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下請け一辺倒から脱却!ネットワークづくりや独自アプリ開発へ

青森発!地方エンジニアの弱みを
強みに変えていく

注目機会の少ない地方エンジニア。しかし今、地方ならではのワークライフバランスのとれた暮らしを満喫したり、新しい情報発信やネットワークづくりを実践しようとするエンジニアが増えている。その知られざる実態について探ってみたい。

(総研スタッフ/山田モーキン) 作成日:12.08.23

【今回の地方エンジニア】震災を機に青森に移り住んだエンジニアが仕掛ける、
地域活性化プロジェクト


今回紹介する地方在住エンジニア
株式会社アイティ コワーク
取締役 岡本 信也氏

今回紹介する岡本氏は青森県の出身。栃木の大学を卒業後、地元に近い八戸にある、独立系のソフトウェア企業に就職。しかし1年半後、東京に転勤することに。建築系の業務システムの開発からWeb系のアプリ開発まで、非常に幅広い開発に従事しながら約9年の経験を積んだ。
そんな彼が昨年の秋、東日本大震災をきっかけに家族との絆を強めたいと考えて再び八戸に戻ることに。そこで直面した、東京と地方における、エンジニアを取り巻く環境やワークスタイルの決定的な違いとハンディキャップ。しかし彼は、一つの決意を胸にある活動を起こすことになる。

東京と八戸、それぞれの地域はエンジニア視点で何が違うのか? そして岡本氏はどんな活動を新たにスタートさせたのか? その経緯や真相について、本人に語ってもらおう。

「仕事を選べない」「時間密度が薄い」「横のつながりが皆無」という地方の現実


今年、八戸で岡本さんを中心に立ち上げた企業「アイティコワーク」のメンバーと社内風景

「青森から栃木の大学に進学後、自分が長男だったこともあって就職は地元の八戸近郊でしようと決めていました。エンジニアの道を選んだのは就職当時、ITバブルの真っただ中だったこともあり、ITに関連した職に就きたかったから。その中で八戸にある独立系ソフトウェアハウスに就職、最初はプログラマやSEとしてシステムの開発を担当していました。

しかし1年半後、会社の事情で東京の事務所に転勤することに。去年の秋に再び八戸に戻ってくるまで約9年、最初の数年は建築系のシステム開発業務、後半はWeb系のシステム開発を数多く担当しました。
八戸に戻ろうと思ったきっかけは昨年発生した東日本大震災。震災当時、私は八戸の本社に出張中で、妻と子供は東京にいたのですが、なかなか連絡が取れず不安な思いをしたことで、親兄弟も含めて近くでいつでも連絡が取れる地元に戻ろうと決意しました。

こうして八戸と東京、2つの街でエンジニアとして仕事をしてきた私から見た大きな違いについて比べてみると、八戸のような地方ならではの『限られた環境』の中で仕事をせざるを得ない状況が浮き彫りになります。
うちのような独立系企業も含めて、八戸のような地方都市のソフトウェア企業のほとんどは、東京からの二次請け、三次請け案件を扱っています。地元の案件もありますが、ほとんどは金額が安いので事業のメインにはできない。だから東京からの案件を受けざるを得ない状況なんですね。

つまり八戸のソフトウェア企業はほぼ東京に視線が集中しているため、逆に地元企業同士の“横のつながり”が皆無。これが東京の企業であれば、プロジェクトに参加している他社のメンバーであったり、また頻繁に開催される勉強会やセミナーで他社のエンジニアと交流する機会が数多くありますが、少なくとも八戸のエンジニアの多くは孤立しているのが現状です。また東京であれば1日の中でさまざまな業務をこなしていきますが、八戸ではひとつのプロジェクトを淡々とこなしていくスタイル。つまり『時間の密度』が大きく違い、時間当たりの生産金額もはるかに東京の方が大きい。

このように東京と比べれてみると、八戸のような地方都市の企業は非常に限られた環境や条件で仕事をしなければならないという現実を改めて認識させられました。」

「何のための仕事をするか」の原点に帰れる場所


休日は娘さんやご家族と一緒に、近くの実家にある農地で農作業をしている

「でも決して悪いことばかりではありません。特に私の場合、妻と小さい娘がいるのですが、仕事以外の時間をもって、人生を見つめられる環境があることが、東京との大きな違いだと感じています。

例えば週末は、家族を連れて実家の農業の手伝いをすることで、親や兄弟に囲まれながら自然と触れ合い、自分や家族を見つめ直す時間を持てるんですね。娘が土いじりをして喜んでいる姿を見つめながら『自分は何のための仕事をしているのか』『家族のために何をしてあげられるのか』、そんなことを考えていると、自然と今自分が取り組んでいる仕事に対する向き合い方や考え方にも変化が生まれてくる。より有意義な人生を送るための努力や創意工夫をしようという意識が、自分の中で芽生えてくるのが手に取るようにわかるんです。

多忙を極めて自分自身や家族を客観的に捉えて考える時間もない東京での生活は、刺激的ではある半面、それなりの犠牲を払って生活しているんだなと今、八戸に住んで実感していますね。」

ソーシャルアプリ全盛の今だからこそ、地方振興&エンジニアネットワークの構築を

イベント

先日、FEJ青森支部で開催された「地域発!モバイルアプリビジネスへの挑戦」をテーマにしたイベントの様子

「八戸に戻ってきて今、2つのテーマで新しいチャレンジに取り組んでいます。
ひとつは今年春に、仲間と新たな会社を設立したこと。これまでと同じように業務系のシステム開発を東京から受注する一方で、スマホ向けのアプリやシステム開発を新たに手がけています。八戸でもスマホを活用したビジネスに関心を持っている企業が多くて、当社にも問い合わせが多く寄せられています。ニーズは高いので、あとはそれぞれの業種やビジネスにスマホを生かせる提案ができるか。そこに注力することで、ゆくゆくはスマホ?ビジネスをこの八戸から大きくしていきたいと考えています。

そしてもう一つは、青森のエンジニアの交流の場をつくりたいということ。そこで昨年末、Fandroid East Japan(FEJ)という、震災を機に設立された『東北を、スマートフォンアプリ開発の世界首都にしよう』というテーマで取り組む活動に参画して、青森支部を設立しました。

先ほども触れたように、八戸を含めた青森のエンジニアは、横同士のつながりが希薄であったので、FEJ設立を機に、スマートフォン向けアプリ開発を共同で取り組みながら、さらにビジネスとしても成立させられる仕組みを導入することで、地元エンジニアが参加しやすい環境づくりに取り組んでいます。
これまで仕事が選べず、やりたいことがあっても注力できなかったエンジニアの方に、FEJを通して自由なアイデアでやりたいことをどんどん形にしてもらいたいと思っています。もうすぐ青森発の最初のAndroidアプリが正式にリリースされる段階まで漕ぎつけました。

今後は、地元エンジニア同士のネットワークのさらなる拡大に取り組みつつ、地元志向の若いエンジニアや学生に活躍や就職の場を積極的に提供できるように、今取り組んでいる2つの事業それぞれで頑張っていきたいですね。」

アプリ

同支部が初めて開発・リリース予定のAndroidアプリ

地方を拠点したエンジニアの活動は今後ますます活発化


「青森での活動を今後さらに活発化させたい」と今後の活動について語る岡本氏

岡本氏が設立に深くかかわったFEJは、青森支部に続き年内に秋田支部や福島支部の設立も予定されていて、今後さらに活動範囲を東北全域に広げようとしている。

またほかにも地方エンジニアのネットワークづくりは盛んだ。例えば岐阜県大垣市にある「Mobilecore(モバイルコア)」では、スマートフォンアプリ開発の拠点として約150の企業が集結し、活動を展開している。
このように今、地方を拠点に、エンジニアが中心となって主にスマホ向けアプリ開発をテーマに活動を活発化させているのだ。

今回紹介した岡本氏のように、地方ならではのワークスタイルの良さを見出したり、これまでエンジニアにとってデメリットばかりが目立った地方でのネットワークの希薄さを、自分の力で少しずつ変えていこうとする姿に刺激を受ける方も少なくないはず。
地方からエンジニアとして自分らしい生き方を見つけたい方にとって、まずはFEJのような活動に参加してみることが、ひとつのきっかけになるかもしれない。

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