謝罪は成長のチャンス!ただし絶対避けたいNGフレーズ集も…

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つらい、はずかしい、ストレス……、しかしビジネスパーソンにとって、ミスをしたら乗り越えなくてはならないのが「謝罪」のシーン。

謝罪をはじめ、さまざまなコミュニケーションデザインを研究する藤田尚弓さんは、謝罪は誰にでも乗り越えられるもの、そして謝罪を通して得られるものは確実にあると語ります。

「謝罪という行為は成長のチャンス。誠意をもって謝ることで、相手の気持ちをやわらげたり、自分のイメージダウンを防ぐことができる効用も実証されています。気が重くなるのをグッと堪えて、ポジティブに捉えていきましょう」

謝っているのに伝わらない……
「謝罪の気持ち」を相手に伝えるためには?

謝罪で大事なのは「どのレベルの謝罪をするか」と、「謝罪する順番」だと藤田さんは話します。

「謝罪は大きく3つのレベルにわけることができます。どのレベルで謝罪するのかを間違ってしまうと、言葉を尽くして謝罪をしても相手に伝わりません。内容は、以下のとおりです。

  1. 関与を認める謝罪(問題に自分が関わっていたことは認める)
  2. 責任を受容する謝罪(原因・責任は自分にあることも認める)
  3. 賠償責任を負う謝罪(賠償責任を果たし被害回復を目指すことも伝える)

許してもらうためには、どのレベルまで謝罪するべきかを判断することが重要です。責任受容の言葉があるかどうかは、相手の判断に大きく影響を及ぼす部分なので特に気をつけましょう。謝罪のシーンでは自分が100%謝ったつもりでも、怒っている相手は冷静な判断やコミュニケーションができない場合もあり、実際には60〜70%しか伝わっていません。思っている以上に謝るくらいがちょうどだと知っておくといいですね。」

・「共感」は、謝罪に欠かせないコミュニケーションテクニック

ミスをしたとき、反射的に「すみません」というお詫びの言葉がでると思います。しかし、これだけでは「表面的にしか謝っていない」と思われがちです。

「反射的に口にした『すみません』では反省の気持ちが伝わりにくいものです。ミスをしてしまったらまず『共感の言葉』をひとつ入れてみてください。その後のコミュニケーションがぐっとスムーズになります。

例えばお茶をこぼしてしまったら『熱かったですよね!大丈夫ですか?』、先方に恥をかかせてしまったら『このような事態になってしまい、私も大変お恥ずかしいです』と相手に共感し、同じ立場に立つようにするといいでしょう。自分も同じように傷つき、ふがいなく思っていると伝えることで、相手の気持ちが回復しやすくなります」

こうした前提から、藤田さんが掲げる「相手に伝わる謝罪」の順序は次の通り。

  1. お詫びの言葉
  2. 被害を認識し共感する言葉
  3. 自分に責任があるということを受容する言葉
  4. 今後どうすべきかを話す

この順番で話すことで、誠意が相手に伝わりやすくなります。

こうしたセオリーを頭に入れながら、具体的な謝罪のシーンを見ていきましょう。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

シーン別・謝罪をするときの心得とは

・謝罪するときの重要な要素、「非言語コミュニケーション」

「申し訳ないという気持ちを表現するためには、身振り手振りや声色といった非言語コミュニケーションが非常に大切です。特に日本は“行間や空気を読む”という非言語コミュニケーションを重んじる文化があります。謝罪のシーンでも、その態度から『これは表面的な謝罪だ』と敏感に見破られてしまうのです。本当に反省しているのに、それを上手く伝えられない人もいます。謝罪をするときには、その言い方や態度、表情にも十分注意しましょう」

・電話で謝罪する場合も、まずは表情作りから

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「謝罪は対面が基本ですが、まずは急いで相手に謝罪の意を伝えなくてはいけません。顔が見えていない電話でも、“声”のトーンは重要な非言語コミュニケーションのひとつです。そこで電話で謝罪するシーンでは、表情に気をつけて話しましょう。申し訳ない表情では“反省していないような声”は出にくいです。電話でも表情に気をつけることで、声の大きさや息遣い、トーンのささいな違いから“申し訳ない気持ち”が相手に伝わります」

・メールでの謝罪は、定型文ではなく「話し言葉」で

「メールの謝罪では『非言語コミュニケーション』が伝わらず、誤解されやすいため避けたいところです。どうしてもメールで謝罪しなくてはいけない場合は、先述のように共感から入り、自分も傷つきふがいなく思っていることを伝えましょう。紋切り型の定型文ではなく、細かなニュアンスを伝える話し言葉に近い文体のほうが良いですね。 ですが余計話がこじれてしまうことも多いため、対面で謝罪ができないときはメールより電話がオススメです」

・対面謝罪では、パニックになってしまったほうが◎

「面と向かっての謝罪は、緊張のあまりしどろもどろになってしまったり赤面してしまったりするかもしれません。でも、それで良いのです!こうした感情表出は相手の気持ちをやわらげ、心情の回復に効果があります。普段のビジネスシーンで取り乱すのは失礼にあたりますが、謝罪の場面では、顔が赤くなってしまうような人はむしろお得、と考えましょう」

8,568通り、あなたはどのタイプ?

これだけは避けて! 謝罪における絶対NG集

謝罪に欠かせないセオリーを教えていただいたところで、絶対にこれだけは避けて!という「謝罪NG集」も伺いました。

・黙ってしまう=逃げていると勘違い

「パニックになってしまうのはOKとお話ししましたが、頭が真っ白になるあまり黙り込んでしまうのは駄目です。黙ったままでは『話し合いを避けて逃げている』と受け取られてしまい、相手の怒りを倍増させてしまう可能性があります。言葉にならず『あわわ……』でも良いので、とにかく声を出して『慌てている』『焦っている』ということだけでも相手に伝えましょう」

・「誤解を与えてしまい……」は、絶対NGフレーズ

「ビジネススシーンでは、自分に非がない件に対して理不尽なクレームをつけられることもあると思います。その場合は『不快な思いをさせてしまい/ご心配をおかけしてしまい申し訳ありません』と、共感部分を丁寧に謝罪し、本件については謝らないことです。 こうしたケースで間違えてしまいがちなのが『誤解を与えてしまって申し訳ありません』という表現。誤解という言葉には『自分が正しい』と主張するニュアンスがあるため、相手からすれば『誤解とはなんだ!』と火に油を注いでしまいます」

・事情説明から入ってしまう謝罪は逆効果

「謝罪をする際に原因や理由を述べるのは良いのですが、先に原因・理由を説明してしまうと言い訳に聞こえてしまいます。釈明をするのは責任を受容する謝罪をしてから。この順番を間違えると、『言い訳ばかりで反省していない』と、誠意が伝わらない謝罪となってしまいます」

相手との関係をどうしたいか?ゴールイメージをもって謝罪にあたろう

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相手に思いが伝わるスムーズな謝罪をするために、場数を踏んで練習する必要があるのでは……と思ってしまいますが、藤田さんは「正しい謝罪の方法を知っておけば大丈夫」と断言。

きちんと謝罪ができるかどうかは、メカニズムを知っているかどうか次第。まずお詫びの言葉や共感の言葉を述べてから事情を説明し、今後どうすべきか話す……という流れさえ知っていれば、年齢や経験は関係なく、今日からでも誠意が伝わる謝罪ができます。

『相手が何を要求してくるか』によって謝罪の内容を変えるものだと思っている人もいるかも知れません。しかし、相手の反応を引き出しているのはあなた自身の言葉。自分が謝罪を通して何を実現したいか?相手との関係性をどう回復したいのか?……というゴールイメージを明確にしてみましょう。例えば、『謝罪をして信頼回復をしたい、そのために利益は厭わない』のであれば、具体的に損害賠償の話をして次につなげるなど、主体的に考えるどのように謝ったらいいかがわかるはずです。」

今日からすぐに実践できる謝罪術。誰にでも実践できるうえに、回数を重ねることで確実に自分自身の経験値になると藤田さんは話します。

「“怒られ損”という言葉がありますが、私は謝罪を“怒られ得”と捉えています。
失敗をしたとき『社内の体制が悪い』『市場が悪い』など外部に原因を求める人は、また同じミスを繰り返しやすくなります。ですが失敗や謝罪を通して『自分側にもあった原因』を認めると同じミスはしにくくなります。これはビジネスパーソンとしての成長と言えるでしょう。

謝罪は、お互いが本音で話し合える貴重な機会。表面的なやり取りから一歩進んだコミュニケーションなので、そこをどうマネージメントするか考えるのは良いチャンスなのです!謝罪は心苦しいものですが、どうせならステップアップに繋げてられるといいですね」

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藤田尚弓

コミュニケーションデザインを研究する、株式会社アップウェブ代表取締役。アクセス解析データを元にした、WEB媒体でのコミュニケーションデザイン を研究する他、テレビ出演・監修、雑誌などへのコンテンツ提供、コラム執筆などを行っている。

<WRITING>伊藤七ゑ

編集:鈴木健介
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