1~9までを紹介していますが、初めの3つまで行っていただければ十分効果があります。
ここではレベル1から3までを詳しくご紹介します。

Level1:体調を整える

まずは、自分の体調を整えることが重要です。「なんだそんなことか」と思うかもしれませんが、モチベーションを上げたいならば、体調管理は基本中の基本。モチベーションには体調が大きくかかわっているのです。

例えば、後輩にお願いした仕事の精度がとても低かったとき、体調がいまいちで寝不足の状態だとついイラっとして「全然ダメじゃないか!」と怒鳴ってしまうかもしれません。でも、体調が万全で心に余裕があるときであれば「今度は自分の伝え方を工夫しよう」「もっと指導してから仕事を依頼しよう」などと前向きに対応できるようになるはずです。

体の状態は、自分のやる気、パフォーマンスに直結しています。運動不足で身体がなまっているなら、体を動かしてリフレッシュする。睡眠不足なら早く寝る。身体の不調を感じているならば、マッサージや病院に行く…など体調を整えるアクションを取りましょう。

体調を整えることができた、もしくは体調は既に万全だ!という人は、レベル2に進んでください。

Level2:いつも通る道の電信柱の数を数える

決してふざけているわけではありません。電信柱の数を数えることは、立派なトレーニングです。なぜなら、これにより「いつも目にしているのに、気づいていないことに気づけるようになる」からです。

私たちは日々、多くのことを見逃しています。脳が認識している情報は、本来存在しているはずの情報の約1000分の1程度であることが科学的に分かっています。つまり、今見えていないこと、気づいていないことの中に、たくさんのチャンスが隠れているのです。

毎朝歩いている通勤経路、最寄りのスーパー、コンビニまでの道など、いつも通る道の電柱の数を数えてみた後は、道沿いにある木の数、自動販売機の数などバリエーションを増やしていくと、「こんなに多くの電柱があったんだ」「こんなところにこんな木があったんだ!」など気づきが得られ、脳が活性化します。日常生活においても視野が広がり、今まで見逃していたモノ・コトが少しずつ見えてくるようになると思います。

このような気付きが得られたら、レベル3に進みましょう。

Level3:自分に「即」できた!のフィードバックを3日間行う

このトレーニングは、自分が何か行動したら、そのすべてに対して「できた!すごい!」と自分で自分にフィードバックするというものです。

大それたことをする必要はありません。例えば、仕事で取引先にメールをしたら、送信ボタンを送った瞬間に「大事なメールを忘れずに送れた!私ってすごい!」と心の中でフィードバック。朝出社したら「遅刻せずに出社した!すごい!」、電話対応をしたら「完璧な対応だった!すごい!」という感じです。自分の一つひとつの行動に、できた!すごい!と褒めてあげる言葉を掛けましょう。

これを3日間行うと、心理学でいう「自己効力感」が高まり、自信が芽生え始めます。自分に自信が持てれば、「ギャップモチベーション」でギャップを埋める作業もより早くなり、精度が高くなります。
そして「レベル3までできた!すごい!」と自分にフィードバックしてあげてください。

会社や仕事ではなく、自分に対してモチベーションを見出そう

仕事に対してなかなかやりがい見出せず、モチベーションが上がらない場合は、会社や仕事に対してではなく、自分自身の成長に対してモチベーションを見出すのがポイントです。

会社や仕事に対してモチベーションを上げようとすると、なかなかやる気が出ないときについ「会社の体制が悪いから」「仕事内容が合わないから」など会社や仕事のせいにしてしまいがちです。しかし、自分に目を向けると、周りのせいにはできません。自分の成長のために何ができるか、工夫できることは何なのかと、前向きに考えられるようになります。

ここまでご紹介してきた「ギャップモチベーション」は、まさに自分に目を向け、自分の中でギャップを生み出し自然に行動するやる気を生み出すものです。誰でも使いこなせる超一流のギャップモチベーションをぜひうまく活用して、自分自身の毎日を充実させるものにしてください。

プロフィール

 作家・ビジネスコンサルタント星渉さん星 渉さん

作家・ビジネスコンサルタント。著書累計8冊48万部。株式会社Rising Star代表取締役。1983年仙台市生まれ。東日本大震災で被災し、生死を問われる体験を経て「自分の人生の時間はすべて好きなことに費やす」と決め、2011年に独立起業。心理療法やNLP、認知心理学、脳科学を学び、個人の起業家を対象に「心を科学的に鍛える」を中心に置いた独自のビジネス手法を構築。著書『神メンタル』『神トーーク』(ともにKADOKAWA)が25万部突破のベストセラーに。最新刊『神モチベーション』(SBクリエイティブ)も話題を集めている。

EDIT&WRITING:伊藤理子
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