一体何を考えてるんだ・・・。アナリティカルタイプとの上手なコミュニケーション法

ソーシャルスタイル診断_4タイプ「アナリティカル」イメージ画像

コミュニケーション力を上げたいと思ったら、まずは自分と相手を知ることから。
以前の記事では、そのための便利な4タイプ診断法、「ソーシャルスタイル理論」をご紹介しました。

ソーシャルスタイル理論とは、外から見えるその人の態度を観察して、4つのタイプに分類したもの。自己主張の強弱と、感情表出の強弱の縦横2軸で分類します。感情というと「喜怒哀楽」と思いがちですが、「怒」の感情は、自己主張として考えた方がしっくり来ます。自分のタイプを知りたい方は、前回の記事にあるチェックシートでご確認くださいね。

「各タイプ別対応法」を4回に分けてお伝えする本連載、第4回目は「アナリティカルタイプ」をご紹介します。

コツコツ職人・研究者的ポジションに多いこのタイプ、基本的対応とあなたのタイプ別注意点をしっかり理解して、対応力を上げて行きましょう。

アナリティカルタイプはじっくり思考タイプ。事前予告を大事にしよう

アナリティカルタイプの見分け方~

  • 口調は遅い。口数も少ない
  • 「何を考えているのかわからない」と誤解されがち

アナリティカルタイプは主張もしない、感情も出さない、「一体アイツは何を考えてるんだ?」と思われることもあるタイプです。黙々と作業を進める職人、研究者、システムエンジニアやプログラマー、事務処理担当など、毎日コツコツ正確性を求められる職業の人に多いと言えます。また、技術や知識を求められる業界の営業職の方の中にも、結構な割合でいます。

話さないからと言って、もちろん意見がないわけではありません。が、熟考し過ぎて、人の対話のペースと合わず、発言の機会を逃してしまう人も結構います。

そんなアナリティカルとの対話のコツは「事前予告」。意見を聞きたい、相談したいときは「次の会議の時、●●の件で意見を聞かせて」と前もって伝えておきましょう。できるだけ正確な発言をしたいアナリティカルタイプに、突然話しかけても意見は引き出せません。相手の思考時間をきちんと確保する【ゆったり対応】を心がけましょう。

「えー、そんなのいちいち面倒くさいし、急に聞きたくなったらどうするの?」と思うあなたにオススメなのは、少しで良いので時間を置くこと。「後でアイデア聞かせてよ」と「今すぐの返事じゃなくてOK」ということを伝えましょう。もしくはチャットやメールなど、相手が考える時間を持てるコミュニケーションツールを使うのもおススメです。

アナリティカルタイプへの効果的な対応

  • 話をするときは、数字などの客観的データを活用して具体的かつ正確に
  • 意見を聞きたいときは事前に質問を伝え、考える時聞をあらかじめ設ける

アナリティカルの意見を聞きたければ、事前に質問を伝えておいて、相手が考える時間をきちんと取ることが重要です。その場の目的や聞かれる事が分かっていれば、きちんと準備して参加します。

また、詳細にこだわるアナリティカルの話は長く、ダラダラ続きがち。漫然と聞いていると、よく分からなくなってきますから、「それはこういうこと?」「今話してくれたのは、●●の問題点だと思っていい?」と確認しながら聞きましょう。

アナリティカルタイプへの声かけ例

「この計画、今こういう状態なんだけど、●● (具体的な数字など) にするためにいい方法を考えてくれないかな。来週木曜の会議で聞かせてね」
「今月の営業目標、どんな状況? 顧客分析の結果を後で教えてください」

質問は出来るだけ具体的にしておくことがポイントです。何を聞かれているのか、どんな意見を求められているのか、そしてその理由は?といった点が理解できないと意見を言いたがりません。

アナリティカルタイプを褒めるなら……

「○○さんの△△の知識、仕事で××するときに役に立ってありがたいです」(専門的な知織に対し、どこがすごいのか具体的に褒める)

アナリティカルの専門性について、具体的・客観的に褒めると効果的です。積み上げて来た成果や正確であることを、きちんと認めて伝えましょう。「スゴいね」「いいね」な曖昧言葉は、何を褒められているのか理解できないので、全く心に響きません。

自分の専門性について誇りを持っている場合が多いので、特にアナリティカルが詳しい領域に関して、うんちくを語らせてあげるのも効果的です。専門領域にはプライドを持っていますから、相手の知識や技術に敬意を表して聞きましょう。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

あなたのタイプ別ワンポイント

アナリティカルタイプへの一般的対応を心得たら、今度は自分のタイプに応じた注意点を押さえておきましょう。

ドライビングなあなたは……

「ドライビング」から「アナリティカル」へのコミュニケーションのコツ

状況説明から始める話の長くなりがちなアナリティカルに、せっかちなドライビングはイライラしがちです。「●●についての結論を、A4書類1枚程度にまとめて次の会議で報告して」など、文書を使って対話するのもおススメです。

エクスプレッシブなあなたは……

「エクスプレッシブ」から「アナリティカル」へのコミュニケーションのコツ

沈黙を嫌い即答を求めがちなエクスプレッシブは、アナリティカルの長考癖が苦手です。だからこそ、ミーティングや打合せ前に、「今日はこの内容で打合せします」と事前予告を心がけましょう。アナリティカルはきちんと事前準備をして臨みますから、対話のスピードアップが期待できます。

エミアブルなあなたは……

「エミアブル」から「アナリティカル」へのコミュニケーションのコツ

意見も言わず、表情から気持ちの読み取れないアナリティカルは、エミアブルを不安にさせてしまいがちですが、そこに気を配っても、残念ながらあまり意味はありません。たとえ返事が遅くても、あまりニコニコしていなくても、それが普通だと理解しましょう。

アナリティカルなあなたは……

「アナリティカル」から「アナリティカル」へのコミュニケーションのコツ

淡々とやるべき仕事をこなすアナリティカル同士は、ルーティンワークを進める上での良きパートナー。しかしながら、新しいことを生み出したり、他部門と協働したりなど、クリエイティブな仕事は苦手です。他のタイプのメンバーを上手に巻き込み、新しい空気を常に入れ替える必要性も頭においておきましょう。

アナリティカルタイプへの対応法、いかがでしたか?ここまで全4回でタイプ別の対応法をお伝えしてきました。ソーシャルスタイル理論を活用する上で大事なのは、相手をこうだと決めつけるのではなく、相手に合わせて自分の態度を変えるヒントにすることです。

苦手な相手も味方に変えるタイプ別対応、是非やってみてくださいね。

著者:谷 益美さん
1974年香川県生まれ。株式会社ONDO代表取締役。専門はビジネスコーチング及びファシリテーション。企業、大学、官公庁などで年間約300本の対話を通じた実践的学びの場作りを行う。2015年&2019年、優れた講義を実施する教員に贈られる「早稲田大学Teaching Award」を受賞。雑誌やウェブサイトへの記事寄稿、取材依頼等多数。

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