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前年比+7%!2013年夏
エンジニアボーナス平均58万円 |
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今年も夏のボーナスシーズンがやってきた。リーマンショックに端を発した景気の落ち込みと停滞感も、アベノミクスによる経済政策によって明るいきざしが見えてきた。エンジニアのボーナスにはどのような影響を与えたのか。1000人調査を行った。
(総研スタッフ/宮みゆき イラスト/絵理すけ) 作成日:13.07.19
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エンジニア1000人の47%が昨年より「増えた」と回答
Tech総研では、エンジニア1000人を対象に2013年夏のボーナス支給額に関する調査を行った。調査対象は22歳〜35歳のソフト・通信ネットワークなどのソフト系エンジニア(以下、ソフト系)500人、電気・電子・機械・素材などのハード系エンジニア(以下、ハード系)500人。結果は2013年夏のボーナス平均支給額は58.6万円(昨年比7%増)となった。
経団連から発表された「2013年夏季賞与・一時金 大手企業業種別妥結状況 第1回集計」によると、20代の平均支給額は33.8万円、30代の平均は42.9万円であり、エンジニア職の支給額は世間一般と比較すると高いと言えるだろう。
また、全体の47%が「増えた」と回答しており、「変わらない」は36%、「減った」は17%となった。昨年調査と比較すると、「減った」が6ポイント下がっている。(DATA1)
DATA1 職種別/ボーナス増減について

大手SIer、医療機器や総合電機、自動車など製造業、金融が好調
リーマンショック以来、東日本大震災、円高やデフレなど、業績悪化が続いていたが、今年夏のボーナスは「アベノミクス」の金融緩和政策の影響がどのように反映されるか注目されている。まずは勤務先の業種別にボーナス平均額を比較してみよう。
最もボーナス平均額が高かったのは、「大手SIer/NIer、コンサルファーム、ベンダー」の76.9万円、次いで「医療機器メーカー」75.3万円、「総合電機メーカー」73.8万円、「金融・保険系」70.4万円、「自動車・輸送機器メーカー」「外資系SIer/NIer、コンサルファーム」69.8万円と続く。
昨年(2012年)の支給額と比較して、ボーナス額が減っていたのは「家電・AV機器・ゲーム機器メーカー」と「流通・小売系」のみで、それ以外は増額している。アベノミクスの影響が寄与したと見られる金融業、業績好調が伝えられる医療機器や自動車などの製造業のボーナス額が増えているのに対し、家電メーカーの減額が特徴的だ。(DATA2)
DATA2 <勤務先業種別>2013年夏のボーナス平均額
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格差がみられるソフト系は平均57.1万円、平均的なハード系は60.1万円
次に職種別のボーナス平均額に見てみると、ソフト系職種が57.1万円、ハード系職種が60.1万円とハード系職種の方が高い。職種を細分化してみると、ソフト系で最も高い「コンサルタント、アナリスト、プリセールス」99.9万円に対し、最も低い「運用、監視、テクニカルサポート、保守」48.8万円と、差額が50万円以上ある。次に高い「研究、特許、テクニカルマーケティング、品質管理ほか」68.0万円と比較しても高い金額だ。「通信インフラ設計・構築(キャリア・ISP系)」64.0万円、「システム開発(汎用機系)」56.7万円、「システム開発(Web・オープン系)」56.1万円と続くが、平均額が60万円を超えたのは3職種だけであった。
ハード系は最も高い「研究、特許、テクニカルマーケティングほか」68.3万円と、最も低い「サービスエンジニア」52.9万円の差額は15.4万円と、ソフト系と比べて差が少なく、すべての職種が平均50万円以上である。60万円を超えたのは、「光学技術」64.7万円、「半導体設計」64.3万円、「制御設計」63.7万円、「素材、半導体素材、化成品関連」63.1万円、「セールスエンジニア、FAE」62.8万円、「生産技術、プロセス開発」62.4万円の7職種のソフト系と比べて多い。ソフト系に職種による格差が見られはしたが、全体的には、「システム開発(マイコン・ファームウェア・制御系)」以外は昨年と比べて支給額が増えており、景気回復が感じられる。
DATA3 <職種別>2013年夏のボーナス平均額
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ボーナス額決定に最も決め手になったと思う要因は「会社の業績」が74%
ちなみにボーナス額決定に最も決め手になったと思う要因について、エンジニアの意見を聞いてみたところ、「会社の業績」が74%と最も多かった。昨年の調査では43%と半数以下だったことと比較すると非常に高い。だが、アベノミクスなどの景気の影響と考えるエンジニアは6%と少ないようだ。
「個人の業績・成果」と回答したのは9%だけだったが、次に紹介するエンジニアの生声を見ると、満足度は別として評価されていると感じている人は少なくなかった。個人のがんばりはあってもボーナスは会社業績によって決まるもの、そう考えるエンジニアが多かったと考えられる結果であった。
DATA4 2013年夏のボーナス額決定に最も決め手になったと思う要因は?

「今回の金額に満足している」が62%と、高い満足度
エンジニアの満足度「今回の金額に満足している」が62%とエンジニアの満足度も高い(DATA5)。その理由を聞いてみると、景気回復を実感している声は少なく、他社との比較やエンジニアらしい謙遜さがかいま見える。自分の仕事内容に対して正当評価をもらえたことに喜んでいるエンジニアもいる。「今回の金額に満足している」エンジニアの声をいくつか紹介しよう。
DATA5 2013年夏のボーナス満足度について


■同世代のまわりの人間に比べたら格段に多いボーナスをもらっている自覚がある
(105万円/金融系/社内SE/34歳)
■アベノミクス効果が世間では言われているけれど全然浸透しているようには感じず、世の中にはもらえない人も多いと思うから
(75万円/総合電機メーカー/回路設計/31歳)
■景気がよかったときより減っているが、世の中の年代別平均よりはもらっているから
(70万円/化学メーカー/生産技術/30歳)
■適切に評価されているから
(50万円/重電メーカー/回路設計/25歳)
■社内での評価基準が比較的明確だから。ただし社外の事情を知らないので知ってしまったら考えが変わる可能性もある
(98万円/コンピュータメーカー/機械設計/32歳)
■世の中の情勢から鑑みるに、自分の歳からすると多くもらっている気がするから
(100万円/大手SIer/システム開発/34歳)
■景気が上向きになってきたが、周りを見るとまだ賞与が出ていないところもあるため
(100万円/自動車メーカー/機械設計/35歳)

一方で、家電・AV機器・ゲーム機器メーカーに勤務するエンジニアからは、自分の業績に対して十分な報酬が支払われないことに不満を感じている声も聞かれた。

■自部門以外の業績が悪く、会社業績に影響がありボーナスの金額が低くなっている
(110万円/家電メーカー/回路設計/35歳)
■がんばり、評価も高かったのに業績のせいで減額された
(55万円/家電メーカー/光学技術/33歳)
■会社の業績が悪く、通常の半額しか支給されていない
(29万円/家電メーカー/システム開発(制御系)/31歳)
■事業成績は申し分なかったはずだが、金額が低い
(50万円/家電メーカー/社内SE/25歳)
■業界平均より安く、業界も好況ではない
(30万円/家電メーカー/素材/32歳)

エンジニアがボーナスから貯金する金額は?
最後に増えたボーナスをいくら貯金するのかを尋ねてみた。その平均額は31.2万円。昨年夏より約2.7万円アップしている。ボーナス額が上がっても貯金額も上がる。エンジニアの財布の手堅さが見える結果となった。
DATA6 2013年夏のボーナスから貯金する金額
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