親の介護を見据えて今から準備しておくこと。仕事と介護を両立する方法

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 少子高齢化が進む日本では、毎年多くの人が、家族などの介護が原因で仕事を辞める「介護離職」をしています。「うちの親はまだ若いから大丈夫」「介護などずっと先のことだから、いずれゆっくり考えればいい」などと考えていませんか?

 元気だった親が突然倒れたり、大きな病気になったりして、ある日いきなり介護を余儀なくされる可能性もあります。親が元気なうちに、介護のことを見据えて準備をしておきましょう。介護と仕事を両立させ、介護離職を避けるためのさまざまな方法について紹介します。

介護離職の現状とは?

 超高齢化社会の進展に伴い、介護を必要とする高齢者の数は年々増加していて、その数は約586万人(2014年4月現在)と言われています。また、介護を理由に会社を辞める介護離職者は、年間10万人に上るとされます。

 介護離職者の数が増えると、労働人口が減少し、日本経済に大きなマイナスの影響をもたらします。そこで、政府は「介護離職ゼロ」の目標を掲げ、在宅サービスの充実や特別養護老人ホームの増設など、介護離職者を減らす方針を打ち出しています。

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親が突然倒れる前にやっておくべきこと

 今は健康そのものに見える親でも、急な病気や予期せぬ事故など、いつ何が起きるかわかりません。万が一のときのために、親が元気な今のうちから準備しておくことが大切です。

●親とコミュニケーションを積極的に取っておく

 忙しい中でも、親とコミュニケーションを取る機会を持つようにしましょう。直接会わなくても、電話やメールでも構いません。その中で、さりげなく介護についての考え方を聞いておくことが大切です。施設に入りたいのか、在宅介護がいいのかなど、本人の希望があるはずです。同時に、加入している保険のことや、重要な書類がどこに保管されているか、親が希望する介護を行えるだけの収支や資産があるかといったことも知っておく必要があります。

 なかなか聞きにくいことですが、親が倒れて意識がなくなったり、意思疎通が取りにくくなった後では遅いのです。事前にしっかり確認しましょう。

●誰が面倒を見るのか、家族内で役割分担を決めておく

 介護の役割分担について、家族で話し合っておきましょう。介護を行う人が特定の誰かに集中してしまうと、共倒れになりかねません。大事なのは、「誰と誰が、どこまで面倒を見るのか」を決めて、協力できる体制を整えておくことです。

●周囲の人や地元自治体で頼れるところを知っておく

 親に何かあったときにすぐ動けるようにするため、親の兄弟や親戚、職場の連絡先などを把握しておきましょう。さらに、親が暮らす地元の自治体に、どのような支援サービスがあるかを調べておくと、急に介護が必要になったときも慌てずに済みます。
なかには、高齢者向けの緊急通報システム(家庭用ナースコール)を安く利用できたり、家事などを手伝ってくれるサービスのある自治体もあります。

●介護サービスが得意な病院をかかりつけにしておく

 親が若いうちは、普段通っている「かかりつけ医」で大丈夫です。しかし、親が高齢になってきたら、まだ元気なうちに介護サービスが充実している病院を紹介して、新たに「かかりつけ医」にしておくことをオススメします。

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介護離職をできるだけ避けるために

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 介護には、何かとお金がかかります。介護のために仕事を辞めてしまうと、収入が途絶えるため、結果的に介護に必要なお金が足りなくなったり、自分自身が生活に困るおそれもあります。これでは何のために会社を辞めたのかわかりません。仕事と介護を両立させるためには、どうすればいいのでしょうか?

●介護休業制度について会社に確認する

 会社勤めをしている人の場合、「介護休業制度」が育児・介護休業法という法律で定められています。ただし、これは「自分が介護をする期間」ではなく、「今後、仕事と介護を両立させるために体制を整える期間」という意味です。そのため、休業期間は介護が必要な家族1人につき93日と短くなっています。その上、介護休業中は給料を支払う義務がないため、原則無給です。もちろん、なかには給料を一部払ってくれる会社もあります。就業規則を確認しましょう。

●介護休暇や勤務時間の短縮を会社に相談する

 介護を必要とする人が家族にいる場合、介護休暇を取得することができます。対象家族が1人の場合は年5日、2人の場合は年10日です。

 また、会社側は介護を行う人のために、勤務時間を短縮したり、フレックスタイム制度や時差出勤制度などを講じるように決められています。さらに、本人が希望した場合、午後10時~午前5時までの深夜に働かせてはいけないという決まりもあります。「介護と両立できないから仕事を辞める」と考える前に、まずは上司や総務に相談してみましょう。

●介護休業給付金を申請する

 介護休業中の給料は原則無給でも、雇用保険に加入している場合は、申請すれば「介護休業給付金」を受け取ることができます。支給額は基本的に、「休業開始時賃金日額×支給日数×40%」です。ただし、休業期間中に会社から給料が支給される場合は、減額になったり、支給されないことがあります。

●介護保険のサービスや民間サービスを利用する

 40歳以上のすべての人は公的介護保険に加入し、介護保険料を支払います。その分、介護が必要になったときには市区町村に申請を行い、要介護者であると認定されれば、少ない自己負担でデイサービスなどを利用することができます。親が要介護者になったときは、家族が申請を行います。

 また、お金はかかりますが、民間サービスを利用することもオススメです。例えば、飼い犬の散歩など、介護保険ではカバーしきれないサービスを行ってくれます。

仕事と介護の両立には事前の準備がカギ

 「介護鬱」という言葉がありますが、介護にはお金と労力がかかります。親の介護が必要になったときに会社を辞めてしまうと、貯金額に余裕のある人以外、すぐ資金面で行き詰まってしまうでしょう。それを避けるためには、親が元気なうちに介護をどうするかきちんと家族で話し合って準備をしておくことが大切です。また、法律で定められている制度はすべて活用し、仕事と介護を両立できる方法を模索しましょう。

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