在宅勤務推奨でやり取り急増!「ビジネスチャット」の基本マナー、NGマナー

仕事上のコミュニケーションを円滑にする「ビジネスチャット」。ITエンジニアの間では以前から必須のビジネスツールでしたが、最近ではエンジニア以外の職種においても普及しつつあります。

そして昨今の在宅勤務推奨により、「今まではあまり使ってなかったけれど、使う機会が急増した」という人もいるようです。しかし中には、ビジネスチャットのメリットを活かし切れていない例や、知らず知らずのうちにマナー違反を犯しているケースも。

そこで、働き方の専門家でありコミュニケーションのプロ・沢渡あまねさんに、ビジネスチャットの基本的なマナーや円滑なコミュニケーションを取るコツを教えていただきました。

タブレット端末を操作する手元

沢渡あまねさんプロフィール画像あまねキャリア工房代表 沢渡 あまねさん

業務プロセス&オフィスコミュニケーション改善士。株式会社NOKIOO 顧問。株式会社なないろのはな 取締役。
人事経験ゼロの働き方改革パートナー。日産自動車、NTTデータなどで、広報・ 情報システム部門・ITサービスマネージャーなどを経験。現在は全国の企業や自治体で働き方改革、社内コミュニケーション活性、組織活性の支援・講演・執筆・メディア出演を行う。趣味はダムめぐり。著書『仕事ごっこ』『職場の問題 地図』『マネージャーの問題地図』『業務デザインの発想法』(技術評論社)、『ドラクエに学ぶ チームマネジメント』(シーアンドアール研究所)ほか多数。

誰でも「デジタル聖徳太子」に。遠隔でも迅速なコミュニケーションが可能!

ビジネスチャットとは、ビジネスでのコミュニケーション用に作られたチャット用のツールのこと。slackやTeams、chatworksなどといったツールが導入されていて、チームやグループでの情報共有や業務連絡などに活用しているという人も多いでしょう。

臨機応変にグループを組み、複数メンバーでいつでもどこでもやり取りができるので、ちょっとした情報共有や打ち合わせ、会議などもPC上でフットワークよく行えるのが最大のメリット。在宅勤務が推奨されている期間も、対面でやり取りするのと同レベルのコミュニケーションが可能です。

同時に別々の5名など、所属会社や組織が異なる複数名とリアルタイムに併行してやりとりできるのもビジネスチャットの魅力です。とても生産性が高い。まるで「デジタル聖徳太子」!?これも、電話やメールにはないメリットです。

また、メールとは異なり即時のコミュニケーションが可能であるほか、既読がつくので相手がメッセージを読んだかどうかもわかります。履歴検索も簡単なので、必要なやり取りやファイルもすぐに探し当てることができます。

 

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結論は先に、一文は短く。ビジネスチャットの基本マナー7選

ノートパソコンを操作する手元
働き方改革や新型コロナウィルスの影響などで、昨今リモートワークが拡大していることもあり、ビジネスチャットはビジネス上なくてはならないツールになりつつありますが、中にはビジネスチャットのメリットをうまく活かし切れていない「残念な使い方」をしている例も散見されます。自分の使い方は正しいのかどうか、ぜひ以下のポイントをチェックしてみてください。

1:意見を言うときは、結論を先に書く

ビジネスチャット上で意見を言うときは、結論を初めに書くのが基本です。

スピーディーにコミュニケーションが取れ、まるで目の前にいるかのようにリズミカルに会話のキャッチボールができるのが、ビジネスチャット最大のメリット。口頭やメールだとつい理由や背景から語りがちですが、それではスムーズなやり取りが阻害されてしまいます。あなたが何を言いたいのかわからないまま、相手を待たせてしまうからです。まずは「私は賛成(反対)です」「私の意見は〇〇です」など結論を伝え、周りの反応を見ながら理由や背景を説明する…という流れがマストであると心得ましょう。

2:発言の「種別」を最初に言う

上記と関連しますが、発言の種別(質問なのか、相談なのか、共有なのか、など)を最初に伝えておくとその後の会話がスムーズに進みます。例えば「〇〇について質問があります」「△△の件でご相談があります」「××に関してプロジェクトメンバ―全員に共有事項があります」など。

ビジネスチャットにおいては、相手の時間を過剰に奪わないこと、そして相手にモヤモヤ感を与えないことが大切。対面でのやり取りとは異なり、文章を打ち込むためどうしてもタイムロスが生じるので、受け取り手はその「待たされている数秒~数十秒」の間に相手が何を伝えようとしているのか、今から自分は何を聞かれるのかとジリジリ、モヤモヤしてしまうもの。それを解消し、相手に「聞く姿勢」をもってもらうためにも、「今からこの要件について話します」と種別を示しておきましょう。

3:「お疲れ様です」や時候の挨拶などはいらない

対面やメールだと、必ずと言っていいほど冒頭に入れる「お疲れ様です」などの挨拶や、「お忙しいところ恐縮ですが」「もしよろしければ」「あいにくですが」などといったクッション言葉は、ビジネスチャットにおいては必要ありません。ビジネスチャットは簡潔に、迅速にやり取りするのが基本。まどろっこしい言葉は不要です。

ビジネスチャット初心者の中には、メールのごとく「皆さまお疲れ様です。〇〇部の鈴木です。お忙しいところ大変恐れ入りますが…」など長々と書き出す人がいますが、ビジネスチャットにおいては従来型のビジネスマナーはいったん忘れてください。

4:長文をだらだら書かない

ビジネスチャットで重要なのは、迅速なキャッチボール。どちらか一方が主張するのではなく、複数の人がテンポよく、会話のやりとりをすることが大切です。

そのため、一方的に長々と文章を打ち込むのはマナー違反。長い文章は読みづらいうえ、相手に反応の余地も与えず、時間を奪ってしまうことになるからです。たとえ言いたいことがたくさんあったとしても、1回1回は短い文章でまとめること。1、2行ずつにわけて送信し、その都度相手の反応を見るのが得策です。

5:スタンプや「いいね!」マークなどで反応を示す

相手の表情が見えないと、どんな気持ちでやり取りに臨んでいるのか、そもそも読んでくれているのかどうか、不安に思うものです。「了解です」「承知しました」などと短い文章で反応を打ち込むのもいいですが、コメントに「いいね!」マークをつけるだけでも伝わります。

もちろん、ビジネスチャット用のスタンプや顔文字も、迅速なリアクションには有効です。一部ベテラン層を中心に「仕事のやり取りなのにスタンプだなんて!」と目くじらを立てる人もいるようですが、ビジネスチャットにおいては時代遅れな発想です。

6:多少の誤字脱字はOKとする

ビジネスチャットにおいては「伝えたい内容が迅速に伝わる」ことが第一であり、多少の誤字脱字、「てにをは」の間違いにはこだわりすぎなくてもOKです。メールやビジネス文書のように一字一句にこだわっていたら、コミュニケーションが成り立ちません。

逆に、くれぐれも相手の誤字脱字や言い回しのミスを指摘しすぎたり、責めたりしないこと。相手が言いたいことがわかればOKである、と大きな気持ちで臨みましょう。なお、コメント内容は編集できるので、送信後に誤字などがどうしても気になる場合は後から修正しましょう。

7:雑談は必要だが、「脱線」はほどほどに

グループチャットの場合、誰かのちょっとした一言がきっかけで話が脱線してしまうことが多々あります。適度な雑談は場を和ませるのでビジネスチャットにおいてもお勧めですが、相手の顔が見えないだけに切り上げるタイミングがつかめず、だらだらと雑談が続いて本筋から大きく離れてしまう恐れも。

参加者一人ひとりが仕事中であるという自覚を忘れずに、「雑談は短めに、脱線したら早めに軌道修正」を心がけることが大切です。

 

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慣れたらこんな使い方も!ビジネスチャットの「機能」を活用しよう

ノートパソコンとノート
ビジネスチャットでのやり取りに慣れたら、いろいろな機能を活用してみましょう。特に、以下の機能はリモートで業務を進めるうえで非常に便利な機能です。

全国的な在宅勤務の推奨を背景に、今まで在宅勤務に消極的だった企業もリモートワークに本腰を入れることが予想されます。これを機にビジネスチャットの機能を使いこなし、業務効率UPを図りましょう。

「ステータスの設定」を活用する

主要なビジネスチャットにおいては、自身の在籍状況を示せるほか、一行コメントを書ける欄が設置されています。多くは自身のユーザーアイコンをクリックすると在籍状況を選択できたり、コメントを書いたりすることができます。

私が会社員だった時は、この「ステータスメッセージ」をフル活用していました。例えば「〇月〇日は有給休暇をいただきます」「今日は17時に早上がりします」「本日は終日会議。急用はチャットで話しかけて」など。チームメンバーなど業務上近しい人に知っておいてほしい情報を入れておけば、無駄なやり取りがなくなり、よりスムーズなコミュニケーションが可能になります。

会話をしながらファイルを共有する

ファイルを見ながらビジネスチャットで会話したい場合は、ビジネスチャット上でファイルを送り、共有することが可能です。

メールでファイルを送る場合、互いのサーバー状況により大容量ファイルが弾かれてしまったり、セキュリティポリシーの違いから迷惑フォルダに送られてしまったりすることがありますが、ビジネスチャットでは比較的大容量のファイルも送りやすく、チャット画面で開けるので同じ画面を見ながら会話をすることも可能。遠隔であっても情報共有や目線合わせがしやすいのでお勧めです。

ビデオ通話機能を利用する

昨今の事情で在宅勤務を余儀なくされたものの、できれば対面で打ち合わせや会議を行いたい。そんなときはビジネスチャットのビデオ通話機能を使えば、遠隔でも複数人によるビデオ会議が可能です。

ビジネスチャットでも十分に意思疎通は測れますが、ビデオ通話であれば相手の表情を測り、全体の空気感を読みながら、会話を進めることが可能になります。異なる拠点にいる者同士や、海外や地方にいて普段なかなか会うことのできない人とも、顔を突き合わせてやり取りできるのもメリット。ビデオ通話しながらファイルの表示、テキストのやり取りも可能なので、より円滑なコミュニケーションが実現できます。

EDIT&WRITING:伊藤理子

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