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ブロードバンドや携帯電話の普及により、企業情報システムのトランザクション数は年々、増加している。そのシステムの中核を占めるデータベースは、増加するトランザクションを高速に処理することに加え、高い拡張性と可用性を確保することが求められている。その課題を解決する技術の一例が、グリッド・テクノロジーやインメモリ・データベース(DB)である。 |
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一般的にDBは使用しているとデータ増加やフラグメントなどで性能が劣化していく。有馬さんはDBの設計はもちろんのこと、SQLやプログラムの書き方についても詳細に規定して、安定した性能が出せるように心がけたという。さらに高速な設計をするために採用したのが、インメモリDBである。
「採用するにあたり、いくつかのインメモリDBを検討したのですが、検証に必要な十分な期間がなかったので自作することにしました。今の部署は何でも自分たちで手を動かしてつくる文化なんです。こういう機能のプログラムが欲しいと思えば、自分でプロトタイプをゴリゴリとつくって検証します。最適なものを見つけるためには決して妥協しないマインドが大切ですね」 当初は50万ユーザーで設計したDBだが、着実に増加し、今年度末には2000万ユーザーにも達する見込みだ。将来の拡張を想定してDBをグリッド化する仕組みも、スクラッチで開発しているという。 「DBの設計で大事なのは、I/OとCPU、ネットワークのバランスをとることです。例えばCPUとメモリを大量に搭載すれば性能を上げることもできますが、障害時のフェイルオーバーに非常に時間がかかってしまったりします。すべてのバランスが取れた最適な設計をいつも目指しています」 今ではDBベンダーの技術者からも問い合わせがくるという。それだけのスペシャリストになれた秘けつについて、有馬さんはこう話す。 「常に楽しんで、技術に触れてきました。新しい技術に触れるときは今もドキドキします。きっと仕事だと思っていないからなんでしょうね(笑)」 |
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無線LANの規格であるIEEE802.11が標準化されたのは1998年。当時はまだ2Mbpsと低速かつ機器間の相互接続性も保障されていなかった無線LANだが、この9年間で高速化が図られ、来年春以降には実行速度100Mbps以上のIEEE802.11nが策定予定だという。高速化によりますますエンタープライズの世界での普及が見込まれる。 |
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無線LANの醍醐味は、有線とは異なり、机上の設計だけではうまくいかないことにある。アクセスポイントの配置をするためにまず行うのが、周囲の電波干渉のサーベイ。また、パーティションなどで電波が反射することもあるため、オフィスレイアウトにも気を配るという。
「また、漏洩電波の傍受によってデータ通信が盗聴され漏洩しないような、セキュリティの配慮も必須です。それらのすべてを考慮して、顧客のニーズをかんがみながら設計するのです。大変ですが、そこが有線のネットワーク設計とは大きく異なる点。大変ですが、すごく面白いところですね」 ここ2年ほどは、アクセスポイントを集中管理できるスイッチタイプのコントローラが普及。エンタープライズ市場への導入に拍車をかけていると中野さんは語る。さらに来年春以降にはIEEE802.11nの標準化も策定予定であり、実現すれば通信速度は100Mbps以上と大幅に向上する。 「この技術が普及すれば、現在よりもスループットが向上するだけではありません。MIMOというアンテナ技術を使用することで、壁や障害物などが多く存在するオフィスフロアなどのマルチパス環境でも、これまでより安定した通信を行うことが可能になります。ネットワークエンジニアにとって、無線LANはもはや必須の技術なのです」 |
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サーバ運用・保守というと一見地味な仕事というイメージもあるが、ミッションクリティカルなシステムにおいて、確実なサーバ運用をすることは必須事項。オープンシステム化の下でサーバが分散・増加し、運用コストが年々上昇していることも課題となっている。これらの課題を解決するため、サーバの統合や仮想化の技術などが注目されている。 |
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そのためには、例えばパフォーマンスをチューニングし、ボトルネックの兆候が見つかれば、サーバを増設しスケールアウトすることを提案する。サーバ統合監視ツールなどの知識を仕入れるのは当たり前で、会社の研修に加え雑誌や専門書を読んでサーバ運用に関する最先端の知識を習得しているという。
「サーバ管理の最大のコツは、日々の軽微なサーバの変化を見逃さないことだと思います。メモリの使用量やトラフィック量などは細かくチェックしていますし、毎日MRTG(Multi Router Traffic Grapher)ツールを使って、SNMP(Simple Network Management Protocol)エージェントから取得したデータを加工・グラフ化し、統計を出していくことも行っています」 サーバ管理の仕事に就いてまだ半年だが、佐藤さんは社内サーバを統合監視するプロジェクトのプロジェクトリーダーも務めている。 「ある特定の技術しかできないエンジニアではなく、サーバを軸に幅広い視野で技術をとらえるエンジニアになりたい。プロジェクト管理の知識も仕入れ、全体最適なシステムを設計する、ITアーキテクトを目指しています」 |
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現在、IT業界では「SOA:サービス志向アーキテクチャ」や「SaaS」(Software
as a Service)というキーワードが話題となっている。SOAもSaaSも実現の鍵を握るのはネットワークやサーバなどの基盤技術。つまり、インフラ技術の習得はITエンジニアのキャリアアップに不可欠となりつつあり、ITエンジニアとしての寿命を長くすることにもつながるだろう。 そんなインフラ系エンジニアに最も必要なことは、技術への興味に尽きる。今回登場した3人のエンジニアの共通項も、「その技術を好きだから」「その技術に触れるのが楽しいから」という思いである。だからこそ、あるひとつの特定技術にキャリアの軸を置きながらも、幅広い視点で周辺技術が眺められ、結果としてイチオシ技術も見えてくる。 有線、無線のブロードバンド化、サーバの仮想化技術、グリッドデータベースの登場など、インフラ技術には多種多様な変革が訪れている。それらの最先端技術に触れられる環境に身を置くことこそ、ITエンジニアの価値を高めるひとつの方策になるはずだ。 |
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