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“走り”だけじゃない!快適さと地球環境の融合を目指す スバルが生まれ変わる!即戦力を求める富士重工の真意
その力強い走り、独自技術へのこだわりから、コアなファンも多い自動車メーカー、スバル(富士重工業株式会社)。そんな同社が、新中期経営計画に則り、中途採用を強化している。その背景と人材ニーズを取材した。
(取材・文/川畑英毅 総研スタッフ/宮みゆき)作成日:07.11.21
Part1 採用背景 「気持ちよい走り」と地球環境の融合をテーマに
“ひと味違った走り”に魅力の会社
 戦前・戦中、日本屈指の航空機メーカーだった中島飛行機。その血を受け継いで誕生した富士重工業は、「スバル」のブランド名のもと、戦後、数々の名車をこの世に送り出してきた。
 現時点では世界でもポルシェとスバルのみで使われている水平対向エンジンを核とした駆動系、「シンメトリカルAWD」など、独自の技術を誇り、ラリー選手権での幾度ものタイトル獲得も手伝って、世界的にも高い評価を得ている。他社製のクルマとはひと味違った力強い走りに魅力を感じるユーザーは多く、「スバリスト」と呼ばれるほどの根強いファン層をもつのも、この会社ならではの特色だ。
 そんな同社が、今年2月に発表したのが、「2007・2010 新中期経営計画」。今年度から4年間を対象とし、2010年度での出荷台数683千台の実現、連結業績で営業利益率5%レベル、ROA(総資産利益率)7%レベルの達成を目指している。
「スバルらしさ」をさらに強化・発展
 新中期経営計画では、「お客様第一」を基軸として、特に次の5点を重点取り組み課題として掲げている。
 特に「スバルらしさ」のなかでも商品・技術に関しては「『気持ちよい走り』と地球環境の融合を実現」を目標に、この新中期経営計画の期間中、水平対向エンジン搭載車の新型シャーシを逐次投入するとともに、ディーゼルエンジン、環境対応パワーユニット、次世代ADA(先端運転支援システム)の順次投入・拡大を目指す。
 こうした新たな展開のためにも、即戦力となる人材の強化は欠かせない。これが、スバルがエンジニアの中途採用強化に踏み出した背景だ。
スバルの取り組み課題 1.スバルらしさの追求 2.グローバル視点の販売 3.品質・コスト競争力の強化 4.トヨタ提携効果の拡大 5.人材育成と組織力の強化
Part2 <ボディ設計部門> “走り”に快適さと環境への配慮を
  新しい魅力を開拓できる人材が欲しい
「今まで『スバル』といえば、まず“走り”のイメージが強かったと思います。もちろん、それは当社の大きな魅力なのですから、それはそれで、今後もしっかりと伸ばしていきたい。単に“よく走る”のではなく、安全に、楽しく、『快適に』走る。その中身にはいろいろバリエーションがあると思います。

  加えて、環境への対応・配慮も、新中期経営計画の中で取り上げられている大きなテーマ。それも単に各国の規制をクリアするというのではなくて、より積極的に、快適な走りとの融合を目指したい」
 と語るのは、スバル技術本部・技術管理部部長、高橋正士氏。

  スバルの“走り”へのメカ的なこだわりは、広く認知されているところ。任される仕事の広さに魅力を感じるエンジニアも多いだろう。しかしこれからは、加えて、「新しいスバルの魅力」を開拓していく部分に知恵を絞ってくれる、そんな人にこそ来てほしい、という。

「スバルには、まずコア技術として水平対向エンジンの『シンメトリカルAWD』がある。単にそれがユニークだということではなくて、そのポテンシャルをさらに伸ばしていきたい。
 一方で、東京電力との共同開発による電気自動車など、新たな取り組みも始まっています。電気自動車は将来に向けての有力な動力源でもあります。かといって、先行他社と同じことをしていたのではダメ。やるからには、『やっぱりスバルだね』と、ユーザーに納得していただけるものを作りたい」(高橋部長)
スバル技術本部
技術管理部 部長
高橋正士 氏
高橋正士 氏 技術を商品として具現化する力
 もちろん、“いいモノ”を作るだけなら、お金をかければいくらでもできるかもしれない。しかし商品として世の中に出していく以上、コスト意識を持って、それを図面に落とし込んでいく技量が求められる。
「それを最初からもっていてほしいというのは贅沢ですが、少なくとも、『技術を商品として実現する』ことに喜びを見いだしてほしい」と、高橋部長は語る。
「ボディ部門に限ったことではありませんが、入社してしまえば、新卒採用で入った人も、中途採用の人も分けへだてはしません。それなりの経験を積んだ人であれば、すぐにでも設計に携わってもらいます。
 当社の規模では、過去、フルモデルチェンジがない年というのもあったのですが、最近は年に1度は出すペース。それだけに、最初から力を発揮してもらうつもりです。

 会社の規模とも関わりますが、『スバルはエンジニアの守備範囲が広い』とよく言われているようですね(笑)。実際に、ある部品の担当であっても、その設計だけやっていればいいというのではない。関係するあちこちへの手配もしなければならないし、試作・製作の部門に直接出向いてチェックもします。一人何役もの動きをしなければならないのは大変かもしれないけれど、それだけにやりがいは大きい仕事だと思いますよ」
ボディ採用担当者が語る!こんなエンジニア人材がほしい
広い範囲で即戦力を求む!
 ひと言でボディ設計と言っても、その部門が手掛ける範囲は広い。まずは車体構造設計。そして、バンパーやミラー、ランプ、ガーニッシュ(装飾部品)など、金属以外にも樹脂などさまざまな素材を手掛けることになる外装設計。そして、シートやトリム(内張)、インパネなどの内装設計。これら全般で、即戦力となり得る人材を求めているという。

「車体構造設計、いわゆる車体の板金設計はこの業界独特の技術なので、市場自体に人材は不足気味。内装では、空調以外はほとんど人が足りていない状態です。電子電気では制御系、つまり次世代ADA(先端運転支援システム)開発にからんで、今後さらに人材が必要になってくる可能性が高い。
一部、評価試験等の経験者も欲していますが、おしなべて各分野での設計者を主に、中途採用を考えていきたいと思っています」(スバル技術本部 井上氏)
同業界経験者が中心だが一部異業種も
 求めているのはやはり“即戦力”だけに、自動車業界で実際にボディ関係の設計に携わった経験者が中心となる。
井上 雅一氏
スバル技術本部
技術管理部 第1管理課 課長
井上 雅一氏
「完成車メーカーでの勤務経験者はもちろん、部品メーカーである部分を専門的に手掛けていた人、あるいは派遣エンジニアとしてメーカーで働いていた人などが中心になると思います。
 特に現在30歳前後の方の場合、就職難の時代で、もともと自動車メーカーで働きたい希望をもっていながら新卒時には果たせず、関連の部品メーカーや派遣会社等で働いている方もいるのではないでしょうか。『今の仕事でも頑張っているけれど、できればやっぱり自動車メーカーで!』という思いがあるなら、ぜひ門をたたいてみて欲しい。

 異業種からの転職については、これまではそれほど採用の経験はないのですが、特に電子電気関係では、例えばディスプレイを設計していたとか、車の内装・制御に関係する技術の持ち主なら、分野の責任者を連れて面接に臨みたいと思います」(スバル技術本部 井上氏)
Part3 <パワーユニット>「ユーザーの心に刺さる」クルマを出したい
  自分のアイデアが“かたち”になる
 所属しているエンジン設計部は、エンジン全体のデザイン・設計を行い、それを一個一個の部品に落とし込んでいく。サプライヤとの折衝、関連各部門との折衝を行い、開発日程全体を管理するのも重要な役目。つまり、エンジン開発の指揮を執っている部署と考えてもらえばいいと思います。

 現在は先行開発チームに属しています。ここは、まだそれを搭載して売り出す車などは決まっていないエンジン――例えば5年先といった将来を見据え、スバルとして次の方向性を探るような、そんな新しいエンジンを開発していくチームです。私はそんななかで、ブロックヘッドなど、エンジンの核となる部品群の検討・設計を行っています。

 出来上がったエンジンはテストベッド上で試験し、その構造で世の中に出せるモノなのかどうか――性能はもちろん、信頼性や耐久性、環境への配慮など、時代の要求に則したものなのかどうかを見極めます。それが要求をクリアしたものであれば、そこに導入された新しい試みが、実際の車のエンジンに活用されていくわけです。

 この仕事の面白さは、やはり「自分でデザインできる」という点に尽きますね。最初から形は決まっていて、その数値を出して材料を発注して終わり、などという仕事ではありません。望む性能を発揮させるには、どんな形がいいのか……。もし、私以外の人が担当すれば、出来上がってくるのは当然別の形になっているでしょう。
技術本部
エンジン設計部
長島正晃 氏
長島正晃 氏 本当にクルマが好きな人が集まる会社
 スバルという会社は、確かに自動車メーカーとして、それほど規模は大きくない。けれど、だからこそ大メーカーの車に対しては“常に勝負”。チャレンジャーであることが、会社の、そして働く我々の共通の姿勢です。私自身もそうありたいと思っていますが、「こうしたいんだ、こう変えていきたいんだ」という熱い思いがある人ほど、ウチの会社には合っているんじゃないかな。

 社内の空気も比較的自由。もちろん目上の人に敬意を表するのは当然としても、ガチガチに敬語の雰囲気ではなく、提案も話しやすいし、聞いてくれる耳もある。休み時間でも、つい“車論”が始まってしまう(笑)。他社からでも注目の新車が出ると、「アレはこう思う」と熱中。本当に、みんな車が好きでやっているんだなあと実感しますし、経験の少ない人は、そんな会話からも学ぶことができる。新しいアイデアのヒントが、そこから出てくることだってあります。我々が作っているのは確かに“機械”。とはいえ、やはり“人と人とのつながり”があってこそ、生み出されるものなんですよ。
パワーユニット採用担当者が語る!こんなエンジニア人材がほしい
「何かを成し遂げた」経験を重視
「キャリア採用なのですから、一つでも二つでも、『何かを成し遂げた』という経験をもつ人が欲しい。
 技術の仕事をしていれば、どうしても壁に突き当たることがある。そんな壁を越えたところに、新しい世界が開ける……。実際にそんな経験を持ち、その感覚を覚えている人は、どこに行っても通用するのではないかと思います。面談のなかで、自分はこんなところに強いんだとアピールしてもらえれば、なるべくその希望に合わせていきたいとも思っています」

 パワーユニット部門で求める設計者の資質について、技術管理部第二管理課課長 飯野龍雄氏はこう語る。
 水平対向エンジン、AWD、エンジンとミッションの縦置きレイアウト、さらには新世代のディーゼルなど、特色ある技術を誇る同社の駆動系だが、
「自動車業界での専門の経験を評価するのはもちろん、例えば造船等でも、開発・設計に携わった経験は生かせる場合が多々あると思う。
ただ、やはり設計の仕事なのですから、図面の描き方の経験は重視します。当社で使用しているCADはCATIAですが、CATIA以外でも、CADを使いこなした経験があれば、それなりにスムーズに移行できるのではないかと思います」(飯野課長)
飯野龍雄 氏
スバル技術本部
技術管理部 第二管理課  課長
飯野龍雄 氏
乗る人の快適さをイメージできる人を
 特にパワーユニットに限って見ても、それはさまざまな技術の集合体。それだけに、大メーカーではますます仕事は細分化される傾向にある。
「しかし、これはボディ部門も同様でしょうが、ウチの場合は一人に任せる仕事の範囲が広いと、中途入社してきてほかを知っている人からはよく言われます」(飯野課長)

 設計者の主たる仕事は、CADを使って図面を描くこと。しかし、ただ端末に向かっていればいいというのではなく、時には製造現場に行き、時には実車に乗って自分の体で確認しながら、またその結果を図面にフィードバックさせていく。
「もちろん幅だけ広くて中途半端、というのではありません。ここをもっと突き詰めたい、というこだわりは、とことん追求して欲しい。早く仕事を覚えたい、自動車のスペシャリストになりたいという人には、うってつけの職場ではないかと思います」(飯野課長)
Part4 職場環境 車への「熱い想い」のあふれる職場
 取材を通し、ボディ部門、パワーユニット部門、双方で口を揃えて言っていたのが、スバルの技術者一人ひとりの「仕事範囲の広さ」。それは本文にもあるように、企業規模とも関わっているのだが、それだけでなく、そのこと自体にやりがいを感じる技術者が集まっている会社なのだという雰囲気を濃厚に感じた。
「ウチは本当に車好きが多い。普通に“車が好き”程度だと、かすんでしまうくらいですよ」(技術管理部部長 高橋氏)

 そんな思いに裏打ちされた車を、これまでも数多く送り出してきたスバル。
「時には、『あの会社は技術が強すぎる』なんて言われることもあるんですが(笑)、確かにこだわりを持った人間は多いと思う。それが行き過ぎてはだめだけれど、そんな“こだわり”の個性は、これからも活かしていきたい」(高橋氏)
 そんなスバルの新しい挑戦に「我こそは」と思う人は、ぜひその募集をチェックしていただきたい。
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