「資格の大原」でおなじみ、大原学園で講師を務めた経験をお持ちで、『30代で人生を逆転させる1日30分勉強法』著者でもある石川和男さんに、失敗しない社会人の勉強法、特に今回は「ついやってしまいがちな“無謀な勉強”」について教えていただきます。
皆さんこんにちは、石川です。
今回は、「この勉強法は、やってはいけない~無謀な勉強編~」ということで、頭ではNGだとわかっていても、ついついやってしまいがちな、いけない勉強の仕方について3つほど紹介しようと思います。せっかく努力しても、せっかく資格試験に合格するだけのポテンシャルがあったとしても…この3つをやってしまっては合格は遠のいてしまいます。気を付けていきましょう。
1.無計画で勉強する
試験には受験日というタイムリミットがあります。どれだけ勉強していても、受験日までに合格点に達していなければ、受かりません。
試験勉強は、テキストをじっくり読んで理解をする時期や問題集を中心にアウトプットをする時期、模擬試験で客観的に自分の実力を見つめ直して修正する時期など、日程との戦いでもあるのです。
もう30年ほど前の話になります。私の本命大学の受験科目は、国語と英語、それに日本史でした。日本史は、書店にある参考書や問題集を大量購入して勉強しました。
「この参考書は誰かが持っていたな」「この問題集から出題されたらどうしよう」
そんなことを考えながら大量に購入した参考書に問題集。それらを丁寧に読みこみ、丁寧に頭から問題を解いていきました。
結果、受験日までに終わったのは、旧石器時代~江戸時代まで。試験に出題されたのは、まさかの明治時代…。先に終わった国語、英語が合格点に達していただけに、余計に頭が真っ白になりました。多分100点満点中10点ぐらいだったと思います。
無計画に勉強していたので最後までやり終わらず、しかも、勉強していないところからの出題。当然、その大学は不合格でした。
計画を立てない試験勉強は、真っ暗な闇の中で勉強しているようなものです。いつ終わるのかどこまで行けばゴールなのかも分かりません。
計画を立てる重要性については、以前に掲載した記事「資格を取る!と決めたら、こう計画せよー「資格の大原」講師が熱弁」でも述べていますので、参考にしてみてください。
2.ぶっつけ本番で挑む
突然ですが、もしもあなたが高校の野球部の部員だったとしたら…。
朝は、準備運動にランニング、基礎体力をつけ、午後はキャッチボール、バッティングマシーンやトスバッティング。練習漬けの毎日です。
準備万端!いざ甲子園を目指しての地区大会。結果は、私が考えるにおそらく「残念ながら初戦敗退」ということになるでしょう。他校にも負けない練習量なのに、なぜ残念な結果に終わってしまうのでしょうか?
それは練習試合という実践を積んでこなかったからです。連係プレーも本番の緊張感も味わえず、個々の実力はあっても力を出し切れずに終わるのです。
資格試験でも同じです。
普段はテキストを読んで理解する。個別の問題を解く。単語や用語の暗記をする。基本的な学習は出来ている。日々努力もしています。70点取れば合格する試験で95点分の知識はインプットされています。
ただし模擬試験も受けていない。場慣れしていないので極度の緊張。普段は誰もいない自宅で勉強しているのに100人もいる大会場。一斉に問題用紙をめくる、咳込む、そして鼻をすする音。思ったより小さな机にA3の問題用紙。試験には独特の雰囲気があります。その雰囲気に慣れるために行うのが、模擬試験なのです。模擬試験を受けて場慣れをしておかないと、合格点に達しているだけの知識を備えていても、本試験では力を出しきれず残念な結果に終わってしまう可能性が高いのです。
3.模擬試験を見直さない
せっかく模擬試験を受けたのに、見直しや解き直しを疎かにする方がいます。
模擬試験は、各専門学校が長年の経験と独自のデータにより、今回の本試験で出題される問題を予想して作っているのです。そんな、お宝問題を解いたまま放置してはいけません。仮に模擬試験の得点が50点だったとします。見直しをしないまま、本試験で同じ問題が出題されたらどうでしょうか?同じ問題が出題されても、見直していないため模擬試験と同じ50点しか取れません。問題も忘れ50点未満かもしれません。
確かに2時間かけて受けた模擬試験を、もう一度行うのは骨が折れます。点数が低いほど、分からない割合が多いのだから気も滅入ります。しかしここで、もうひと踏ん張り。見直して下さい。
注意してほしいのは、2時間かけて解き直さなくても良いということ。1問解いたら解答を見て解説を見る。分からなければ丸暗記して進む。模擬試験の時期は、本試験に近づいています。今まで勉強してきて分からなかったのだから今見直しても理解できない可能性が高い。とにかく暗記しながら進んで下さい。意外と頭に残っていた疑問が、あるとき急に閃いて分かるときがあります。とにかく限られた時間の中で試験に受かる勉強をするためには、分からないところは暗記して進むしかないのです。
模擬試験の見直しは、模擬試験を受けるのと同じぐらい重要です。模擬試験を受けたことのある方なら分かると思いますが、その時間はもっとも集中する時間です。普段は長く感じる2時間も、あっと言う間に過ぎるほど集中しています。その集中して解いた時間を無駄にしないように、集中しても解けなかった問題は解けるように見直して下さい。模擬試験は各専門学校が総力を挙げて本試験に出題されると予想した問題なのですから。
●<この「勉強法」は、やってはいけない>シリーズ あわせてこちらもご覧ください。
【プロフィール】石川和男(いしかわ・かずお)
建設会社総務部長、大学、専門学校講師、セミナー講師、税理士と、5つの仕事を掛け持ちするスーパーサラリーマン。大学卒業後、建設会社に入社。管理職就任時には、部下に仕事を任せられない、優先順位がつけられない、スケジュール管理ができない、ダメ上司。一念発起し、ビジネス書を年100冊読み、月1回セミナーを受講。良いコンテンツを取り入れ実践することで、リーダー論を確立し、同時に残業ゼロも実現。建設会社ではプレイングマネージャー、専門学校では年下の上司の下で働き、税理士業務では多くの経営者と仕事をし、セミナーでは「時間管理」や「リーダーシップ力」の講師をすることで、仕事が速いリーダーの研究を日々続けている。
『仕事が「速いリーダー」と「遅いリーダー」の習慣』(明日香出版社)は16刷中ほか、勉強法、時間術など3冊のビジネス書を出版している。
石川和男 公式サイト http://ishikawa-kazuo.com