ビジネスでの電話対応は、会社を代表して対応することになる責任重大な業務です。間違った言葉遣いのせいで顧客に失望されてしまうことや、ちょっとした言い回しで取引先を意図せず怒らせてしまうこともあり得ます。また、自分が起こしたわけではない、自社の他部署のトラブルに巻き込まれてしまうこともあるでしょう。そんな失敗やトラブルの渦中でも、パニックにならず冷静に対処できるよう、普段から様々な状況を想定しておきましょう。今回は5パターンのシーンを想像しながら、電話対応とマナーについてご紹介します。
取り次ぎ中に電話を切っちゃった!
外部から他の社員への電話に出た際、その電話を取り次ぐことになります。ここで重要なのは、取り次ぐ前にきちんと相手の社名と名前を聞いておくことです。これは、正確に自社の人に誰からの電話なのか伝えられるようにするという意味ももちろんありますが、取り次ぎ中に万が一電話が切れてしまった場合の対応策でもあるのです。
本人に繋げられずどこかで電話が切れてしまった場合、名前を聞いていないと致命的です。誰からか分からない状態では手を打つことができず、相手からすれば一方的に電話を切られ、以来何も音沙汰がなく失礼だ、という印象を持たれてしまいかねません。誰からかかってきたのかさえ分かれば、自社の担当者に速やかに伝えて当方から先方へ連絡してもらうことで解決します。たとえ担当者が相手の電話番号を知らなかったとしても、会社名さえ把握していれば代表番号にかければ良いので問題ありません。電話を受けたら、まずは相手の社名と名前を把握するよう心掛けましょう。
急ぎの電話なのに担当者がいない!
急ぎの電話がかかってきたのに、担当者が不在にしていてどうしよう、というのはよくあることです。特に営業職の社員は外出していることがほとんどなので、つかまえるには一苦労でしょう。ただ、相手にとっては一大事です。すぐに伝えなければ相手の不利益に繋がる可能性もあります。自社が直接関係のないことでも、取引先や顧客が困っていれば最大限対応することが自社の信頼に繋がります。ここであまりに非協力的な態度で対応してしまうと、最悪の場合、自社との取引に影響することさえ考えられます。
この場合は、担当者が不在にしている旨を正直に伝え、携帯電話にかけ続ける、メールを打つ、担当者の部署に電話し同僚から何とか連絡をつけてもらう、それでもだめなら担当者の部署から対応できそうな人を見つけて対応してもらうなど、手はいくらでもあります。それでも難しい場合も時にはありますが、ここでは最大限の努力を見せることが重要でしょう。
間違い電話がかかってきた!
間違い電話ならば、「違いますよ」と言って切る、というシンプルな対応方法を取ることはできますが、よく考えてみてください。もしこの間違い電話の相手が、実は取引先の社長からの電話だったらどうでしょう。もっと丁寧に対応すべきだったと後悔するかもしれません。電話は相手の顔が見えない難しいツールです。間違い電話であっても、何かがあってからでは遅い場合もあるのです。単純な間違い電話に必要以上に親切にする必要はありませんが、あまり粗野にせず真摯に対応することが望ましいでしょう。後々その間違い電話の主が自社のファンになってくれるチャンスかもしれないのです。
営業の電話がかかってきた!
電話を受けて、それが飛び込み営業などの電話であった場合、特に自分が業務に追われて忙しい時であれば、対応するのは本当に億劫なものです。だからといって粗野に扱っては、前述の間違い電話のように相手に悪印象を与えかねません。全く関わったことのない、そしてこれからも関わることがなさそうな相手だったとしても、自社の評判を自ら落とすべきではありません。それなりに丁寧な対応が求められます。また、少しでも時間があるのであれば、少し耳を傾けてみると何か自分のビジネスに活用できる情報が得られる可能性もありますよ。
名前が聞き取れない!
まずは相手の社名と名前を把握したいのに、名前が聞き取れないと困ります。電波が原因なのか、通話環境が悪いのか、何度名前を尋ねても雑音に邪魔されて相手の名前が聞こえないと焦ってしまいますね。この場合は、自分から積極的に復唱しましょう。相手にも通話状況が悪いことが伝わりますし、復唱の内容に誤りがあれば訂正してもらえます。
名前が分からないと何も動くことができませんので、あやふやにせず、そして諦めずに、根気良く工夫しながら聞いていきましょう。それが後々自分を守る保険になります。相手に不快な思いをさせてはいけないので難しいところではありますが、普段から先輩の対応を聞いておくなどして幾つか手段を用意しておくと良いでしょう。