きゃりーぱみゅぱみゅ・剛力彩芽と同世代!新入社員のマネジメント2015

4月も半ば。

そろそろ新入社員たちが研修を終え、期待と不安を抱えながら各部署にやってくるころ。

そんな新人たちにいろいろと教えていくのは我々先輩社員。せっかく希望を胸に配属されて来るのに、彼ら・彼女らについて「まるで知らない」のではかわいそう。「今どきの若者」とくくるのではなく、少し彼ら・彼女らについて勉強しましょう!

ということで、今回は今年の新入社員が過ごしてきた時代背景、特徴を調べてみました。

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今年、4年制大学を卒業して入社した社員の大半は、1992年4月から1993年3月生まれの若者たち。

一体彼ら・彼女らはどんな特徴を持っている世代なのでしょうか?!

■「悲劇の1992年生まれ」荒波に揉まれ続けた世代

突然ですが、「悲劇の1992年生まれ」という言葉をご存じでしょうか?

数年前にテレビやインターネットで言われていたこの言葉。まさに1992年生まれの彼ら・彼女らは人生の節目に何かと悪天候や大きな出来事に直面し続けてきた世代なのです…!

●バブル崩壊直後の1992年に誕生…そこから「失われた10年」と呼ばれる平成不況が始まる…。

●物心がついてきた5歳のころに消費税5%導入。

●小学校入学と同時にまずは第2土曜日が休みとなり、「ゆとり教育」がスタート。小学校4年生のときにはすべての土曜日が休みとなり、「ゆとり世代」と呼ばれるように…。

●首都圏の高校の入学式は、爆弾低気圧が直撃…。

●翌年には新型インフルエンザの流行で、修学旅行の中止が相次ぐ…。

●高校の卒業式・大学の入学式は東日本大震災の発生により、中止・あるいは自粛。

●成人式の日には、大雪に見舞われる…。

自分たちの力ではどうすることもできない出来事ばかりですね。でも!生まれながらに不況だろうと、成人式というハレの日に大雪が降ろうと、折れずにたくましく今日まで生きてきました。さまざまな荒波を乗り越えてきた彼ら・彼女らは、世間で言われている「最近の若者」のイメージとは違って、案外タフなのかもしれません。

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■きゃりーぱみゅぱみゅや剛力彩芽が同世代!

彼ら・彼女らがどういった世代なのかをイメージするには、同じ世代の有名人を見てみるのが手っ取り早いかも…? ということで、同世代の有名人を調べてみました。

きゃりーぱみゅぱみゅ、剛力彩芽、本田翼や染谷将太、ざわちんなどが同学年とのこと。なるほど。なんとなく…ですが、自分をしっかり持っている人が多いようなイメージを抱きます。

でも…イメージはイメージ。偏見や先入観交じりなところもありますから、詳しい人に聞いてみましょう!

今回は、今年の新入社員世代の詳しい特徴について、コミュニケーション心理や職場での人間関係、若者文化に詳しい作家・心理カウンセラーの五百田達成(いおた たつなり)さんに伺いました。さらに、彼ら・彼女らをどうマネジメントすればいいのかについてもアドバイスをいただきました!

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五百田達成(いおた・たつなり)

作家・心理カウンセラー。東京大学教養学部卒業後、角川書店、博報堂、博報堂生活総合研究所を経て2007年に五百田達成事務所を設立。「コミュニケーション心理」「職場の人間関係」「社会変化と男女関係」を主なテーマに執筆・講演。大切なことをわかりやすく伝える「情報の翻訳家」として活動中。モットーは「大人でも知らないことを、子どもでもわかる言葉で」。20万部を超えるベストセラー『察しない男 説明しない女』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)をはじめ、著書多数。米国CCE,Inc.認定 GCDFキャリアカウンセラー。

オフィシャルサイト=http://www.iotatatsunari.com

ツイッター=http://twitter.com/ebisucareer

フェイスブック=https://www.facebook.com/iotatatsunari.net

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■「デジタルネイティブ」に「開き直り」?今年の新入社員の特徴って?

●「デジタルネイティブ」はパソコンに弱い?!

ーー今年の新入社員の世代はどんな特徴を持っているんでしょうか?

今年に限った話ではないかもしれないのですが、いわゆる「デジタルネイティブ世代」であるとは言われていますよね。高校入学の年にiPhoneが発売されたこともあり、この世代の若者たちは、TwitterやLINEをものすごく活用しています。しかし、ここで注意しておきたいポイントは、Facebookではないということ。彼らからするとFacebookは少し上の世代のおじさん、おばさんが使うツール。Twitterの匿名性、LINEの閉鎖性に慣れているので、本名で発信するFacebookに抵抗があるんです。

パソコンよりもスマートフォンを使いこなしているので、入社後の最初のハードルは、意外とパソコンを使いこなすことかもしれません。学生たちと連絡を取るために「パソコンからメールを送って」と言うと、「LINEじゃダメですか?」といった空気を全面に出してきます。「連絡はなるべくメールで」と言おうものなら「旧世代…」と思われてしまう世代ですから、所属部署に配属されて、パソコンからメールを送らなければいけないという環境に戸惑っているでしょうね。

●“ダメな部分”を晒し自分を守る「セルフ・ハンディキャッピング」

――デジタルネイティブといっても、“パソコン”には不慣れな傾向にあるんですね。そのほかにはありますか?

さらには…端的に言って、“開き直る”傾向にあります。「私、コミュ障なんで」とか、先に自分のネガティブな面を言ってくる人が多い。「童貞」ですらキャラクター化していて、周りから「こいつ童貞なんですよ」と言われても恥ずかしがらず、本人も「僕、童貞なんで」と、隠さずに開き直る。これは、「セルフ・ハンディキャッピング」という、ダメな部分をあらかじめ言うことによって評価が下がるのを最低限に防ぐ心理。失敗しても言い訳しておけば傷が浅いですから、彼らにしてみれば得なんです。「今日、オレ寝てないんだ」と言っておくことによって、その場で調子が悪くても何も言われないし、元気なら「寝てないのにすごいね」ということになる。セルフ・ハンディキャッピングをする若者がとても多い世代だと感じています。

――最初から開き直って自己防衛しておく気持ちは分からなくもないですが、「言い訳するな!」と言いたくなってしまう気持ちもあります。どう接すればいいのでしょう?

こういった若者の傾向を「けしからん!本当の自分で勝負しろ!」みたいに非難せず、これは彼らの自衛行為で、当然の権利だと認めるべきです。キャラクターを演じることによって、本当の、生身の自分で勝負するようなリスキーなことはせず、あらかじめ負のレッテルを自分に貼って楽になる。不遇の時代を乗り越えてきたからこそできる、彼らのクレバーなやり方ではないかなと。

僕はよく、30代、40代の人づきあいで悩んでいる社会人に「生身の自分で勝負しないで、演じてみては?」とアドバイスするのですが、新卒世代の若者からしたら「今さら何を言っているの?」という感じでしょうね。彼らにとっては普通のことで、キャラクターを演じて自衛することでガス抜きが出来ている。ある部分では見習うべきなのではないかなと思います。

●「LINE」はこの世代を象徴するツール

――でも、開き直ることによって何かしらの弊害もありそうですが…。

仰るとおり、セーフティネットを張りまくる器用な生き方をすれば傷つきはしないけれど、一方では自分がなかなか確立されないという欠点もあります。ですが、SNSでのコミュニケーションが当たり前の時代に、合理的で器用な生き方を責めることもできない。2011年の6月から始まったLINEというサービスを、彼らは大学1年生から一早く取り入れて、活用しまくっている。彼らにとっては、曖昧で、「なあなあ」でも許されるコミュニケーションがスタンダードなんです。ステレオタイプかもしれませんが、LINEのコミュニケーションの仕組みそのものが、彼らを象徴していると言っても過言ではないと思います。

――他にも彼らのコミュニケーションに特徴はありますか?

新卒世代がよく使う特徴的な動詞に、「絡む」という言葉があります。この言葉も彼らのコミュニケーションのあり方を端的に示したものだと思います。

この「絡む」は「酔っぱらいに絡まれる」といったようなネガティブな意味ではなく、交流するといったような意味。「話したことがある」とか、「一緒に飲んだことがある」といったことがすべて「絡む」というざっくりとした言葉でまとめられる。反対に、空気を読まなかったり、LINEの返信が遅かったり、プライドが高い人のことは「絡みづらい」と言う。心を開かせるためには「絡みやすい」先輩にならないといけないのですが、新入社員に迎合する、という意味ではありません。こういうコミュニケーションの仕方もあるんだと理解することです。先輩や上司とも簡単に繋がれるので、「電話をかける」「メールする」「飲みに行く」しか手段のなかった世代とは違い、先輩や上司とも簡単に距離を縮めてくるんです。

■新人マネジメントは、“演出家”となって臨むべし!

●演出家となり「リア充社会人」を演じさせる

――先輩社員、特に管理職やOJT(メンター)などを担当する人はどう向き合えば良いですか?

就職活動を頑張ってきた人たちの多くは、真面目でピュアで、擦れていない。器用だけど、基本的にはすごく前向きです。SNSで気軽につながれるという文化に慣れているからか、彼らは基本的には何を言われても萎縮しない。むしろ、前向きに社会人を楽しもうとしている。だから、上司は演出家となって「リア充社会人」を演じさせてあげればいいと思います。新しい演技のガイドラインを示して、「イケてるサラリーマン」になるためのプランを提案しあげて下さい。

間違っても、「自分あんまり取り柄がないんで、自分に自信が持てないんですよね……」といった、彼らの「自虐プレイ」を鵜呑みにしてアドバイスしないこと。反対に「あの得意先なんてチョロいですよ」なんて生意気なことを言ってきても気にしないでください。すべて「プレイ」ですから。あとは、もしTwitterなどでつながって彼らが弱音を吐いていたとしても、リアル社会では指摘しない。「つらそうだけど大丈夫?」なんて心配するのは野暮なことで、「それ言わないでよ」みたいな微妙な空気が漂います。相手によってさまざまな面を使い分ける器用なタイプが多いので、別の一面を知ったからと言って指摘するのは逆効果です。それは、「部長は会社では厳しいですけど家庭ではデレデレなんですね」と言われているのと同じことです。

●イケてるサラリーマンとしての手本を見せる

――その他にも気を付けるべき点はありますか?

今どきの男の子と女の子だけど、「根っこは同じ」という認識で接し、長い目で見てあげて下さい。彼らは自分よりも経験が少ない分、スキルも劣っている人間だと。「今どきの若者は…」なんて言ってしまうと「ルーキー・ハラスメント」(※五百田氏の造語)なんて言われかねないですから。しかも彼らは「僕、ゆとりなんで」と開き直ってキャラクターにしてしまう面もありますから、熱くなるだけ損です。真っ向から対立するのではなく、「仕事を頑張るキャラ」に仕立て上げる。そのためには「イケてるサラリーマン」としての手本を示してあげて下さい。先輩の姿を見て仕事を覚えていくということは、今に始まったわけではありません。根は素直で屈託のない若者ですから、仕事を筋立てて説明しなくても「こういうもんだ」と言えば、きちんと仕事をこなしてくれますし、どんどん成長していきますよ。

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――なるほど。世代は違くとも根っこは同じという見方が大切なんですね。ありがとうございました!

EDIT&WRITING:石本真樹

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