「頼れる人」という印象を与えるには? すぐ実践できる7つのワザ

「営業からの提案を受け入れ、その商品・サービスを発注する」
「職場のメンバーからプロジェクトへの参加を頼まれ、受諾する」

こんな場面で、人はその商品やプロジェクト内容だけを検討するのではなく、相手の「人物」も見ています。「人物」の魅力は「誠実さ」「熱意」など人それぞれで、何が相手に響くかはわかりません。ただし、ビジネスパートナーとして人物を見る場合の多くは、「頼れる人物かどうか」が重要な評価軸になるのではないでしょうか。

さて、あなたは人から「頼りがいのある人」だと思われていますか?

「頼りがいがあるか」と問われると、「弱気な性格だし、頼りがいはないかも…」など、自信のない方もいるかもしれません。

しかし、心理学者の内藤誼人氏によると「人間は誰でも大なり小なり気が弱い」そうです。気が強く図太い神経を持っているように見える人も、実は気弱な自分を見せないように上手に装っているだけだ、と。つまり、本心では不安を覚えていても、自分をどう見せるかによって「頼りがいがありそうな人」という印象を与えることができるのです。

そこで、「力強そうな人」「頼れそうな人」と印象づけるための振る舞い方のコツを、内藤氏に教えていただきました。

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相手から、なるべく視線を外さない

「目は心の窓」と言われるように、人は相手の「目」の印象から、無意識のうちにその人の「人となり」や「感情」を判断していることが少なくありません。つまり、自分で意識的に視線をコントロールすることで、相手からの評価を変えることが可能なのです。特に一番大切なのは、相手の目をじっと見つめること。

米国キングス大学のチャールズ・ブルックスのグループが、心理学実験として、ある登場人物が60秒間インタビューを受けている場面のビデオを作成しました。作成したのは3パターン。インタビューを受けている人物が相手の目を見つめる時間を、60秒中50秒(視線を外さない)、30秒(ほどほどに視線を合わせる)、5秒だけ(ほとんど視線を合わせない)と変えて、3つのビデオを男女60名ずつに見せたのです。そして、その人物に対してどれくらい「強さ」を感じるか得点をつけてもらうと、相手の目を見つめる時間が長くなるほど、その人に「強さ」を感じるという結果が出ました。

つまり、自分を「力強い人物」と印象づけたいなら、相手から視線をそらさないことです。「それでもやはり、人の目を見て話すのは苦手だ」という人は、まばたきをゆっくりすればOK。目を閉じている時間を長めにとれば、視線を外すのと似た効果があり、ドキドキせずに相手の目を見続けられます。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

「目力がある人」になるコツは「目を細める」

「目力がある人」、いますよね。目力がある人には、有無を言わせない迫力が漂っています。この目力、実はちょっとしたコツで誰でも手に入れられます。それは「目を細めること」です。光がまぶしいときのように目を細めるだけで、迫力のある目力が出せるのです。

米国コルゲート大学のキャロリン・キーティングは、男女12名ずつの顔写真を用いて、すべての人物の目を機械的に15%ずつ大きくしたもの、15%ずつ小さくしたものを多くの人に見せてみました。すると、目を小さく修正した写真に対しては「パワフルさ」を感じる人が多かったのです。逆に、目を大きく修正した写真に対しては「温かさ」を感じる人が多く見られました。

つまり、親しみやすい人物と見られたいなら、目を大きく見開いたほうがいいのですが、力強さをアピールしたいなら「目を細める」というやり方が効果的なのです。

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アゴは「20度上向き」をキープ

「首」に力がなくぐにゃりと垂れ下がり、自然にうつむきがちになっている姿は、気弱なイメージを持たれます。スポーツの試合中に、監督が「アゴを落とすな!」「上を向け!」と声をかけることがあります。理由は、アゴが落ちると気持ちのほうが先に負けてしまうから。だから、不利な状況でもアゴだけは下げないように、と指導するわけです。

カナダにあるマギル大学のアラン・ミニョーは、アゴの向きの角度をさまざまに変えた写真を用意し、それぞれの角度の顔がどのように見えるかを調べました。その結果、アゴを「20度」ほど上に向かせたとき、もっとも強そうなイメージを与えるという結果にたどり着きました。ただし、別の研究者による同様の実験では「40度上向き」の顔が、「自信がある」「明るい」「強い」という印象を持たれることを確認しています。

人に会うとき、人に見られるときは「20度~40度、アゴを上向きにキープ」を意識し、首に力を込めてみてください。

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明石家さんまさんのような「身振り」を

人と話すときは、なるべく大げさなアクションをすることをお勧めします。物おじせず、堂々とした人間だと思ってもらえるからです。

ハーバード大学のドナ・カーニーは、調査に参加した人々に「会社で地位が高い人」をイメージしてもらい、彼らがどんな振る舞いをするのかを考えてもらいました。すると、地位が高い人は「大きな身振りをする」という答えが多く見られたといいます。大きな身振りを交えて話す人は、他の人よりも存在感があります。そうした自己アピールが出世につながってきたのかもしれません。

また、ある調査によると、手を動かさないで話をすると、同じ話をしていても無味乾燥でつまらなく聞こえるそうです。相手を退屈させてしまうのです。

明石家さんまさんがTVで話している姿を思い出してみてください。さんまさんは、人と話すとき大げさに身体をのけぞらせて驚いてみせたり、拍手をしながら喜んでみせたりと、大きな動きをしています。そうしたパフォーマンスが人を惹きつけ、好感度アップに役立っているのは間違いありません。

皆さんも、話すときは身振り手振りを意識的につけてみてはいかがでしょうか。
気が弱い人や緊張しやすい人は、プレゼンをする際に手が震えてしまうこともあるようです。じっとしているから震えるのであって、大きく動かしてしまえば、震えも止まるはずです。

足を上げ、颯爽と歩く

靴の裏をずりずりと地面にこすりつけるような歩き方をしている人は「負のオーラ」を感じさせるものです。

米国ブランダイス大学のジョアン・モンテパーレは、人が歩いているシルエットを48人の人に見せて印象評価をしてもらいました。その結果、足を振り上げるようにして歩く人は「力強さ」「パワー」「幸福感」などの印象を与えることが明らかになりました。

取引先などを訪問した場合、受付から応接室に案内されるとき、帰りにエレベーターまで送られるときなど、「歩く姿」は相手の目にしっかり入っています。堂々と、颯爽と歩くようにしてみましょう。

「え~っと」「あの~」「その~」は禁句

「え~、お手元の資料のですね、あの~、2ページ目をご覧ください。え~っと、この上段にですね、図表1がございまして、あの~、これが昨年度の売上を示しております」

商談相手がこんなふうに話をしたら、あなたはどう感じますか?

このように、「え~っと」「あの~ですね」といったつなぎ文句を交えて話すことがクセになっている人をよく見かけます。こういう人は気弱そうに見えるので要注意です。
パワフルさを感じさせる人は、話をするときに無意味なつなぎ文句を使いません。

米国デイトン大学のジョン・スパークスの実験でも、無意味なつなぎ文句を交えて話す人は弱々しいイメージを与え、相手に話を聞いてもらえなくなるという結果が出ています。

こうしたつなぎ文句は無意識のうちに出てしまっています。一度、他の人との会話を録音して、自分の話し方をチェックしてみてください。「えっ、こんなに!?」と驚くほど、つなぎ文句を口にしていることに気付くかもしれません。意識的に抑えるようにしましょう。

なるべく低い声で話す

イギリスのサッチャー元首相は、かん高い声を矯正するためのボイストレーニングを受けていたそうです。キンキン高く響く声は、聞き触りがよくありません。声を出すときは、なるべく低く、落ち着いた重低音の声を出すようにしましょう。

南メソジスト大学のダイアン・ベリーは、子どもっぽい高い声と大人びた低い声を録音したものを43名の人に聞かせて印象をたずねたところ、低い声のほうが「パワフルで有能」という評価を得たそうです。

もちろん、高い声がすべてダメ、というわけではありません。「温かさ」「正直」という次元に関しては、高い声の持ち主のほうがよい評価を受けているからです。つまり、相手と仲良くなり、距離を縮めたいようなときは高い声、相手を説得するような場面では低い声、というように使い分けるのが得策といえそうです。

―― 以上、「頼りなさそう」「頼りがいがありそう」というイメージは、ほんのちょとした仕草やふるまい方でがらりと変わることもあります。常に「頼もしい」モードをキープするのは難しいかもしれませんが、ここぞという場面で意識してみてはいかがでしょうか。

内藤誼人氏/心理学者

心理学者、立正大学客員教授、アンギルド代表。慶應義塾大学社会学研究科博士課程を修了後、有限会社アンギルドを創業。ヒューマンリレーションズ関連の書籍執筆を手がける。『やさしいあなたが打たれ強くなる心理術 ビビらない技法』(大和書房)『初対面で相手の心を開く!46のルール』(PHP研究所)『自分の中から「めんどくさい」心に出ていってもらう本 』(青春新書プレイブックス)ほか著書多数。

EDIT&WRITING:青木典子

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