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「Mashup Awards 7」から生まれたIT業界を盛り上げる女子コミュニティ「MUP48」と、Tech総研が開催したIT女子会。今回は広瀬香美さんをゲストに迎え、Twitter、Facebookや動画など、ITツールを使った自己表現などをテーマに座談会やライトニングトークを実施した。
(取材・文/ぱうだー 総研スタッフ/宮みゆき 撮影/佐藤聡)作成日:11.11.23
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最近、IT業界でも女子会が盛り上がっている。ソーシャルメディアの登場で、女性も組織を超えてつながる場が増えたことが大きな要因の一つ。これまで男性中心だったアプリ開発が、女性目線を取り入れることで、市場で新たなビジネスチャンスをつかもうと動きだす企業も出始めている。これからますます活躍の場が広がるIT女子を応援すべく、Tech総研が開催した第一回。ゲストに広瀬香美さんをお迎えし、ITプラットフォームでの自己表現や日常生活でのIT活用事例などをテーマに開催された。
株式会社リクルート
岩根 敬子さん |
今回、IT女子会を企画・運営したのは、日本最大のwebアプリ開発コンテスト「Mashup Awards 7(MA7)」から生まれたIT女子のコミュニティ「MUP48」だ。Mashup Awardsは今年で7年目を迎え、応募作品数は順調に伸びているものの、これまで女性の参加者はほとんどなかった。そこで今年は「コミュニティもMashupしよう」という事務局の発案で、IT女子を盛り上げ横のつながりを作るMUP48が誕生した。 「MUP48」を構成するのは、ジオガールズ、スマホガール、mixi Girls Hackathon、Android女子部、GTUG Girls、Mashup女子部他、現在約60名。Webアプリのアイデアを考えて作ったり、ごはんを食べながらの情報交換会などの活動が繰り広げられている。今回のイベントではまずその活動の一部が紹介された。 |
「mixi Girls Hackathon」は、mixiプラットフォーム(mixi Graph API、mixiアプリAPI 等)を使って、アプリやサービスを作るIT女子のためのイベントだ。8月6日には、mixi API SDK for Android™ を使って、簡単にAndroidアプリを作ってみる「第一回mixi Girls Hackathon featuring Android女子部♪」が開かれ、19人のIT女子が参加した。テーマは「女性が使いたくなるアプリ」。会場ではまずSDKに関する講義を受け、参加者でランチを共にした後、初対面のメンバーを含む3〜5名のチームに分かれて3時間のコーディング大会(Hackathon)を行った。イベントの最後には、Hackathonで作られた10個のアプリの観賞会が行われた。 |
mixi Girls Hackathon
株式会社ミクシィ 鈴木 理恵子さん |
ジオガールズ
沼尻 麻衣さん |
MUP48を構成するジオガールズは、ジオメディア業界最大のイベント「ジオメディアサミット」で誕生した3人のアイドル(ジオドル)から始まった。現在メンバーは7名。ジオ系サービスの楽しさ・便利さを普及させるため「ジオガールズ」として活動している。メンバーはジオ系サービスが大好きなエンジニア・デザイナー・プランナーの女性で構成され、ブログやジオメディアサミットなどを通じて積極的に情報発信をしている。ジオガールズブログでは話題のジオ系サービスや人気アプリの紹介、女性の視点からみたチェックイン、鉄道についても取り上げている。現在、ジオメディアに興味を持ってもらうための女性向けイベントも検討中だ。 |
壇上にはモデレーターを含めMUP48の代表メンバーが4人。そこに大きな拍手に迎えられ広瀬香美さんが登場し、座談会がスタートした。昨年の「Mashup Awards 6」で審査員を務めた広瀬香美さんだが、Twitterやブログを初めたのは2年前から。それまでITといえばメールやYahoo!トップをみたりする程度だった。Twitterを通じておもしろいアプリやイベント情報をおしえてくれる人達とつながり、どんどんITの魅力にはまっていった。
最近ではUSTREAMで毎週金曜日の9時から「Friday Kohmi」という番組を生放送している。また、Facebookではアーティストページと個人ページをもち、ソーシャルメディアを楽しむ日々を送っている。最近、親友の勝間和代さんに「早くGoogle+を始めないと乗り遅れる!」と言われているが、現状のTwitter・ブログ・Facebookで手一杯でなかなかたどりつけないという。
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広瀬 香美さん |
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モデレーター 田中 里実さん |
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パネラー 岩根 敬子さん |
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パネラー 森下 麻由美さん |
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パネラー 辰巳 ゆかりさん |
岩根 |
一般の方に比べると、広瀬さんがTwitterを始めたのは早いですよね。きっかけは何だったんでしょうか? |
広瀬 |
親友の勝間和代さんの紹介です。当時ブログだけでも大変だったんですが、勝間さんと話しているうちに「今はTwitterだよ。絶対やったほうがいい」と1万回くらい言われて(笑)そんなに言うならやってみようかと。Twitterはアカウント登録が簡単だったので早速「こんにちは。本物の広瀬香美です」ってつぶやいたら、すごい反応がきてびっくり。それからですね、Twitterにはまったのは。 |
岩根 |
毎日たくさんつぶやいていらっしゃいますが、Twitterでの失敗談などは? |
広瀬 |
どんなに気を配っても受け手によって傷つく言葉は違うので、後からはっと気付いて後悔することはあります。ああ、38万人につぶやいちゃった!って。そういうときは、心で「ごめんなさい」と言いながらスルーしています。 Twitterの使い方には2つあると思うんです。例えば勝間さんは真面目だから、Twitterで反論や忠告を受けるとそこで議論するんですよね。でも私にとって、Twitterはマーケティング調査の場。TLは読み物・生き物としてみているので、すべてが貴重な意見。つぶやきに反論したことはありません。Twitterはいまみんなが何に興味を持っているのか、ささやかな本音のつぶやきがまとめられた雑誌のよう。歌詞のヒントにもなりますし、教えられることも多いです。 |
森下 |
ブログ、Twitter、Facebookを使い分けるポイントは? |
広瀬 |
ブログは記事・日記ですね。いま私はこう考えている、これからこうしようと思っているということを整理して発信しています。Twitterは『ねむい』『つらい』なんていうことも言えちゃう、ちょっとリラックスした私と受け止めていただけたら嬉しいですね。 |
田中 |
Twitterをやっていてうれしかったことは? |
広瀬 |
私が毎週水曜日の22〜24時にやっている「オールナイトニッポンGOLD」というラジオ番組で、昨夜今期の新曲をオンエアしたんです。するとTwitterですぐ反応がきました。ブログは公式なので、コメントもいいことばかりになりがちですが、Twitterなら『今年の曲は暗めだね』なんていうネガティブな意見も曲を流してから30秒で見ることができるし、ファンじゃない方の感想も分かる。素晴らしいマーケティング材料です。本当にありがたいと思います。 |
田中 |
創作活動にTwitterを活かすことも? |
広瀬 |
Twitterを始めてから、みなさんの顔が見える作品づくりになりました。今までリスナーのみなさんの意見はスタッフ経由だったので、私が直接触れることはできなかったんですよね。Twitterでみなさんの日頃の生活が少し見えるようになったことが、作品づくりに影響していると思います。 |
辰巳 |
プロのクリエイターとして、USTREAMやニコ生で、一般人の表現活動を見ることはありますか? |
広瀬 |
ニコニコ動画大好きです(笑)。TwitterのTLで流れてきたUSTREAMもチェックします。ネットの動画は、自分がはまるものを深く掘り下げていけるのがいいですね。TVはほとんどみません。マスメディアも楽しいですが、私達の心のツボをくすぐる番組はネットの方が多いような気がします。自分で好きな動画を探し当てる場所があるのは幸せなことですよね。いろんな人が好きなことを勝手にやっている動画を、どこからでも無料で見ることができる時代は刺激的だと思います。 |
岩根 |
USTREAMやニコ生ができて、ステージに対する感覚は変わりましたか? |
広瀬 |
パフォーマンス自体はどの場所でも変わりませんね。USTREAMだから適当でいいや、なんてことはありません。でもニコ生はノリノリなので、みんなのコメントがすごい。勢いのあるメディアだと思います。ニコ生に比べると、USTREAMの方が視聴者との距離感があるかな。ニコ生よりじっとみている人が多い印象です。ニコ生はみんなが参加して、かじりついてみている感じがします。マスメディアと違い、ネットは視聴者との距離が近いからこそ、本番力が試される。視聴者を動かそうとしたら人間力が試される。普段の勉強量、考えていることがわかってしまうんですね。失敗したらすぐ反応が返ってくるので恐い面もある。面白いと思います。 |
辰巳 |
女性の先輩として伺いますが、こうして広瀬さんが積極的に情報発信を続けられるモチベーションは何ですか? |
広瀬 |
やっぱり好きだからですね。嫌いだったらいくら仕事とはいえ、朝から「おはよう!」なんてつぶやかないと思います(笑)。2年前にTwitterを始めてから、自分がIT好きだと気付いていまでは週刊アスキーに連載を持つまでになりました。アスキーでは社員・スタッフがみんな私の先生で、いろんなことをプレゼンしてくれるので頭でっかちになっちゃいました。いろいろ知りすぎちゃって、スマホもまだ買えないんです(笑)。 |
田中 |
スマホにあったらいいなと思う機能ってありますか? |
広瀬 |
スマホって内臓の一部みたいな感じでしょう?これからはどこでもスマホがあれば何でもできるようになっていくんでしょうね。できればもっとピンクや赤で、キラキラかわいいデザインのスマホを出してほしいな。そしてかわいいアプリを、たくさんダウンロードできればいいですね。 |
森下 |
ところで勝間さんとの接点はどこだったんでしょうか? |
広瀬 |
勝間さんは、もともと私のコンサートによく来てくれてたんです。私も勝間さんの本はたくさん読んでいました。ある時スタッフから今度のコンサートにこられると聞いて、ぜひお会いしたくて楽屋にお呼びしたんです。最初はあのテンションの高さにびっくりしちゃって(笑)。その後、お互いの家がたまたま近かったので、よく食事に行くようになりました。「ブログを始めたいんですけど、どのサービスがいいか教えて下さい」という話から仲良くなっていきました。勝間さんはITの新しいことを次々と提案してくれるんですけど、不思議とアレルギーはなかったですね。私がもともと臆病じゃなくて、何でもとりあえずやってみよう!と思う性格なのがよかったんだと思います。 |
田中 |
広瀬さんはITを活用して、社会にメッセージを発信し続ける私たちの理想像。IT業界にいる私たち、女子に何かアドバイスはありますか? |
広瀬 |
私はこれまでずっと自分がいいと思った音楽を黙々と練習し、技術を磨いてアウトプットしてきました。時代の波に流されてしまうとその先はない。今はないもの、今は変だと思われているもの、今は人気がないものに特化して、勝負をかけて進んでいくことだと思います。時代の先端を歩くためには、そういうことが必要なんです。 みなさんが仕事や遊びで追求していることがいろいろあると思いますが、自分たちが楽しければどんどんやってほしい。それが未来を創ります。時代に合うかどうかなんて関係ない。みなさんが楽しんでやっていることは、みなさん自身にとってのダイヤモンド。もしかしたら将来億万長者につながることかもしれない。いえ、億万長者になるなんて小さいこと。「夢を」掲げて頑張って欲しいですね。 |
大盛り上がりの内に終了した公開座談会。会場では広瀬さんのユーモアを交えた深みのある言葉ひとつひとつに、IT女子たちが大きくうなずいていた。TwitterやFacebook、ニコ生などソーシャルメディアをファンとのコミュニケーションツールとして活用している広瀬さんだからこそ、IT女子がこれから創る未来に大きな期待をかけている。またこれまで好きなこと、やりたいことを実現するために努力し、成し遂げてきた広瀬さんによる「若い女性を応援したい」というメッセージは、参加者の心に深く響いたようだ。
「ITプラットフォームでの自己表現や日常生活でのIT活用事例」をテーマとしたライトニングトークに、今回MUP48のメンバーが初挑戦。会場のあたたかい雰囲気の中で、プレゼンテーションが行われた。さすが準備を怠らないIT女子。初めてにしては、十分聴衆の興味を惹きつける内容に仕上がっていた。
「IT女子的情報収集ライフハック」 |
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「おでかけをもっと楽しく!ジオメディア入門」 |
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「ソーシャルメディアを使って人生を楽しむ女子たちのコミュニティ」 |
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IT女子会イベントの最後を飾る懇親会には、IT業界の著名人が多く訪れることで有名な六本木のawabarより、スパークリングワインをご提供いただいた。テーブルごとにボトルのコルク栓を開けるポンッという心地よい音とともに、会場に集まったみなさんで優雅に乾杯。会場のあちこちで名刺交換や歓談が盛り上がった。
普段こうして会社の垣根を超えて集うことが少ないIT女子だが、やはりそこは同業者、打ち解けるのは早いようだ。女性が少ない職場で働いている方が多いためか、業界の話や自身が所属する企業での女性の待遇・活躍についての情報交換が盛んだった。普段なかなか会えない人と名刺交換ができる貴重な人脈形成の場、女性ならではのキャリア形成に役立てようとする方も多かった。先輩IT女子に、ビジネスや女性としての成功の秘訣を熱心に学ぶ若手の方々も見受けられた。
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