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JAWS-UGクラウド女子会、JAZUG女子部を直撃取材
IT業界にも女子部ブーム到来!?JAWS-UG女子会に潜入
IT業界にも女子会ブームが起きつつある。部署や会社の枠を越えた異業種交流会に発展するものや、製品のユーザーグループを中心にした勉強会の動きが盛んだ。今回はその勉強会に潜入し、女子会パワーに触れてみた。
(取材・文/広重隆樹 総研スタッフ/宮みゆき 撮影/佐藤聡)作成日:11.06.14
「砂漠でオアシスに出会ったような」──女子枠の設定で新たな出会いの場

 JAWS-UG(ジョーズ・ユー・ジー)はAWS User Group - Japanの略。AWSはもちろんAmazon Web Servicesのことで、アマゾンが提供するクラウドサービスの総称だ。AWSの各種サービスを実際のビジネスや開発環境などに活用するエンジニアが、基本的には個人ベースで参加するユーザーグループがJAWSなのである。そのJAWS-UG東京の第8回勉強会が女性参加枠を新たに設けたというので、Tech総研編集部は潜入取材を試みた。会場には約100人のエンジニアが集った。そのうち女性が15人ほど。たしかに通常のITイベントに比べ女性比率は高い。

 勉強会では、AWSのエバンジェリストとして知られる玉川憲氏(アマゾン データサービス ジャパン技術推進部長)が、東日本大震災で被災を受けた各地のサーバーを、リモートでスケールアップするなどしてその復旧に貢献したJAWSメンバーの活動を報告。また、AWS Cloud Formation など新機能のプレゼンテーションも行われた。

小室 文さん
システムエンジニア/フリーランス
小室 文さん

 会合への参加は通常、男女関係ないのだが、やはり現状ではAWSに関心をもつエンジニアは男性が圧倒的。JAWS-UGの例会は人気のイベントで、放っておくとすぐに男性でいっぱいになってしまうのだ。
そこで女子枠というのを設け、会場のキャパの都合で女性がはじき出されてしまうことをなくそうとしたのが、AWSのユーザー層を広げるために全国を駆け巡り、UGの世話人的な役割も果たしている玉川氏だ。

 玉川氏らは今年の例会から女子枠の設定を行い、講演やTwitterなどで熱心に女性の参加を呼びかけるようになった。「まず一度は参加して欲しい。女性がいるだけで、会の雰囲気は変わる。そこから何か新しい変化が生まれるのを期待した」と言う。

 そうしたアマゾンからの“仕掛け”を待ってましたと、受け止めた女性エンジニアがいた。小室文さんだ。Web開発、インフラ/クラウド構築などをメイン業務としているフリーランスのシステムエンジニア。彼女がリーダーシップをとって、JAWSの部会の一つとして「クラウド女子会」を結成。今年1月に女性だけで初めての会合をもった。

「IT業界には女性エンジニアが増えてきたけれども、比率的にはまだまだ男性優位。だからITのイベントなどで女子に会うと、まさに砂漠でオアシスに出会ったような感じがします。“あらっ、こんなところに、いたのね!”って、思わずすり寄って手を握っちゃう」と、小室さんは女性エンジニアとの出会いを語る。

 小室さんと共に、クラウド女子会で活動する大手メーカー勤務のITエンジニア、田部ちえみさんも、「会社では、なかなか出会えないんですよね、女性エンジニア。でもいったん外に出れば、出会う機会も増えます。女性同士だと話もしやすいし、仕事の悩みを打ち明けて、意気投合しやすいことはたしかです」という。

 最初は企業側の仕掛けが必要だったが、これは一種のアファーマティブ・アクションというべきだろう。弱者集団の不利な現状を、歴史的経緯や社会環境を鑑みた上で是正するための改善措置のことで、男女雇用機会均等法もこの一つだ。ただ、一度門戸が開かれれば、女性たちは生き生きと発言をするようになり、独自のネットワークで仲間づくりに励むようになる。その勢いがいまIT業界全体に広がろうとしているのだ。

田部 ちえみさん
ITエンジニア/大手メーカー
田部 ちえみさん
80人の女性が企業の壁を越えて集結。IT業界に新しい風が吹く
安東 沙織さん
NTTデータ・基盤システム事業本部所属
安東 沙織さん

「今度は78人も集まるんですよ。それも女子だけ!」
 と小室さんが強調したのが4月30日マイクロソフト品川本社で開かれた、「JAWS-UGクラウド女子会」と「JAZUG女子部」の合同勉強会だ。ITユーザーグループの女子会同士が手を組んだ画期的なイベントである。ちなみに、JAZUGはJapan Windows Azure User Groupの略で「Azure」とはマイクロソフトが提供するクラウドサービス「Windows Azure Platform」のこと。2010年1月の世界21カ国における正式サービス開始以来、徐々にユーザー層を広げている。

 合同勉強会のテーマはクラウド初心者向けを意識して「クラウドってそもそもなんなの?」というもの。クラウドビジネスの領域では、アマゾンとマイクロソフトは競合関係にあるが、実は中の開発者やユーザーたちは仲がよい。クラウド活用の底辺を広める必要性は両者とも一致する。「会社で使えと言われているがどこから始めていいか分からない」「クラウドがどのように仕事に影響を与えるか、ぴんと来ない」「会社やクライアントにクラウドを提案したい」というエンジニアの悩みは、男女問わず共通のものだが、今回は女性に限定して人を集め、エンジニア・スキルを広げようというのが勉強会の目的だ。

「JAZUGの女子部はまだスタートしたばかりで、人数もわずか。JAWSのクラウド女子会の活動を参考にしながら、私たちも勢力を拡大していきたいです」
 と言うのは、女子部をまとめる安東沙織さん(NTTデータ・基盤システム事業本部所属)だ。今回の合同勉強会にも見られるように、先輩の女子会が、後続の女子会活動をサポートする女性同士のコラボレーションが生まれようとしている。

 アマゾンの玉川氏とマイクロソフトの砂金信一郎氏という、クラウド界では知られた両エバンジェリストが競演するという目玉もあって、勉強会は盛況。女子会だからといって、男子に堅く門を閉ざし、スピーカーも女性限定である必要はない。むしろ素敵な男性エバンジェリストの話を生で聞いてみたいという女性の欲求自体は自然なものだ。そんなミーハー気分も、技術や製品に関心をもつきっかけとしては大切な要素なのだ。

 それにしても80人規模の会場が女性だけというのは、なかなか壮観である。スイーツ食べ放題のサービスや、女性用サニタリー用品などを被災地に送る震災支援の呼びかけが行われるあたりには、女子会ならではの雰囲気を感じた。

女性ユーザーは新たな金脈。女性視点に立つ企業が生き残れる?

 IT業界における女子会・女子部結成の動きが活発になったのは2010年前後からといわれる。最も早い部類に属する「日本Androidの会女子部」は2009年12月に発足している。現在は、「Android女子部」と名称を変え、すでに400名近い会員規模を誇る。同じ頃、Linuxユーザーの間にも女性エンジニアが集まる動きがあり懇親会を重ねてきた。2011年2月には「Linux女子部」がLPI-JAPANと翔泳社の協賛を受けて第1回の勉強会を開いている。

 女性たちの緩やかな連携を促したのはやはり、ブログ、Twitter、Facebook などのソーシャルメディアだ。今回の勉強会もTwitterで初めて知ったという人が何人かいた。勉強会の様子はTwitterのハッシュタグで共有され、Ustreamで中継もされる。

 女子会隆盛の背景には、製品やサービスを提供する企業の側の思惑もある。
「いまIT企業はそれぞれ製品やサービスに手詰まり感を感じているんじゃないでしょうか。それを突破するために、ユーザーとして女性を増やしたいということもあるし、プロダクツにも女性の視点を加えたものが欲しいと考えている。その両面でいま女性エンジニアは“金脈”の一つになっているんだと思います」
 と小室さんは指摘する。

 最近のAndroid女子会の勉強会に参加したという小室さんは、その様子をこう語る。
「Androidでもデコメールを使えるようにしたアプリの発表がありました。ガラケーだと普通にデコメがつくれるのに、Androidにはなかった。それが女性には物足りない。女性に受けるアプリが増えれば、Androidはもっと普及する。デバイスやサービスを開発する企業には、そうした女性視点をもっと強めて欲しいですね」

「クラウドで女子力アップ」も可能。ITにもっと女子の心と技を

 ITにもっと女子の心と技を持ち込む。こうした流れを、アマゾンの玉川憲氏はどう見ているのだろうか。
「IT企業の中で少数派として孤立している女性たちもこうして集まれば、言いたいこともいえるし、その柔軟な発想はこれからの企業のサービス拡充にも必ず反映されていくと思います。これからは、女性のもつしなやかさ、巧みなコミュニケーション能力、整理整頓好きといった特性で、エンジニアの作業環境を改善したり、ひいてはIT企業の製品戦略を変えていくことを期待したいものです」

 ITは他のモノ作り産業に比べれば、女性の進出度は高い業種だ。PCやネットワーク作業そのものは頭脳労働であり、肉体的な重労働とはいえないからだ。その反面、連日深夜におよぶ作業工程や、とりわけ冷房のガンガン効いた部屋で仕事をしなければならないサーバー・インフラの仕事など、女性の進出を阻ぶ要素もないではなかった。

 両方の勉強会でスピーチした、AWSの玉川憲氏にIT女子会の動きについて話を聞いた。
「クラウドはこうしたエンジニアの過重労働を解き放ち、もっとスマートに仕事ができるようにするために役立つものでもあるのです。クラウドを活用すれば在宅労働も夢ではありません。なによりクラウドは水道や電気と同じように使って欲しいサービス。使いたいときだけ使って、あとは切っておくという、女性のエコ感覚にマッチしていますしね。『クラウドで女子力アップ』なんて僕らは呼びかけていますけれど、女性エンジニアにはクラウドにもっと関心を持って欲しいし、実際クラウドを活用した開発にもどんどん参加してほしいと思います」

 近年は、IT企業もワークライフバランスを意識した採用戦略や業務改善を進めている。女性技術職の採用を増やし、女性の子育て支援策を充実することで、優れた人材を長期にわたって確保したいという狙いもある。そうした動きを働く側から後押しすることも、女子会のこれからの課題かもしれない。

 ちなみに、男性だけの勉強会と違うのは、事後報告で、講演の内容以上に「会場がきれいだった」とか、「お土産のお菓子が美味しかった」とか、イベントの雰囲気も重視されるそうだ。男性ばかりの勉強会だけではいつまで経っても気づけなかった、これは重要なポイントではある。

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