国内最大級ショッピングモールを支える“運用”の魅力

3年目を迎えたテックハニーが装いを新たに訪問したのは、総合インターネット・サービス企業の雄、楽天。今回、「楽天市場」をはじめとした巨大インフラを支えるエンジニア3人に対し、“楽天ならではの運用の魅力”についてきゃんちが突撃質問した。

（取材・文／津留有希　総研スタッフ／山田モーキン）作成日：08.05.26


	愛らしいメイド服に身を包んだＴｅｃｈ総研公認レポーター。インターネットやモバイル製品など最新の技術が大好きで、アニメやゲームをこよなく愛するマニアックな素顔がエンジニアの共感を呼んでいる。その使命は「エンジニアが快適に働ける、魅力的な職場を探しだすこと」。無邪気な質問と癒しの笑顔で、エンジニアから的確に職場の魅力を聞き出す、好奇心いっぱいの天性のレポーターである。そんなテックハニーも3年目。パワーアップを続けるテックハニーブログとともに、今年もきゃんちがエンジニアの生態に迫る！

　エンジニアのみなさん、こんにちは！　テックハニーきゃんちです。みなさんの応援のおかげで、テックハニーも3年目に突入しました。これからもいろいろな企業さんの魅力をレポートしていきますので、応援よろしくお願いします☆

　今回は突撃するのは、ショッピングモール運営などでみなさんもご存じの有名企業さんです。3年目突入企画の第一弾ということで、特別に3人のエンジニアさんに職場の魅力を語っていただきました！　お話を伺うのは、インターネットサービスにとって生命線ともいえるインフラを運営している方々。昨年から移った新社屋には、なにやら楽しい施設もいっぱいあるそうで、楽しみです。では、いってきます☆




	1997年設立。国内最大級のインターネットショッピングモール「楽天市場」の運営のほか、オークション事業、トラベル事業、証券事業、インフォシーク事業など、さまざまなインターネット関連サービスを提供。「世界一のインターネット・サービス企業」を目指し、躍進を続けている。 http://www.rakuten.co.jp/

根本良雅さん（31歳）
（写真左）
開発・編成統括本部　共通プラットフォームサービス運用部の根本さんは、複数サービスにまたがってログインユーザ共通の情報を保持する仕組みづくりなど、ユーザにとって使いやすいプラットフォームサービスを運用している。

藤巻和人さん（37歳）
（写真中）
開発・編成統括本部　ショッピング＆オークションサービス運用部の藤巻さんは、その名のとおりショッピングやオークションをユーザが快適に利用できるよう、信頼性の高いインフラづくりに取り組む。

菊池雅行さん（40歳）
（写真右）
開発・編成統括本部　共有インフラ構築・運用部に所属する菊池さん。楽天の大規模サービスを支えるインフラの運用・管理のため、日夜縁の下の力持ちとしてサーバの効率的な運営に心血を注ぐ。

きゃ：	こんにちは！　菊池さんはインフラの運用をなさっているそうですが、お仕事内容について教えてください☆
菊池：	テックハニーさんは楽天市場をご利用されたことはありますか？
きゃ：	もちろんです♪　楽天市場で牛タンを買って料理したことありますよ。
菊池：	牛タン…（笑）、ありがとうございます。その楽天市場や、インフォシークなど楽天が運営するポータルサイトのインフラを効率的に運用していくことが私の仕事になります。ショッピングやポータルサイトなどの各運用部が管理するサーバを、さらに下支えする下部構造を担当しています。
きゃ：	ううっ、すみません、「楽天市場のサイトを作ってます」って言われると映像が浮かぶのですが、インフラの運用ってどのようなことなのでしょうか。
菊池：	DNSサーバや、データベースサーバなど、インターネット・サービスを下で支えている、おおもとの基盤を効率的に使うにはどうすればいいか考えることですね。インフラの運用がうまくいかないと、みなさんからのアクセスに支障が出たり、サーバが落ちたりしちゃうんですよ。
きゃ：	つまり、楽天さんのサービスを支える、縁の下の力持ちさんだ！
菊池：	そう言ってもらえるとありがたいですね。本当にそのとおりで、インフラはサービスの生命線なんです。
きゃ：	これだけ大規模なサービスだと、運用も大変そうですね。サーバってぜんぶこちらにあるんですか？
菊池：	サーバやストレージは、データセンターという特殊な建物の中で、厳しいセキュリティと二重電源に守られていますよ。上の写真に写っているのが、データセンターの居室です。緊急のときはテレビ電話で会議して、素早い対策を講じます。
きゃ：	こうやって楽天さんのサービスは運用されているんですね。信頼性を保つために陰ながら苦労があるんですね～！
菊池：	自分の考えた設定が本当に有効なのか、小規模システムでは実地で検証するのは難しいですが、楽天はユーザアクセスが簡単に跳ね上がりますから、工夫の効果がすぐにわかります。責任も大きいですが、大規模システムならではのやりがいがありますね。

楽天の新社屋には、コーポレートカラーでもある「楽天レッド」がいたるところで使われている。

きゃ：	根本さんも、インフラの運用をなさっているんですよね？
根本：	はい。私は、共通のプラットフォームを運用しています。楽天市場やポータルサイトなど、複数のサービスにまたがる共通の情報に関して、サーバやデータベースを構築・運用するのが仕事です。
きゃ：	共通の情報って、例えばどんなものがあるんですか？
根本：	例えば楽天会員IDや楽天スーパーポイントですね。一度楽天にログインしたら、インフォシークに飛んでも、オークションを見ても、楽天市場で買い物しても、IDやポイントなどの本人情報はずっと保持されて、共通で使えるでしょう？
きゃ：	ああ、確かにそうですね！　使う側としては意識したことありませんでしたけど、あれって複数サービスにまたがっているんですよね。
根本：	そうなんです。ユーザには、別のサービスに飛んだというつなぎ目を意識させずに、なめらかに便利に使っていただくことが大切です。
きゃ：	楽天さんのサービスって、どんどん増えていると思うのですが……。
根本：	そこに苦労があるんですよ（笑）。ユーザの動作にかかわるところなので、アクセス負荷が増えても負担を感じさせずに、きちんと情報を受け渡していく処理を考えています。
きゃ：	上の写真は監視モニターですね！　サーバを見ているんですか？
根本：	サーバ1台1台の状態を確認しています。処理が何秒でリターンされるかを監視しているんです。処理に時間がかかると赤く色がつくのですぐわかるんです。
きゃ：	危険な状態になると監視スタッフから連絡がくるんですよね。
根本：	そうですね。だから、監視スタッフから照会や問い合わせなく、スムーズに運用していけるとホッとします。先日、楽天スーパーポイントのシステムを大幅に改変したのですが、インフラ側は非常に安定して運用できていて、ひそかに、かなりうれしく思っているんです。
きゃ：	責任の重さだけ、喜びも倍増ですね！

1200人が入れる講堂に、フィットネスジム、ダンスルームなども完備！

きゃ：	藤巻さんはショッピングとオークションの運用を担当されているんですよね。単に部署の名前からの推測なんですけど（笑）。
藤巻：	そうですね、楽天市場と、楽天オークションの運用を行っています。ユーザさんが大勢買い物に来ても落ちないようなシステムをつくるために頑張っています！
きゃ：	楽天市場って、タイムサービスを行ったりしますよね。ああいうときってものすごいアクセス数じゃないですか？
藤巻：	いやあ、すごいですよ、1商品に対して、1分間に数千アクセスを超えるときがありますから。タイムセールは事前に情報がくるから、こちらも気を張っていられますが、予想外のものに突然アクセスが集中して慌てることもありますよ。先日は「じゃがポックル」っていうお菓子に急に火がついて驚きました（笑）。
きゃ：	あはは♪　そういうときって、どうしているんですか？
藤巻：	負荷をどう分散させれば処理を続けられるかを工夫するんです。一定数を超えたらどうしてもアクセスを逃がさなくてはいけなくなるので、ユーザには「しばらくお待ちください」などのメッセージを出して、ストップをかけることもありますよ。より根本的には、無駄な動きをするアプリケーションはないか、システムづくりは適切なのか、原因を調べて対処します。
きゃ：	ひとつの商品にアクセスが集中しても、ほかの商品を買うぶんには問題ないですよね。考えてみれば、あれって不思議！
藤巻：	アプリケーションの部隊と協力して、そういう仕組みに作り替えていったんですよ。本当に初期のころは、何かの商品にアクセスが集中すると楽天市場自体に入れなくなっていたこともありましたが、今はまったく問題なく買い物を続けていただくことができます。
きゃ：	そうやって結果が目に見えるって、やりがいがありますよね♪
藤巻：	そうですね、自分が巨大な楽天市場を支えている実感があります。
きゃ：	今まで目に見えるネット画面ばかり気にしていましたが、今度から「それはインフラをちゃんと運用してる人がいるからだ」って思うようにします（笑）。
藤巻：	いえいえ、ユーザさんは意識せずに使っていただいていいんですよ（笑）。ただ、インフラがダメだとアプリケーションをいくら作り込んでも、負担なくユーザに使っていただけないので、私自身は、楽天サービスの信頼性は自分たちが実現しているんだという誇りをもっています。
きゃ：	大規模サービスはエンジニアさんが支えているんですね。今日はとっても勉強になりました！

ここが3人のエンジニアの職場。楽天のインフラは、ここで守られている。


	菊池：		大きな組織ではありますが、人間関係がわりとフラットで働きやすいです。30歳前後の若い人たちが中心に言いたいことを言い合って、意見をぶつけ合って、いいものを作っていこう、という気風がある。能動的に動く社員ばかりなので、話が早くて助かります。

	根本：		食堂が無料なのは助かっています。種類も豊富だし、社員のことをちゃんと考えてくれていると感じられるのは嬉しいです。

	藤巻：		昨年、楽天10周年記念でテクノロジーカンファレンスが行われましたが、これからはもっと「楽天の技術はクオリティが高くて安心だ」と言われるように、楽天発の新技術を作って発表していきたいですね。


	新社屋「楽天タワー」に移転したばかりということで、どの施設もピカピカで、働いている人たちにも活気があって、成長中の企業さんの元気なオーラがビシビシ伝わってきました☆　大規模システムを動かしたい！っていう野心的なエンジニアさんにはぴったりだと思います。これからもいろいろなサービス事業が始まるのでしょうし、食堂はおいしいし、フィットネスジムまであって福利厚生も充実しているし、私もここで働きたいって思っちゃいました。