
![]() |
|||
|
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
今回の調査対象は、30代のエンジニア832名。職種はソフト・ネットワーク系(以下、ソフト系と略す)、電気・電子・機械系(同ハード系)をそれぞれ10職種、計20職種に細分化している。Tech総研がこれまで行ってきた年収やボーナス調査では、職種別の差異は明らかであり、より高度な専門技術を必要とし、かつ労働市場における稀少性の高い職種のほうが、そうでないものに比べると平均年収は高いということが一般的にいえる。30代の場合はどうなのかをあらためて見てみよう。 |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
まず、30代前半(30〜34歳)のソフト系の全体の平均年収は553万円だ。ただし、より細かく見てみると、同年代でも給与の差異は明らかになる。 ソフト系の中で年収600万円を超えるのは、「コンサルタント、アナリスト、プリセールス」(629万円)、「システム開発(マイコン・ファームウェア・制御系)」(614万円)、「ネットワーク設計・構築(LAN・Web系)」(647万円)、「研究、特許、テクニカルマーケティング、品質管理ほか」(625万円)、「通信インフラ設計・構築(キャリア・ISP系)」(640万円)の5職種。 反対に、500万円未満の職種は「パッケージソフト・ミドルウェア開発」(497万円)、「運用、監視、テクニカルサポート、保守」(495万円)の2職種だ。 最高値を示した「ネットワーク設計・構築(LAN・Web系)」(647万円)と最低値の「運用、監視、テクニカルサポート、保守」(495万円)の年収差は152万円あり、その差は23.5%に達する。一口にソフト系エンジニアといっても、技術や知識の専門性の高さ、企業収益の寄与度、人的資源の稀少性などによって、職種間の格差が生まれているとみてよい。 これまでの調査では「コンサルタント」を含む職種分類がダントツに高い年収を示す傾向が見られたが、今回は「ネットワーク設計・構築(LAN・Web系)」がコンサルタントを超える結果になった。企業のITシステム投資が、社内LANやインターネット、Webなどに重点的に行われている状況を反映しているといえるかもしれない。 |
![]() |
![]() |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
![]() |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
次に30代前半・ハード系の平均は551万円。同年代のソフト系との差は約2万円とほとんど差がない。ハード系は自動車、エレクトロニクス、メカトロニクスなど製造業の好調を反映して、近年のボーナス調査などでは、ソフト系職種を上回る数字を出してきている。しかし、今回の年収調査ではほぼソフト系と同じということになった。 ハード系で年収600万円を超えたのは「研究、特許、テクニカルマーケティングほか」(628万円)、「生産技術、プロセス開発」(640万円)の2職種となった。逆に、500万円未満の職種は「サービスエンジニア」(475万円)、「品質管理、製品評価、品質保証、生産管理」(488万円)である。 最低年収では200万円という回答も散見される。昨年の国税庁調査で年収200万円以下の人が1000万人を越えたことが話題になり、給与格差社会の現実があらためて問題になったが、今回のエンジニア調査でもその一端が浮き彫りにされている。30代前半で年収200万円というのは明らかにアルバイト、パート、臨時雇いなどの非正規雇用であろう。非正規雇用が20代の若者だけの問題ではなく、30代でも拡大していることを想像させるデータではある。 |
![]() |
![]() |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
![]() |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
30代後半(35〜39歳)になると、ソフト系の平均年収は662万円(30代前半から19.7%アップ)、ハード系が625万円(同じく13.4%アップ)と、ソフト系とハード系の差は、ソフト系が37万円高く、その差は30代前半層よりも広がっている。30代前半から後半へのアップ率でもソフト系がハード系を上回る傾向が、30代後半で顕著になった感じだ。 20職種の平均年収ランキングは、30代前半層とはまた異なった顔ぶれだ。700万円を超える職種はソフト系では「コンサルタント、アナリスト、プリセールス」(841万円)、「運用、監視、テクニカルサポート、保守」(837万円)、「通信インフラ設計・構築(キャリア・ISP系)」(738万円)の3職種、ハード系では「セールスエンジニア、FAE」(834万円)、「生産技術、プロセス開発」(700万円)の2職種だった。 平均年収の最高値と最低値の差は、「ソフト系で269万円、ハード系で266万円となり、30代前半よりも開いている。一般に、30代後半は職種や所属企業の規模によって所得格差が拡大する年代とされるが、その傾向は今回の調査にも表れているようだ。 |
![]() |
![]() |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
![]() |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
![]() |
![]() |
![]() |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
![]() |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
こうした年収が基準時間内の労働およびボーナスによってのみ構成されているのであれば、それはそれでゆとりある生活といえるかもしれない。しかし、実態はといえば、多くのエンジニアは月数十時間から多い人では200時間に達するような休日出勤・残業をせざるをえない。「心底仕事が楽しいので」残業を厭わないという人もなかにはいるだろうが、多くは、仕事の負荷をこなすには残業せざるをえなかったり、年収の目減りをカバーするためには残業代で稼ぐしかない、というのが実態ではなかろうか。 そこで今回の調査では残業時間にも目を向けた。月々の残業代は30代前半のソフト系が約4万9600円、同ハード系が6万2000円。これを12カ月分掛け合わせれば、60〜75万円ほどを残業で稼ぐことになる。先に見たとおりハード系30代前半の平均年収が551万円であるから、年収の13%は残業代によるものということができる。 残業代は30代前半から後半にかけて増大する傾向も見られた。30代後半のエンジニアの残業代はソフト系で約6万9000円、ハード系で約8万1000円に達する。残業代は1時間あたりの通常賃金に一定の割増率をかけて算出されるため、基本給が加齢と共に上がれば残業代単価も上がることになる。とはいえ、今回の数字──30代前半から後半にかけての残業代の増加は、単純に残業代単価が上がったためではなく、残業時間が増えていることの表れであろう。 月々の平均残業時間というデータでも、月50〜60時間の残業をする人が、各年代に35〜38%程度存在する。60時間以上の残業も2割程度は経験している。 最近の企業は残業代削減策を強めている。残業代の未払いは問題外としても、残業そのものの規制強化や、裁量労働によるみなし労働時間制の導入はエンジニア職種でも進んでおり、またホワイトカラー・エグゼンプションの導入に本音のところでは賛成する企業も少なくない。 そのため残業代への依存率は今後減ることが予想されるが、それでも現状では、残業代がまったくナシの生活設計は難しい。「残業は少ないに越したことはないが、それで年収が1〜2割も減るのは勘弁してほしい」という声が聞こえてきそうである。 |
![]() |
![]() |
![]() |
||
![]() |
|
![]() |
||
![]() |
![]() |
![]() |
このレポートの連載バックナンバー
エンジニア給与知っ得WAVE!
キャリアプラン、ライフプランの設計に「お金」の問題は欠かせません。エンジニアのお金に関する疑問に独自調査データとトレンド情報でお答えします。

このレポートを読んだあなたにオススメします
「年収にはこだわってない」「今すぐ転職する以外考えられない」
年収250万円未満で働く30代エンジニアの胸の内
これまでTech総研では、アンケート調査を元に職種別、地域別、年齢別などさまざまな観点で、給与データをご紹介してきた。しかしデー…

今月のデータが語る エンジニア給与知っ得WAVE!
年収一挙公開!大手VSベンチャーどっちが給料多い!?
「大企業は高給与、中小はそれを超えられず、ベンチャーは不安定」──企業規模による給与・年収の格差については、こうした図…

エンジニア給与知っ得WAVE!
30代エンジニア2180人に聞いた平均年収の実態と満足度
エンジニアとしてのキャリアを重ね、転職市場価値も上がってくる30代前半。だが、勤務先や職種などによって、年収格差も顕著…

エンジニア給与知っ得WAVE!
節約と副業で不況を乗り切る!エンジニア的マネー術
久しぶりに「人員リストラ」という言葉を聞くようになり、エンジニアも自らの雇用に不安を抱える。グローバルな金融危機や急速な円高が、…

エンジニア給与WAVE!
エンジニアの給与にも地域間格差は本当にある?
なにかと話題になる給与の地域間格差。Tech総研では、エンジニア年収の地域ブロック別比較調査を行った。関東が全体に高い数字を示す…

あなたのメッセージがTech総研に載るかも
