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本気でグローバル展開したいなら! 海外でマーケティングをするときに注意するべき5つのこと

グローバル展開を目標に掲げる企業は数多くありますが、実際に海外進出をする企業はごくわずかです。自社のプロダクトが世界に通用するかの判断をしようとしても、そのノウハウがないというのが実情ではないでしょうか。しかし、停滞する国内市場、そして世界市場で得られるリターンを考えると、遅かれ早かれ海外進出が必要になることは間違いありません。

企業の新規海外展開にあたり、まだ開拓されていない分野が数多くあり、かつ想定される市場規模が大きいASEAN諸国は進出先として引き続き人気です。そんなASEAN諸国の事例を参考にすることで、失敗しないマーケティングのポイントを学びましょう。

 

Webマーケティングだけでは上手くいかないことも

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海外でマーケティングをする際に必要なのは、新規市場の発見、あるいは創出です。そのためには海外における販売チャネルの拡充や、プロモーションの展開が必要になります。導入コストが低く、すぐに効果が上がるのはWebの活用ということで、Webマーケティングが選択されがちですが、「Webマーケティングだけでは上手くいかないこともある」と金さん。

 

「日本でゲームの販促をする場合にはアドネットワークが主流ですが、例えば数年前の韓国で市場調査をしてみると、当時はあまりアドネットワークが発展していませんでした。韓国ではオンラインゲームのプロモーション手法としてコミュニティ形成や口コミの方が、マーケティングにおいては重要でした。経済もカルチャーもソウルに集中しているというのも一つの要員だと思います。このように、日本で上手く行った手法が海外でも必ずしも効果があるとは限りません。現地法人を設立したり、現地のエージェントと提携して、市場調査を入念に行ってください」

 

SNSの用途・利用方法は国によってさまざま

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日本におけるマーケティングでは、TwitterやFacebookなどのSNSを活用することが一般的になりつつあります。金さんによれば、ユーザーとダイレクトに関わるソーシャルメディアのマーケティングは海外でも効果があるそうですが、SNSごとの用途や利用方法が日本と同じであると考えるのはNG。例えば日本とタイでは以下のような違いがあるそうです。

 

「日本ではアニメなどのマニアがTwitterを利用して情報交換をすることが多いですが、タイではアニメのマニアがFacebookで情報交換をしています。実名制のFacebookは、日本の場合、人の目が気になり、このように利用されることは少ないでしょう。SNSの用途・利用方法は国によってさまざまなので、 ソーシャルアカウントは現地メンバーを交えて運用するのがいいでしょう」 

 

「検索エンジンといえばGoogle」ではない

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検索エンジン対策(SEO)をしてインバウンドで集客をするというのも国を問わず有効なマーケティング手法ですが、「海外で主に利用されている検索エンジンは日本と同じとは限りません」と金さん。中国だとBaidu(バイドゥ)が主流ですが、これは中国国内でGoogleへのアクセスが制限されているためであり、日本におけるSEOの知見は通用しないことを意味しています。

 

「Baiduにおける検索対策では、当該サイトが中国工信部にサイト構築申請手続をしてあるかどうかが重視されており、登録後に発行されるICP番号をサイトに掲載する必要があります。他にもサーバは中国に置く、インデックスのスピードが遅いのでクローラビリティを高めておくなど、サイトをローンチする以前からチェック事項があるので、専門家のコンサルティングをおすすめします」

  

市場が成長しだしてから飽和するまでが早い

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最近のアジアでは、市場が伸びだしてから飽和するまでが格段に早く、金さんによれば「2〜3カ月で動向が変化し、1年後にはまったく別の状況ということも」。数年前、韓国ではアプリゲームの制作において1年ほどで市場が成熟し、メーカーがお隣の中国に参入、今度は中国でアプリゲームが流行、乱立した中国のメーカーが、現在は東南アジアに進出しているそうです。

「このような市場の動向はデータから解析することもできますが、それだけでは一歩先を読むことができません。一番いいのは現地に足を運び、市場を肌で感じることです。私自身、月の半分は日本におらず、海外を歩き回っていました。海外マーケティングをする上では、自分の目で見て、頭で考えるようにするようにしましょう」

 

日本と海外の文化の違いで片付けない

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海外マーケティングの現場でしばしば出るのが「文化の違い」という言葉。例えば日本で成功させたアプリゲームのタイトルについて、ネイティブなメンバーから現地ウケしないという意見があった場合、日本と現地法人の意見のどちらを重視するべきなのかについて、議論になることがあるそうです。このとき「文化の違い」という言葉でその理由を片付けるべきでないと金さんは言います。

 

「日本のタイトルのままにすることも、海外向けのタイトルに変更することもありますが、このように日本と現地メンバーの意見がぶつかるごとに、ケースバイケースの判断が要求されるのも海外マーケティングが難しい理由のひとつです。しかし、この理由を日本と海外の文化の違いで片付けてしまうのは思考の放棄であり、マーケティングの質がそれ以上になることはありません」

 

コンテンツがグローバル化していくと、さまざまな困難に行き当たります。しかし、「基本となる考え方は日本におけるマーケティングと同じ」と金さん。

 

「まずは自分でも現地に足を運びながらデータを収集する。そして、商材の成り立ちをもとに、現地の文化や国民性を加味して、マーケティングする市場に合わせた計画をする。計画を実行したら、評価して、改善をする。日本では当たり前のことでも、海外ではおろそかになりがちですので、このPDCAサイクルを回し続けることが、成功する海外マーケティングのポイントです」

 

まとめ:海外でマーケティングをするときに注意するべき5つのこと

  1. 施策を実行する前に、現地エージェントや現地法人を主体に市場調査をする
  2. ソーシャルメディア・マーケティングは有効、しかし現地メンバーと運用をする
  3. SEOはGoogleだけではなく、現地で利用される検索エンジンに最適化する
  4. 市場の動向はデータの分析と、担当者が実際に現地に足を運んで実施する
  5. 文化の違いを理由にするのではなく、PDCAサイクルをいつも回し続ける

 

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金 葵娟

 

2009年にサイバーエージェント入社。広告事業本部で3年半勤務した後、ゲーム部門で3年間アジア圏のマーケティングの推進に従事し、2015年8月に退職。現在は株式会社ウィキッズでBDマネージャーを務めるほか、フリーランスとして企業向けにゲームの海外展開のコンサルティングをおこなう。

取材・文=朽木 誠一郎