寒中見舞いとはどのようなものでしょうか。あまりなじみがないため、どんなときに送るのか、どんな内容を書いたらいいのか知らない人もいるかもしれません。
この記事では、社会人のマナーとして知っておきたい、寒中見舞いの出し方や送る時期、基本的な構成を例文付きで紹介します。
寒中見舞いについて
寒中見舞いとは「寒中」に出す季節の挨拶状のこと。「寒中」とは寒の入りから寒明けまでのことで、1月5日頃から2月4日頃までのおよそ1ヶ月間のことを指し、この間に出す挨拶状のことを寒中見舞いと言います。内容は、寒い時期の体調を気遣い、近況報告をするというのが一般的です。
送る方法はハガキかメールのどちらでも構いませんが、押さえておくべき基本は下記の2点です。
1、寒中見舞いを出すのは「松の内」が明けた1月8日頃から2月3日頃まで
寒中見舞いを出すのは「松の内」が明けた1月8日頃から2月3日頃までが一般的です。ただし、ハガキや手紙など郵送の場合は少し余裕を持って出すようにしましょう。1月5日または6日から1月末が目安です。特に1月末にかかる場合で遠方の相手に送るときにはギリギリにならないように気をつけてください。メールの場合は投函日を気にする必要はありませんが、会社の上司や目上の方など相手によっては失礼になります。
2、年賀状、喪中の報告の代わりとしても使われる
寒中見舞いは事情で年賀状が出せなかった相手に送る挨拶状としても使われます。1月7日までは「松の内」と呼ばれ、年賀状を送っても失礼には当たらない時期とされています。しかし、この期間中に年賀状を出せなかったときには寒中見舞いを送ると良いでしょう。年賀状をもらっていながらタイミングを逃してしまった場合も、寒中見舞いにすれば失礼になりません。
また、喪中の報告を忘れた相手から年賀状が届いたときにも寒中見舞いを送りましょう。この場合は近況報告として喪中であることを文中に添えればいいのです。喪中で年賀状を出せない相手に出しても差し支えありません。
年賀状も出しそびれた上に寒中見舞いも忘れてしまった、という場合には「余寒見舞い」を送ってみましょう。余寒見舞いとは2月4日頃から2月下旬頃の寒さが残る時期に送る挨拶状です。3月に入っても大丈夫と考える人もいるようですが、寒い時期の挨拶なので遅くとも2月下旬までに送りましょう。何かと忙しい年末年始に年賀状や寒中見舞いを出すタイミングを失ってしまった場合には、余寒見舞いとして気持ちを伝えると良い印象を持っていただけるでしょう。
寒中見舞いの基本的な構成と書き方
次に、基本的な構成や書くときのポイントについて解説します。
まず内容は、下記の3つで構成すると良いでしょう。友人など親しい間柄の場合には少しくだけた内容で送る人もいます。ただし、会社の取引先や上司、先輩などは基本的な書き方に則って書くと良いでしょう。
1、挨拶
・定型の挨拶である「寒中お見舞い申し上げます」と「厳しい寒さが続いておりますが、いかがおすごしでしょうか」等の相手を気づかう言葉
・返信が遅れた場合はお詫びを一言添える
2、近況報告
・無事新年を迎えていること 等
・次に会った時に話題にできるような内容を添えても良い
3、結びの挨拶と日付
・今後もお付き合いをしていきたいという意思を伝える
近況報告の部分には、結婚報告や出産報告などを入れることもできます。親しくしている取引先などであれば、そういった話題を盛り込んでおくと、次に会った時の会話のきっかけを作ることもできます。
その他、その年にあったことを盛り込んで時候の挨拶を工夫したり、結びの挨拶を変えたりしても良いでしょう。
ビジネスで使える寒中見舞いの例文
ここからは、ビジネスで使える基本の文例や、年賀状をいただいた時の返信文例を紹介します。
【寒中見舞いの基本的な文例】
寒中お見舞い申し上げます。
寒さが厳しい折、貴社の皆様におかれましてはお変わりなくお過ごしでしょうか。
貴社には平素より格別なお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
おかげさまで弊社も穏やかな新年を迎えております。
まだまだ寒さが続くと思われますが、皆様がご健康で本年もますます躍進されますことをお祈り申し上げます。
平成●年●月●日
ポイント:挨拶は、手紙やハガキなどを出す場合は季節感を盛り込んだ「時候の挨拶」が一般的です。しかし、寒中見舞いの場合は出だしに「寒中お見舞い申し上げます」と書いてから時候の挨拶に移りましょう。
【年賀状に返信する時の文例】
寒中お見舞い申し上げます。
丁寧な年賀状をいただきまして、ありがとうございました。
ご挨拶がすっかり遅れてしまい、申し訳ございません。
年末は慌ただしく過ごしておりましたが、お陰様で穏やかな新年を過ごしております。
寒さが厳しい折、風邪など召しませんよう健康にご留意してお過ごしください。
本年もよろしくお願い申し上げます。
平成●年●月●日
ポイント:年賀状の代わりとして送るなら時候の挨拶は入れずに年賀状への礼を書き、挨拶が遅れたことへのお詫びの言葉を添えると良いでしょう。
【喪中に年賀状をいただいた時の文例】
寒中お見舞い申し上げます。
暖冬とはいえ寒い日が続きますが、お変わりなくお過ごしでしょうか。
昨年○月に母が逝去いたし、喪中のため新年のご挨拶を控えさせていただきました。
ご報告が遅れたことをお詫び申し上げます。
また生前は大変お世話になり、感謝いたしております。
本年も変わらぬご厚誼のほど、よろしくお願いいたします。
平成●年●月●日
なお、ビジネスでお付き合いしている方に対しては、喪中であると伝えることで相手に気を遣わせたくない場合もあると思います。そのような場合、喪中であることは知らせず、通常の挨拶を送っても良いでしょう。
寒中見舞いの基本を押さえて、ビジネスシーンでも上手に活用しましょう。
監修者:荒川 泰子 (イメージコンサルタント)
航空会社にて、国内、国際線客室乗務員として乗務し、退職後は国際イベントにて受付業務や、VIP接遇を担当。その後渡英し、ロンドン大学にて文化人類学の修士号を取得。 帰国後はダイヤモンドサロンにてPR業務と顧客接遇を担当し、その後イメージコンサルタントとして活動を開始。マナーやファッション、美容などの講師として活動中。
文:リクナビネクストジャーナル編集部